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2か月、飲み物だけで生きている

美味しい流動食生活

イレウスの怒涛の襲撃のスキをつきながら、セカンドオピニオン先で精密検査を重ねた。
私の小腸は、3年前の放射線治療の影響で一筋縄ではいかない状態になっていた。
ハイリスクな手術を受けたとしても、もう普通にご飯を食べることはできないかもしれないという、最高に悲しい現実を突きつけられた。

悲しすぎて泣こうが、ハイリスクだという治療方法を検討しようが、栄養は今日にだって摂らなきゃ生きていけない。
液体ならちゃんと通してくれる私の小腸に、とりあえず毎日栄養物資を届けなくちゃならない。

私の人生、ドラマでいったらもうシーズン10くらい。
シーズン10にしてまさかの「流動食生活の巻」。
手術や治療の検討の前に、食生活とどう向き合うかを決定する方が急務だ。
自分で見つけた「落としどころ」さえあれば、たいていのことは乗り越えられる私なんだから。
さあどうしようか私。

とりあえず決めた。

①美味しい!と思う流動食だけを食す。
美味しいもの好きマインドは以前と何ら変わらない。
要研究、要開発。
②家族には心をこめてご飯を作る。
食べられないけれど、作って発散作戦。
クリエイティビティは人類の癒し。
美味しいと喜んで食べてもらえれば、作り手として嬉しい。
これなら「普通の食」からつまはじきにならず、私なりの参加ができる。

それで今日は、①の美味しい美味しい流動食についてのお話。

毎日出勤しているから、ハイカロリーで手っ取り早い市販品に手を出してもみたけれど、パーム油やら植物油脂やらが小腸を詰まらせて病院へ逆戻り。
結局、材料シンプル&超簡単な手作りが一番。
世界で私にしか役に立たないかもしれないけれど記録しておく。

●幸福感にうっとり♡完熟バナナと甘酒のシェイク

材料:バナナ1本、玄米甘酒30~40g、
プレーンヨーグルト100g

バナナには、幸せホルモンと呼ばれるセロトニン増加の作用があるらしい。
ほんとにほんと。
これを飲んだときの多幸感ったら、、、
スプーンでひとくちずつ大切に飲むんだけど、
序盤「あ~おいしくて幸せ」
終盤「ああもうお別れか(涙)」ってなるくらい。
朝イチでミキサー回してスープ漉し器で濾す手間は、うっとり幸せ時間への散歩道みたいなもの。
家族が寝ている静かな早朝、窓外の緑を見ながら飲むのが楽しみで、休日も早起きなり。

このポツポツが大事

バナナちゃんたちはシュガースポットがしっかり出るまで育てる。
完熟バナナは美味しいうえに抗酸化作用が増し増しになる。
育ったら皮むいて1本ずつラップ。平たく押しつぶしたら冷凍庫へ。
冷凍でポリフェノールもさらに増大。

最近まで豆乳とまぜていたんだけど、これがどうもダメだった。
お腹にガスが溜まってイレウス気味になりがちだったのが、ヨーグルトに変えたら改善。
「腸がすべて」という本(今の私のためのようなタイトル)を読んだら、消化の早いバナナとゆっくりな豆乳の組み合わせは、お互いの速度が足を引っ張りあってNGとあったのでためしに従ってみたのだ。
著者のアダムスキーさんに感謝。

●全身に沁みわたる!ニンジンジュース


材料:ニンジン2本分、レモン少々、オリーブオイル少々

ニンジンジュース作りは唯一(でもないわ汗)、夫のミッション。
作るのもジューサーの掃除も大変だから委託させていただいております。
ジューサーで搾ったニンジンジュースは、味が綺麗で、身体に沁みわたる。
夫も飲むと「沁みるなぁ~」と言っているので、身体がカロチン欲しているのかしら。
美しいオレンジ色に目も覚める感じ。
朝食を時間空けて2回とっている私は、2回目の朝ごはんはこのニンジンジュースで始まり。

●日本人でよかった ♪ ♪ その1 温玉の茶碗蒸し風


材料:温玉1つ、濃いめの出汁30㏄くらい

卵は貴重なタンパク源。毎日お世話になっている。
生・茹で・焼きは消化に悪いので、温玉を毎日毎食分3つ作っている。
作り方は簡単。
熱湯たっぷりの鍋を火からおろしたら、そっと卵を入れて蓋はせずに15分。
タイマーが鳴ったらすぐに冷水に移して、冷めたら完成。

で、その間に出汁の準備。
と言っても、製氷皿で冷凍しておいた出汁の、氷1個分を解かしておくだけ。お気に入りの無塩・無糖の無添加だしパックで、2倍の濃さでとっておいたやつ。

そろそろ在庫切れ。補充しなければ!

完成した温玉は漉し器で濾して、スープ状に。
そこに出汁をまぜると、あらあらまるで飲む茶碗蒸し。
お酢や減塩醤油をちょんとたらした日には、卵と出汁の優しい味の中に素敵なアクセント。
「あ~おいしい」日本人でよかったとしみじみする瞬間。

♪ ♪ その2 こっくりうまうま、豆乳味噌仕立て

材料:豆乳100㏄、出汁80㏄、味噌ティースプーン1杯、
生姜とにんにくのすりおろしお好み分、長ネギ5㎝分

この地味な色のスープ、めちゃうまいのだ。
出汁の中に生姜、にんにく、ネギを投入してコトコト。
薬味パワーが出汁に溶け込んだら、豆乳と、ひき立て役の味噌を少し入れて煮立てない程度に温める。濾し器で濾して完成。
それだけ。
この間なんて贅沢にもアサリでとった出汁を使ったものだから・・・
「なにこれ、うまー♡♡」と感激。
味噌と出汁と薬味の国に生まれてよかった。

●定番の重湯は中華風で

材料:ご飯1に対して水5、
鶏出汁とごま油をほんのひとふり、
梅びしおポチリ

重湯はたいした栄養が摂れないんだけれども、やっぱり上澄みでもいいからお米を摂取したいのだ。お米には癒されるのだ。
私のお気に入りは、鶏出汁とごま油の黄金コンビですこーし味付け。
中華粥風になったところに、入院食の定番「梅びしお」(好きすぎてお取り寄せした)をぽちっっとのせてさっぱり感プラス。
優しいとろみの中華スープのような重湯完成。

で、重湯には、自動的に「お粥」が生産されてしまう問題がついてまわる。

それで家族にはお粥定食頻発。
飽きないよう、次はチーズリゾットでもやるか~

しらすと梅のお粥
蒸し鶏と甘辛ピーナッツだれのお粥
出汁とったあとのアサリ、
私のポタージュにならないブロッコリーの茎、
私のスープにされるまえの蒸したジャガイモで小鉢作成

●これはもうトルコ料理レストランの味!?赤のスープ

材料:トマトジュース190㏄、皮むいたパプリカ半分、
新玉ねぎ好きなだけ
ローリエ1枚、にんにくひとかけ、
カレー粉ほんの少し、ヨーグルト50g

今は大好きな新玉ねぎの季節。
生のままコトコト煮るだけで主役級の美味さを出してくるのに、さらに
旨味のパプリカとにんにくまで投入。ローリエと一緒に弱火で煮込む。
すっかり煮えたら、さらに旨味野菜のキング、トマトジュースも合体!
ローリエを取り除いてミキサーにかけて濾したら、ヨーグルトでマイルドさをプラス。
塩分なしの野菜だけなのに奇跡のうまさ。
でも待って待って。
もしや、スパイスまで足しちゃったら??
たまたまあったカレー粉をほんの少し入れてみたら
これはエキゾチックなうまさ!
最近の一番のヒット作。

●我が流動食堂にはフレンチもあり!

上 ブイヤベース
下 ブロッコリーポタージュとポテトポタージュ

母の日は、海の幸どっさりでブイヤベースを作ってもらった。
海の滋味だけを味わいたくてトマトはなし。
魚と貝と海老から摂れた黄金のスープ、最高だった。

ブロッコリーやジャガイモも、新玉ねぎマジックを追加すると、ほんの少しの塩胡椒とにんにくの風味付けだけで、それは美味しいポタージュになる。
ローリエで香り付けして、仕上げにオリーブオイルたらせば尚よし。
なんでも柔らかく茹でたら、あとはゆで汁ごとミキサーくんがポタージュ化してくれるんだから、楽ちん楽ちん。
ミキサーくん、ビストロ気分をありがとう。
これからも末永くよろしく。


そして、
「どうすれば治るのか、どう治療すればいいのか、ということではなくて、
あなたがどう生きていきたいか。
これだけは譲れない、という生き方を優先したときに、どんな治療が必要になってくるのか。そういうふうに考えていきましょう」と言ってくれたセンカンドオピニオン先の先生にも感謝。

流行の健康美容家みたいにキラキラだと最上級に私を褒めてくれた親友にも感謝。
関西に住む親友は、私をもう大阿闍梨の域だと、序列でいえば高野山の空海の次くらいだと、笑って讃えてくれた。感謝。

流動食フルコースを快く持ち込みさせてくれて、美味しいワインを外で楽しむ時間を与えてくれる、日本の優しきあのファミレスにも感謝。

たくさんのありがたさを忘れないようにしよう。
流動食堂は本日も営業中。

















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