![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45805536/rectangle_large_type_2_0dfe6c7b695b974be41ee8571a47ef4d.png?width=1200)
【毒親連載小説 #19】母とわたし 17
ここまで、こうしてひとつひとつの
場面を思い出しながら執筆をしていると、
私はなぜだかたびたび強い眠気に襲われ
執筆を中断することが増えてきた。
他にも色んなシーンを
書き出そうとするたびに、
ずっと閉じ続けてきた「感情の扉」が
突然バーンと開いてしまい、
当時のリアルな感覚がよみがえり、
ただわけも分からず苦しくなり
真夜中に一人、むせび泣いていた。
このような状態に陥り、
執筆がなかなか進まずにいると
(今さらこんなことを書いて
一体、何になるのだろう…?)
という考えが頭によぎり、
つらすぎて書くことを止めたくなった。
そんな中で、ぼんやりと頭によぎる
「たったひとりの存在」。
その存在を想うと
(あぁ、そうだ。
やっぱりこの先を書かねばならない…)
そう思い、
ひとしきり泣くだけ泣いたら涙を拭う。
そしてまた、書いては消し、
消しては書きと一進一退を
繰り返しながら執筆を続けている…。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
ここまでは母との話だった。
もし、今までの執筆だけを読めばきっと、
ほとんどの読者が私の母が完全に悪者だ!
そう感じることだろう。
実際に私も随分と長い間、
母をこの家庭の元凶として見てきた。
しかし、この「家族ゲーム」というのは
そんなに単純なものではなく、
こんな母と対となる存在がいた。
それは私の父だった。
嵐のように怒り狂う母とは対照的に、
父の存在は一見、いい人のように
見えた。
しかし、
そのいい人の仮面の裏には、
恐ろしいほどに先が全く見えない
ブラックホールのような深い闇を
隠し持っていた。
(つづく)
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?