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闘病生活3年半。 そうしたら、仕事も家事も誰かに会うのも 10倍嬉しくて楽しくなった。…

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闘病生活3年半。 そうしたら、仕事も家事も誰かに会うのも 10倍嬉しくて楽しくなった。 そんな私の話。

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  • 小さな子の遊びレシピ

    準備もコストも手間もかからない、でも我が子がはまった遊びのレシピ覚書

記事一覧

尊い再会①

水を飲んでも詰まる壮絶なイレウス生活から解放されて半年が過ぎた。 瘦せすぎて点滴の針を刺せる血管もなくなり、床ずれ防止マットを敷かなきゃ眠れないくらいだったけれ…

ikuko
3週間前
10

50歳おめでとう、私

手術が無事済んで退院したその週、次女から大学の指定校推薦が取れたと電話があった。 ああ、よく頑張ったね。 次女の通う高校は、帰国子女や外国にルーツを持つ友達だらけ…

ikuko
6か月前
21

術後回復食がおいしすぎる

絶食中、大阿闍梨もしくは空海様の気分でいたけれど、一旦解禁されてしまえば食べたいものをひたすら作って食す毎日。 でも腸は賢い臓器らしく、ちゃんと分かってらっしゃ…

ikuko
7か月前
23

ポタージュとの再会

入院するときに着てきた点滴仕込みベストは、手術がうまくいかなかったときの自分、今後もずっと点滴人生が続くことになるかもしれない自分へのプレゼントのつもりで作った…

ikuko
7か月前
13

点滴装着ベスト完成

買ってすぐ愛用している点滴ベストから、型紙をとって週末のお休みのたびにミシン稼働。 2週間がかりでデニムバージョンが完成した。 釣り人か何かの作業員さんに見えなく…

ikuko
8か月前
13

点滴しながら自転車を漕ぐ

朝晩の風に夏の終わりを感じた8月下旬、「自転車通勤を復活させよう」と思った。 夏のほとんどを占めた入院生活の反動か、狭い空間でシートベルトと渋滞に縛られながらの…

ikuko
8か月前
18

MRIの中で泣く

梅雨に始まった入院生活がやっと終了。 2か月ぶりの下界、そして今年初めての真夏の空気の中に開放された。 身体に刺さった管はまたひとつ増えたけど、入院中に点滴の管理…

ikuko
9か月前
18

第2回飴ちゃん選手権

入院中、私は飴成金と化した。 私の【ひとり飴ちゃん選手権】開催を知った友人、きょうだいからの差し入れで、ベッドサイドが華やかなことになっている。 せっかく私のもと…

ikuko
9か月前
22

入院中に変わった質問してくれた人

つい先日、カーテン越しにとつぜん声をかけられた。 声の主は向かい側のベッドの60代くらいのご婦人。 「今大丈夫ですか?ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど」 …

ikuko
10か月前
16

入院中に再会した人

私にとっては再会。しかも約20年ぶりの。 彼にとっては初めまして。会ったときは3、4歳だったから私の記憶はないらしい。 50手前の私のお見舞いに、遠くから一人で来てく…

ikuko
10か月前
11

入院中に出会った人

今回の入院、これまでの最長記録を更新してしまった(昨日で1か月半)。そういえば、最後に固形物を食べた記念日からはちょうど4か月。 カーテンと壁とベッドと医療機器…

ikuko
10か月前
11

1か月、飴だけ食す

私の楽し麗し流動食生活が、唐突に停止となった。 蜜月を築いていた愛しのバナナシェイクや野菜のポタージュたち。 彼らに含まれる豊富な食物繊維は、ミキサーや漉し器を持…

ikuko
10か月前
49

2か月、飲み物だけで生きている②

余儀なくされた流動食生活を心楽しく送るために決めたこと2つ。 ①美味しい!と思う流動食だけを食す。 ②家族には心をこめてご飯を作る。 前回自分にしか役に立たないレ…

ikuko
11か月前
19

2か月、飲み物だけで生きている

美味しい流動食生活 イレウスの怒涛の襲撃のスキをつきながら、セカンドオピニオン先で精密検査を重ねた。 私の小腸は、3年前の放射線治療の影響で一筋縄ではいかない状態…

ikuko
1年前
33

小さな子の遊びレシピ④お家からお外編【タマゴ作りとタマゴ探し】

用意するもの  *紙粘土 *卵(見本用) *水の入ったお皿 *排水口用浅型ネット(ストッキングタイプ) *洗濯ハンガー *定規  *幅2.2㎝、長さ10㎝前後の紙切れ *あ…

ikuko
1年前
16

大事なのは落としどころ

ちょうど昨年の3月も、ほとんどまるまる入院していた。 その時からさらに2年近く前に受けた放射線治療が、だんだん私の身体をいじめ始め、片方の尿管が機能しなくなり水腎…

ikuko
1年前
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尊い再会①

尊い再会①

水を飲んでも詰まる壮絶なイレウス生活から解放されて半年が過ぎた。
瘦せすぎて点滴の針を刺せる血管もなくなり、床ずれ防止マットを敷かなきゃ眠れないくらいだったけれど、中心静脈カテーテルを外し食事を再開したら、半年で10キロ増えた。手術の執刀医には、無事過ごせていますと葉書を出した。

誰かとご飯を食べることを、日本で私ほど喜んでいる人間がいるんだろうか。私、こんなに喜んでばっかりでよいのだろうか、と

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50歳おめでとう、私

50歳おめでとう、私

手術が無事済んで退院したその週、次女から大学の指定校推薦が取れたと電話があった。
ああ、よく頑張ったね。
次女の通う高校は、帰国子女や外国にルーツを持つ友達だらけ。
英会話さえ習ったことない彼女は、「小さい頃からものまね好き」「読書好き」というかなり地味な武器だけでひたすら独学で英語力を磨き、志望校の指定校推薦枠を勝ち取った(でもこの武器って、語学習得にはかなり有効なんじゃないかと最近思っている)

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術後回復食がおいしすぎる

術後回復食がおいしすぎる

絶食中、大阿闍梨もしくは空海様の気分でいたけれど、一旦解禁されてしまえば食べたいものをひたすら作って食す毎日。
でも腸は賢い臓器らしく、ちゃんと分かってらっしゃる。
食べたくてしかたのないものは全部消化にいい腸にやさしいものばかり。
術後の回復食、ここに記録しておく。

すごく食べたかったもの。①温泉玉子

何でもトロリとやさしく包む温玉を食べることができたらどんなにいいだろうと想いを募らせ、ほん

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ポタージュとの再会

ポタージュとの再会

入院するときに着てきた点滴仕込みベストは、手術がうまくいかなかったときの自分、今後もずっと点滴人生が続くことになるかもしれない自分へのプレゼントのつもりで作った。日本でいちばんおしゃれな点滴ベストを着て元気に退院しようと。

今回の病室の窓のむこうには小学校があり、子どもたちが運動会の練習をしているのが見えた。
赤白帽をかぶった子どもたちが、応援団長の指揮に合わせて「フレー!フレー!」と大声出して

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点滴装着ベスト完成

点滴装着ベスト完成

買ってすぐ愛用している点滴ベストから、型紙をとって週末のお休みのたびにミシン稼働。
2週間がかりでデニムバージョンが完成した。
釣り人か何かの作業員さんに見えなくもない1着だったのが、ちょっと私服っぽく秋っぽいのが加わり満足。
色んな形状の輸液が入るよう改変したから、さらに大満足。

以前ぬいぐるみ設計の仕事をしていたので、家庭科の成績が悲惨なアヒルちゃんだったこの私が、なんとか習得したミシン。

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点滴しながら自転車を漕ぐ

点滴しながら自転車を漕ぐ

朝晩の風に夏の終わりを感じた8月下旬、「自転車通勤を復活させよう」と思った。
夏のほとんどを占めた入院生活の反動か、狭い空間でシートベルトと渋滞に縛られながらのクルマ通勤に耐えられなくなってきた。
それで、8月31日。多くの小学生が夏休み最終日の切ない朝を迎えているだろうとき、愛車の電動アシスト付き自転車をわくわくしながら稼働させた。わくわくの8月末日もあるのだよ。人生長くなると(最近は8月後半か

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MRIの中で泣く

MRIの中で泣く

梅雨に始まった入院生活がやっと終了。
2か月ぶりの下界、そして今年初めての真夏の空気の中に開放された。
身体に刺さった管はまたひとつ増えたけど、入院中に点滴の管理もすっかり覚えてしまった。

帰宅すると、新入りの観葉植物がお出迎え。
「退院祝いに美味しいもの」ってわけにいかない私に、夫が用意してくれていた。
エヴァーフレッシュというネムノキの仲間らしきこの子、よく見るとこんなのが付いている。

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第2回飴ちゃん選手権

第2回飴ちゃん選手権

入院中、私は飴成金と化した。
私の【ひとり飴ちゃん選手権】開催を知った友人、きょうだいからの差し入れで、ベッドサイドが華やかなことになっている。
せっかく私のもとに来てくれた飴ちゃんたち。
クール系、フルーツ系、黒糖系‥‥楽しい仕分け。
そしてお気に入りのクッキー缶に詰め詰め。

↓こちら第1回飴ちゃん選手権レポート

「原材料チェックして飴と真剣に向かい合ったの初めて!」と、差し入れしてくれたみ

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入院中に変わった質問してくれた人

入院中に変わった質問してくれた人

つい先日、カーテン越しにとつぜん声をかけられた。
声の主は向かい側のベッドの60代くらいのご婦人。
「今大丈夫ですか?ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど」
年上の患者さんに、ごくたまにスマホの操作について質問されることがあるけれど。はい、なんでしょう。
カーテンを開けて対面し、聞かれた。
「どうして毎日そんなに元気なんですか?」
何だ何だ、想定外の質問。

入院最長記録更新でほとほとうんざり

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入院中に再会した人

入院中に再会した人

私にとっては再会。しかも約20年ぶりの。
彼にとっては初めまして。会ったときは3、4歳だったから私の記憶はないらしい。
50手前の私のお見舞いに、遠くから一人で来てくれた20代半ばのKくんは、私の大切な友人の長男。思いがけないお見舞い客だった。

友人が次男を出産したとき、私は隣の分娩台にいて、お隣さんの後に続けと長女を出産。それ以来の仲だ。以前にもnoteで触れた人。
お互いの家を行き来すると、

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入院中に出会った人

入院中に出会った人

今回の入院、これまでの最長記録を更新してしまった(昨日で1か月半)。そういえば、最後に固形物を食べた記念日からはちょうど4か月。

カーテンと壁とベッドと医療機器に囲まれた狭い世界。
病室の窓の向こうには隣の棟の緑化した屋上が広がっていて、なぜかハクセキレイだけがたくさんいる。たまにイソヒヨドリ(シュッとして美しい)の姿。

ハクセキレイって、その動きと一本線の入ったお顔がどうしてもアホっぽく見え

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1か月、飴だけ食す

1か月、飴だけ食す

私の楽し麗し流動食生活が、唐突に停止となった。
蜜月を築いていた愛しのバナナシェイクや野菜のポタージュたち。
彼らに含まれる豊富な食物繊維は、ミキサーや漉し器を持ってしても今の私の小腸にとって負担になっていったのか。
食物繊維に罪はなく、小腸氏が二筋縄三筋縄ではいかなくなったのか。

先月重めのイレウス再燃
→しばらく口から栄養摂るのは無理だね
→中心静脈栄養のポート設置手術
というなかなかの事態

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2か月、飲み物だけで生きている②

2か月、飲み物だけで生きている②

余儀なくされた流動食生活を心楽しく送るために決めたこと2つ。
①美味しい!と思う流動食だけを食す。
②家族には心をこめてご飯を作る。

前回自分にしか役に立たないレシピについて長々と語ったから、今回は②の、ご飯はせっせと作ってますよーというお話。

食べる人じゃなくて、作る人としてなら、何も損なわれることなく「食事」という素晴らしいイベントに参加できる。
食べる方も気を使わず、作り手の私のためにむ

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2か月、飲み物だけで生きている

2か月、飲み物だけで生きている

美味しい流動食生活

イレウスの怒涛の襲撃のスキをつきながら、セカンドオピニオン先で精密検査を重ねた。
私の小腸は、3年前の放射線治療の影響で一筋縄ではいかない状態になっていた。
ハイリスクな手術を受けたとしても、もう普通にご飯を食べることはできないかもしれないという、最高に悲しい現実を突きつけられた。

悲しすぎて泣こうが、ハイリスクだという治療方法を検討しようが、栄養は今日にだって摂らなきゃ生

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小さな子の遊びレシピ④お家からお外編【タマゴ作りとタマゴ探し】

小さな子の遊びレシピ④お家からお外編【タマゴ作りとタマゴ探し】

用意するもの 

*紙粘土
*卵(見本用)
*水の入ったお皿
*排水口用浅型ネット(ストッキングタイプ)
*洗濯ハンガー
*定規 
*幅2.2㎝、長さ10㎝前後の紙切れ
*あればクリアファイル

小学生だった長女がなぜだかサンタに、「綺麗な模様のタマゴ」をお願いしたことがあった。
近代サンタはコビトやトナカイじゃなくて積極的にAmazonを利用するが、長女の願いを満たすものはAmazonで見つから

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大事なのは落としどころ

大事なのは落としどころ

ちょうど昨年の3月も、ほとんどまるまる入院していた。
その時からさらに2年近く前に受けた放射線治療が、だんだん私の身体をいじめ始め、片方の尿管が機能しなくなり水腎症になっていた。めずらしいことらしい。

カメラを入れたりステントという管を入れたり、けっこう辛い治療を経て、でもどうにもならんということになる。
背中に穴を開け、直接腎臓まで管を通して尿を排出する、腎ろうというものを設置せざるを得なくな

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