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【毒親連載私小説】ほどけない糸

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#DV

【毒親連載小説 #32】国家とわたし 3

【毒親連載小説 #32】国家とわたし 3

日本人のような韓国人。
韓国人のような日本人。

日本人のようで日本人でない。
韓国人のようで韓国人でない。

そして、
私には家にも外にも
どこにも居場所がない…。

大多数の中に属したくても
属せないマイノリティの苦悩。

私は、家庭からも社会からも
完全に見捨てられてしまった
落伍者のような強い劣等感しか
持つことができなかった。

その後、
私は朝鮮学校で民族教育を
受けることになったので

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【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

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何よりもこの事実を認めた瞬間
私という人間はたった数万円の
お金も払ってもらえぬ
価値のない人間であることを
認めるような気がした。

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【毒親連載小説 #23】父とわたし 4

【毒親連載小説 #23】父とわたし 4

私はこの頃、自分の進路を
親や兄弟、誰にも相談できず、
ひとり悶々と悩んでいた。

私が通っていたのは
民族学校だったので、
高校卒業後、
日本社会で就職をするのか?

それはどのような方法でするのか?

それとも、
日本の大学へ進学するのか?
いや、そもそも、私は
何をしたいのだろうか?

私はどうしたらよいのか
全くわからずにいた。

両親は学歴もなかったし、
毎日のように夫婦喧嘩ばかりして

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【毒親連載小説 #19】母とわたし 17

【毒親連載小説 #19】母とわたし 17

ここまで、こうしてひとつひとつの
場面を思い出しながら執筆をしていると、
私はなぜだかたびたび強い眠気に襲われ
執筆を中断することが増えてきた。

他にも色んなシーンを
書き出そうとするたびに、
ずっと閉じ続けてきた「感情の扉」が
突然バーンと開いてしまい、
当時のリアルな感覚がよみがえり、
ただわけも分からず苦しくなり
真夜中に一人、むせび泣いていた。

このような状態に陥り、
執筆がなかなか進

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【毒親連載小説 #18】母とわたし 16

【毒親連載小説 #18】母とわたし 16

他にもうっかり
お味噌汁をこぼした瞬間に
バチーンと平手打ちをされたり、
私が失敗すると
容赦ない体罰が待っていた。

それは痛みというムチ与えることで、
私をコントロールする方法だった。

こんな風に母は、
弱くて抵抗のできない幼い私を、
まるで虫けらや畜生かのように
扱われてきた。

密室で誰も見ていないからと
こんな仕打ちをしておきながら、
自分がやったことはまるで
何もなかったことにかき消

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【毒親連載小説 #15】母とわたし 13

【毒親連載小説 #15】母とわたし 13

ここまで
母とわたしのエピソードを
読み続けてくれた人は
一体、今、何を感じているだろう…?

今の私が
この文章を読み返すと、
私はこの家庭で育ち、
人間としての尊厳を
幾度も踏みにじられ続けてきた。

そう強く感じている。

私はこの家庭にいると、
自分が虫けら以下のような
存在に感じてならなかった。

この家にいると
なぜだかいつも、
申し訳なさそうに、
そして、弱々しく振舞わないと
いけな

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【毒親連載小説 #14】母とわたし 12

【毒親連載小説 #14】母とわたし 12

また、この頃から母は
黙って何も物言わぬ私を
ターゲットにするようになった。

母は体罰を通して、
父に晴らせぬ怒りや鬱憤を
私に発散させるようになった。

「躾という名の鬱憤晴らし」は、
もはや家庭内の日常になりつつあった。

やはりこれも幼稚園ぐらいの頃だった。

この時の理由も全く覚えていないのだが、
やはり母の逆鱗にふれ、
夜に身ぐるみ剥がされ、家から放り出された。

小さな体で放り出され

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【毒親連載小説 #13】母とわたし 11

【毒親連載小説 #13】母とわたし 11

私の家庭内は両親の間で色んなことが
複雑に絡み合い過ぎていて、
その状態のまま何十年も経過している。

時間が長ければ長いほど、
この問題の根っこが果たして
どこにあるのか?

両親の絡まり過ぎた糸を
私たちが必死にほどこうと
すればするほど、
より複雑に絡まる一方で、
問題の本質はどんどんと
深い闇へと葬り去られるようだった。

私の家庭は理不尽なことばかりが
ずっとまかり通っていた。

私の家

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【毒親連載小説 #9】母とわたし⑦

【毒親連載小説 #9】母とわたし⑦

また、これは
小学校低学年ぐらいのこと
だったのだろうか。

これは本当に最悪な出来事だった。

また、あのいつもの夫婦喧嘩で、
母はお酒も入り、いつもに増して
感情的に暴れ続けていた。

酒の勢いもあったのだろう。
母は泣き叫びながらなんと
私たちの目の前で
首を吊ろうとしていた。

あのシーンは今でも脳裏に
こびりついて離れてくれない。

母は突然、椅子によじ登り、
リビングの天井にタオルか

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【毒親連載小説 #8】母とわたし⑥

【毒親連載小説 #8】母とわたし⑥

私の家族円満という望みも虚しく、
両親の喧嘩は何日にも及ぶこともよくあった。

ある日の夜もまた、
あの激しい夫婦喧嘩が始まり、
父に全身で思い切り掴みかる母と、
それを振り払おうと
母の髪の毛を引っ張る父の姿があった。

ゼェゼェと荒い息を吐きながら
髪の毛を振り乱し

「殺せ!!早く殺せ!!!」

と鬼のような姿で叫び続ける母…。

「お前なんか殺す価値もない!!」

そういい返しながら、

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【毒親連載小説 #4 】母とわたし②

【毒親連載小説 #4 】母とわたし②

私の家庭は4人兄弟で、
家庭での母と言えば、
家事に子育てに忙しそうで
いつも眉間にしわを寄せながら
イライラ、ピリピリとした雰囲気を
四六時中漂わせていた。

母は私たち兄弟が遊んで
うるさくしていたり、
夜遅くまで寝ない
といったことですぐに、
大声で怒鳴り散らす。
それが日常的にあった。

ある時は弟とテレビ番組を
見て笑っていただけで
「笑うんじゃない!!!」
と大声で怒鳴りつけられた

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