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【毒親連載小説 #15】母とわたし 13

ここまで
母とわたしのエピソードを
読み続けてくれた人は
一体、今、何を感じているだろう…?

今の私が
この文章を読み返すと、
私はこの家庭で育ち、
人間としての尊厳を
幾度も踏みにじられ続けてきた。

そう強く感じている。

私はこの家庭にいると、
自分が虫けら以下のような
存在に感じてならなかった。

この家にいると
なぜだかいつも、
申し訳なさそうに、
そして、弱々しく振舞わないと
いけないような気がしていた。

私はこの家庭で過ごすうちに、
どんどんと自分の大切な「何か」を
捨て続けてきたような気がする。

あの頃の私は
その「何か」という存在すら
気づいてはいなかったし、
それをただ「何か」としか
表現することができないでいる。

果たしてこれを
家庭と呼ぶのだろうか…?

これは家庭だったのだろうか?

家庭とはなんなのだろうか…?

こんな母と毎日、
同じ屋根の下で暮らすうちに、
私は人間の本能として、
ただ身体的な生命をかろうじて
繋いでいるだけの、
心は完全になんども殺され続けてきた
屍でしかなかった。

こう書いていくうちに
断片的な記憶だが、
成長過程での様々なシーンが
次々と甦ってくる…。

(つづく)

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