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【毒親連載私小説】ほどけない糸

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#夫婦関係

【毒親連載小説#71】成人後も続く毒親からの呪縛⑥

【毒親連載小説#71】成人後も続く毒親からの呪縛⑥

そして連絡を再開すれば
母はまた、
何時間もの間、
父の愚痴や恨み言を
私に言い続けた。

初めは同性として、
父の母に対する
見えないモラハラに同情し、
バカ正直に母の話を聞いていた。

しかし、
電話を重ねるごとに
止まらない愚痴にうんざりし、
電話を切る頃には
仕事で忙しく過ごした1日よりも
その電話で
何十倍もグッタリしていた。

時に私は受話器を置いたまま、
母の話を聞かないこともあった

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【毒親連載小説#70】成人後も続く毒親からの呪縛⑤

【毒親連載小説#70】成人後も続く毒親からの呪縛⑤

両親には私という
「心のゴミ箱」が必要だった。

そして、私は私で
両親に愛してもらいたい
という潜在的欲求が
この共依存関係を
強く結びつけていた。

それはまるで、
もつれた糸のようだった。

この「もつれた糸」は
たとえ家出をして
一人暮らしをしていようが、
遠くの海外で生活をしようが
程度の差はあれど、
もつれていることに
なんら変わりはなかった。

私は命からがら家出をして
物理的な距離

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【毒親連載小説#69】成人後も続く毒親からの呪縛④

【毒親連載小説#69】成人後も続く毒親からの呪縛④

私はこの正体不明なモヤを
必死で振り払うかのように、
大学の時から覚えたタバコを
くゆらせる毎日だった。

家に一人でいると、
一体、何をどうしたら
良いのか分からず、
いてもたってもいられなかった。

そんな時はすぐに
まずはキッチンに立ち、
換気扇のスイッチを入れる。

そして、
タバコを一本取り出し、
ライターに火をつける。

そして、そのタバコが
吸い終わりそうになると、
また次のタバコを

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【毒親連載小説#63】オーストラリア編 11〜中庸への道〜

【毒親連載小説#63】オーストラリア編 11〜中庸への道〜

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そんな時も
旦那の態度はとても冷淡だった。

彼は私の目も見ずにこう一言。

「だったら病院に

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【毒親連載小説#60】オーストラリア編 8〜中庸への道〜

【毒親連載小説#60】オーストラリア編 8〜中庸への道〜

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私は彼が涙を流すのは
出会ってから数回しか
見たことがない。

最後の涙を見たのはこの時で、
彼は喉を詰まらせなが

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【毒親連載小説#52】中国渡航編2-6〜リベンジへの道〜

【毒親連載小説#52】中国渡航編2-6〜リベンジへの道〜

この時、30代後半。

年下の彼も私の元を去り、
言いようのない孤独感に
苛まれていた。

「このままこの状態を
続けててもよいのだろうか?」
「私の人生はこのままで
よいのだろうか?」

そんな疑問がたびたび
頭をよぎるようになった。

異国で一人で生活を続ける
言いようのない孤独感。

私はこの気持ちと真正面から
向き合わざるを得なくなっていた。

私は毒親の下で育ちながら、

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【毒親連載小説#51】中国渡航編2-5〜リベンジへの道〜

【毒親連載小説#51】中国渡航編2-5〜リベンジへの道〜

当時、彼は学校に通うために
私の住む地域に住んでいて、
彼は河南省の実家へ
帰省することになった。

新年に日本に帰省していた私は、
日本から持ってきたお土産を
彼に手渡して見送ったのだが、
なんと彼とはこの時を最後に
音信不通で連絡が取れなく
なってしまった。

彼からの突然の音信不通。
私にとっては青天の霹靂だった。

私は一体、何が起こったのか
全く分からないショックで
二週間ほど仕事を休み

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【毒親連載小説#37】海外渡航前のこと 5

【毒親連載小説#37】海外渡航前のこと 5

そのアルバイトとは
実に突飛なものだった。

後にも先にも私は
こんなアルバイトをした
ことはない。

それは深夜とも言える
まだ辺りが真っ暗な時間に
築地市場に出向き、
マグロのセリに参加する。

100を優に超える
たくさんのマグロたち。

私の仕事は
その一本一本のマグロの
競り落とされた値段のデータを
記録することだった。

私はもう一人の女性と男性、
3人でその競りに足を運んだ。

当時

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【毒親連載小説#36】海外渡航前のこと 4

【毒親連載小説#36】海外渡航前のこと 4

その人物とは、
私のアルバイト先のコールセンターで
コンサルティングを担当していたS社長。

後からSさんから聞いた話だが、
彼はアメリカでトレーダーをしていたり
イタリアのシチリア島でマグロを釣り
築地に卸すまでの全ての工程を
ビジネスにしていたという
今こうして書いてみても
ビックリ仰天の人物だった。

私が働いていたのは
国際電話対応のコールセンターで
英語、韓国語、中国語などの
様々な言語

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【毒親連載小説 #25】父とわたし 6

【毒親連載小説 #25】父とわたし 6

私が合格した大学は日本では
割と名の通った大学だった。

父は私の合格を知った途端、
普段はほとんど疎遠な親戚中に
電話をかけていた。

そして、さも自分が
合格したかのように親戚に
自慢するために触れ回っていた。

私は唖然とした。

父が電話口で私の大学合格の
話題を出していることを聞いた時、
怒りと悔しさで震え、
あまりの怒りで一晩中悔し涙を流した。

当時はなぜ、
こんなに腹が立ったのか

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【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

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何よりもこの事実を認めた瞬間
私という人間はたった数万円の
お金も払ってもらえぬ
価値のない人間であることを
認めるような気がした。

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