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【毒親連載小説 #4 】母とわたし②

私の家庭は4人兄弟で、
家庭での母と言えば、
家事に子育てに忙しそうで
いつも眉間にしわを寄せながら
イライラ、ピリピリとした雰囲気を
四六時中漂わせていた。

母は私たち兄弟が遊んで
うるさくしていたり、
夜遅くまで寝ない
といったことですぐに、
大声で怒鳴り散らす。
それが日常的にあった。

ある時は弟とテレビ番組を
見て笑っていただけで
「笑うんじゃない!!!」
と大声で怒鳴りつけられた
こともあった。

このように母は、
何十年もの間
(おそらく今もきっと)
怒りという感情に
完全に取り憑かれている…。

そんな怒りの塊のような人だった。

その怒りの
エネルギーも凄まじく、
まるでマグマのように
煮えたぎるような激しさ。

それは私や兄弟への
怒声、罵声、罵詈雑言。
平手打ちや布団叩きで
殴りつけるといった
身体的暴力で、
母は怒りという猛毒を
そこら中に撒き散らし続けてきた。

同じ屋根の下で
暮らしてきた約20数年間、
この家庭に留まり続けるしか
方法がなかった私は、
母からの「怒りの猛毒」を
無理やり飲まされ続けた。

すると、
身体的・精神的苦痛という
毒がどんどんと回り、
激しい痛みでのたうち回る。

その暴力がやっと終わり、
私の体の中の猛毒がやっと
抜けたかと思った頃には
また、夫婦喧嘩の渦中に巻き込まれ、
身体的暴力、精神的コントロール
といったダブルの毒をまた
無理やり飲まされ続ける…。

この何十年間、
私の体にはこの猛毒が
いつまでもぐるぐると駆け巡り、
解毒どころか、毒はどんどんと
私の体に留まり続けた。

今から、この地獄のような
日々について書こうとあれこれと
思いを巡らせているのだが、
書き出す前から
訳も分からぬ涙が溢れ出し、
喉元はキューッと締め付けられ、
理由なき罪悪感に苛まれる…。

それは、
またあの猛毒が私の体に
駆け巡ってくるのではないか
という恐怖からなのだろうか?

今、こう書きながらも
私の手はブルブルと震えている。

そんな中、私はあの
「たった一人の存在」を
ぼんやりと思い出していた。

そして、
深呼吸をして心を落ち着かせ、
自分を奮い立たさせながら
これを書き進めている…。

(つづく)

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