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ヒトシ
2021年12月27日 10:07
ファンヒーターがタイマーで動き出す。すっぽりと首まで毛布にくるまって部屋が暖まるのを待つ。この30分のたまらない贅沢にほくそ笑む。窓から差し込む朝の光が結露に乱反射してオレンジ色に染まる。1日で一番寒い時間。そして1日で一番美しい時間。世界の片隅でなんでもない日がなんでもなく始まる。
2021年12月21日 11:26
もみの若木に松ぼっくりと小さな赤い実森の枯れ葉の絨毯の上まるで互いに寄り添うように静かに奏でる聖夜曲たとえ小さくてもどんなにささやかでも大地に根ざしたその声はきっとあなたを暖めるどうか ひととき穏やかに 健やかに暖かい時を過ごせますように田舎の片隅の小さな森から心を込めてメリー・メリー・クリスマス
2021年12月15日 15:52
畑周りもすっかり片付けて落ち葉集めも一段落したしさして忙しくもないくせに忙しい気分になっていて可笑しい庭先で冷たい風に当たりながらふと空を見上げたらすっかり葉を落とした木々の間に冬の高い青空が思いのほか広いふうっと深呼吸しながらいい一年を過ごせたなあと独言つ森と畑と鳥と土と緑と赤と春夏秋冬を思い来年もまたいい一年にと願うひととき師走もここまで来れば
2021年12月7日 12:17
西に傾いた弱い日差しの逆光に散り残った紅葉を透かしてみるとそれはステンドグラスのように鮮やかな色彩のハーモニーを奏でた雪虫がちらちらと飛び交いひよどりの甲高い声が響く森を満たす冷たく乾いた空気記憶の片隅を暖かい紅が染めて色のない季節が深くなっていく
2021年11月30日 09:54
書いておこうと思った。たとえば、敷き詰められた落ち葉のほんのりとした暖かさをたとえば、木々の年輪にくっきりと刻まれる厳しい寒さをたとえば、冬枯れの枝に始まる新しい芽吹きをたとえば、沈黙した森に響く陽射しが降り注ぐ音をせめて、言葉を超えたものがあるということを明日も覚えておくために
2021年11月25日 14:43
お待たせいたしました菜飯定食でございます。ご飯は麦飯。千切りにした生姜をたっぷりいれて白だしにちょいと醤油を加えて炊き込んで炊き上がったら塩揉みしたかぶの茎を混ぜ込みます。お味噌汁は豚汁。畑でとれた里芋、蕪、人参、長葱と豆腐に椎茸。切れ端の豚肉の油がいいお出汁。仕上げに蕪の葉っぱを散らして。付け合わせには菊芋の甘酢づけと白菜の漬物。どちらも柚子の香りがい
2021年11月23日 14:16
甘い香りの深煎豆を挽き細砕かれた粉を濾過紙に敷く一巡りの湿湯でしばし蒸らせば極上の芳香が立ち上る細口のケトルから湯を注ぐ膨らむ泡を壊さぬように静かに静かにゆっくりと三角に窄まった錐先から琥珀の雫が滑り落ちて白い陶器を満たしていくこもれび踊る森の窓辺で楽しむ一連の手作業と淹れたての風味はどこぞの店にも負けなかろうと独言つ贅沢な時間 午後のひととき
2021年11月20日 12:22
森の中を通り抜ける晩秋の風ほんのかすかなそよぎにも木の葉はさらさら舞い落ちるかさかさと乾いた音が降り積もるあとからあとから降り積もり見る間に大地を埋めつくす落ち葉に埋もれた木の実を探しあちらこちらで小鳥の地鳴きのぞき見る窓越しにあたたかなこもれび一年の生命のにぎわいのその後穏やかに来る森の静寂やがてくる厳しい寒さに凍てつく前に暖かな毛布で包み込むよう
2021年11月11日 16:38
毎一日の氏神詣の帰り道澄み渡る空を見上げて散歩道水路沿いを歩いて出会ったのは昔ながらの田んぼの景色たわわに実った稲を根本から刈りとって田んぼに建てた竹竿に袈裟懸け天日干しお日様と秋風を受けて十分に乾いたら実の部分だけを千歯扱きで梳きとって、籾殻付きの美味しいお米へ実を取って残った部分も捨てることなく有効利用稲藁は家畜の餌や畑の優れた保温保湿材として精米し
2021年11月8日 15:17
若葉の頃に植え付けてから春夏秋をじっくり育った生姜の子ピンと伸びた緑葉が枯れていよいよ そろそろ収穫のサイン土くれの中の立派な塊をイメージしそろりそろりと掘り出せば鼻先に感じる爽やかないい香り薄紅の根本が現れてその先に連なる新生姜さらにその先にお馴染みの根生姜が顔を出す煮物に焼き物に炒め物和食に中華に洋食どんな料理も引き立てる名脇役は身体を芯から温め
2021年11月5日 17:42
冬越し野菜の植え付けを終えてあれこれ芋掘り作業もひと段落で今日は畑をひと休み好天に誘われて近所を散歩秋ど真ん中をからだに浴びる見上げれば、天高く遥かに浮かぶ銀の翼緩やかな川の流れには染め始めの紅と青空、そして白い雲社の紅葉は陽の当たる場所から染まり始めてグラデーション銀杏葉は黄色く、桜葉は茶色く足元の枯葉の間には鮮やかな藍色の竜胆畑に続く畦の坂道には菊の花
2021年11月2日 11:50
初めて育てた菊芋4株背高のっぽの黄色い花が根元にたくさんのみのりをこしらえた背高のっぽを支えるために四方に張り巡らせた根っこの先のあちらこちらでみのらせたので小芋まで残さず掘るのは大変そうなるほどそれが彼らの生き残り策掘り残しから次の芽が新しい命をつないでゆく芋と言いつつシャキシャキで百合根のような舌触り甘味もホクホク感も少ないけれど高血圧に効く
2021年10月20日 17:12
晴れ渡る空 少し冷たい風病明けの身体を慣らしながら陽だまりで久しぶりの土弄りニンジンの畝で野の草退治 その最中目に飛び込んで来たキアゲハの子この親にしてこの子ありの美形葉茎を喰らい ムチムチのマルマルニンジン色のドットが可愛らしいが よく見れば 周りに仲間もいるし放置すれば 畝ごと全部丸裸の予兆ひとさま分の青果を確保するには心を鬼に虫退治やむなしか無
2021年10月18日 13:58
数日続けて晴れた秋の週末やや遅ればせながらさつまいもを掘る5月の半ばに苗を植え付けてから150日ほぼ手間なしで育ってくれた孝行者はこの夏の天候不順にもめげないで四方八方に蔓を伸ばして葉を茂らせたっぷりしっかり芋を太らせた数が欲しけりゃ苗を寝かせてでかくしたけりゃ突き刺して植え付けの時に先輩に教わった通り今年の畑は大きめの芋がゴロゴロリ数日寝かせてうまみを