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エッセイ他

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長めの詩と、物語と、ポエムの延長線上にあるエッセイと。
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恋愛ソングが苦手な人のための音楽をクリスマスシーズンに向けて紹介してみる

恋愛ソングが苦手な人のための音楽をクリスマスシーズンに向けて紹介してみる

 冬の歌といえばクリスマスソング。クリスマスソングといえば恋の歌。つまり冬になると理解できない歌が増える。

 いや、まぁ、歌詞の意味は言葉としてわかるが、ロマンス的な感覚がピンと来ないのであくまで他人事。ハッピーラブソングなら良かったねと思うし、失恋ソングなら大変だねと思う。共感はできない。

 こんな自分でも音楽は好きだ。何を聞いているかというと、だいたいアニソンかゲームミュージック。というわ

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戸籍の性別変更要件と、自分の体を自分で決めるということ

戸籍の性別変更要件と、自分の体を自分で決めるということ

 戸籍の性別を変更するための手術要件撤廃に関するニュースを見た。手術要件を擁護する当事者のコメントが支持を集めていた。だから当事者が手術要件を支持しているという話ではなく、この現象自体が当事者に対する抑圧の強さを示していると思った。わがままは言わず、多数派に配慮して許していただかなければならない、そういう精神が染み付いているような気がした。

 僕自身は手術要件はなくていいと思っている。ホルモン治

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ジェンダー規範の圧を感じる

ジェンダー規範の圧を感じる

 トランスジェンダーでノンバイナリーでアロマンティックでアセクシャル、みたいな属性で生きようとすると、性に関して全方位から圧力を感じる。

 出生時に割り当てられた性別に基づいて、「お前は女だ」とか。

 「(たとえトランスジェンダーであっても)性別には男と女の二種類しかない」とか。

 「恋をしないのは人間として不完全」とか。

 人の価値が性的な魅力によって決められていたりとか。

 その上で

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性のあり方を振り返る

性のあり方を振り返る

 性についていずれちゃんと書かなければならないと思っていた。

 当事者研究と懺悔を合わせたような真面目な考察のつもりではあるが、直接的な表現も含まれるため、苦手な方はご注意を。

 平気だよという方は、ナショナルジオグラフィック気分で直凪の生態を見てくれたら良いと思う。こういう性の形もあるのだと知ってほしいし、人間ってわけわからんくてオモロいなと思ってもらえたら嬉しい。

 私にとっての性的な惹

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落とし所をどこにつけるか

落とし所をどこにつけるか

 最近ジェンダーアイデンティティが揺らぐことがあっていろいろ考えていたが、この性別違和に対して具体的に何か手を打つことは、少なくとも当面はしないと思う。

 その理由を以下に整理してみる。

 まず現状では人との関わりが少ない。性別移行の理由として、一般的にはパートナー関連の問題が結構な重みを持っている場合が多いと思う。パートナーを見つけるにしても、性的な関係を持つにしても、望む性別の形に近い体を

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性別を医学的に決められるのは怖い

性別を医学的に決められるのは怖い

 性自認は遺伝子で決まるという説を目にして怖くなった。

 トランスジェンダーがトランスジェンダーであることが医学的に証明できるようになると喜ぶ人もいるかもしれない。でも僕はそういう発想自体が怖いのだ。

 遺伝子を調べたら僕の自負する性別がわかると考えるなら、僕の性別を他人が決められることになる。僕が何を感じ何を考えているかなんて何も知らない専門家が、あなたは女ですとか男ですとか勝手に判別するの

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暗黒時代と裏切りの罪

暗黒時代と裏切りの罪

 今の私の感じからは想像できないかもしれないが、小学生の頃はどちらかというとお調子者的な面があり、変わり者だったのは確かだが、「愛すべき狂人」くらいのポジションで受け入れられていたように思う。体が大きく成績も良かったから一目置かれていたのかもしれない。家では我慢することも多かったものの、学校では好き勝手に楽しくやっていたのである。

 転機となったのは、私立の中高一貫校への入学だった。入学と同時に

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「男嫌いのトランス男性」だったのかもしれない疑惑

「男嫌いのトランス男性」だったのかもしれない疑惑

 ここ数年は自分の性自認を男女どちらでもない「Xジェンダー」と位置付けてきたが、実は内面は男性に近いのに「男であること」から逃げていたのかもしれないと思い始めた。

 きっかけはX(Twitter)のスペースだった。

 タイトルの通りノンバイナリーのお二人がおしゃべりをするスペースなのだが、今回は「子供の頃、ジェンダー的に影響を受けたキャラクター」について話されていた。魅力的だったキャラ、共感し

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産みたくない僕の話を聞いて

産みたくない僕の話を聞いて

「子供、欲しいの?」

 グレーのスウェット姿の彼はベッドに寝転んだまま「いてもいいかなと思って」と答える。視線はスマホの液晶の上を細かく上下し続けている。

「どうしてそう思うの?」

「んー、なんとなく?」

 彼は寝返りを打って、にへらと口元を緩める。

「こちらは産みたくないし、今の状況で育てていくのも無理だと思っています。子供が欲しいなら説得してよ。どうして子供が欲しいの?」

 彼はス

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