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【毒親連載小説#51】中国渡航編2-5〜リベンジへの道〜

当時、彼は学校に通うために
私の住む地域に住んでいて、
彼は河南省の実家へ
帰省することになった。

新年に日本に帰省していた私は、
日本から持ってきたお土産を
彼に手渡して見送ったのだが、
なんと彼とはこの時を最後に
音信不通で連絡が取れなく
なってしまった。

彼からの突然の音信不通。
私にとっては青天の霹靂だった。

私は一体、何が起こったのか
全く分からないショックで
二週間ほど仕事を休み、
部屋に閉じこもり泣き崩れていた。

私が知っているのは
彼の携帯番号だけ。
その携帯にいくらかけても
繋がらない…。

そうだ…。
私は彼のことは何一つ知らない…。
私はこの状況になってやっと
そのことに気がつき、
それにまた愕然とし、
ただひたすら泣き続けていた。

あとで冷静になって考えると、
彼はおそらく帰省した際に
私の存在を両親に話したのだと思う。

外国人で11歳も年上…。

それに猛反対した両親が、
もう卒業が確定していた彼を
そのまま学校に戻らせなかった
ようだった。

私は思わぬところで
超えられない国の壁を
突きつけられたような
気持ちになった。

身も心も完全に
信じていた人に裏切られた。

そう思うと私は
苦しくて苦しくてたまらなくなった。

どうしてこんなことができるのかと
人間不信にも陥り、この出来事は
その後も度々、私を苦しめ続けた。

のちに学んだ心理学の講座や
数多くのカウンセリングを通して
癒したつもりだった。

でも、正直なところ
今、思い出しても
胸がギュッと締め付けられる
ことがある。

突然の出来事に
深い心の傷を負った私は、
心がぽっかりと空いて
しまったようだった。

(つづく)

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