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エッセイ どんなに悲しくたって別にいいよ
クリスマスに別れることなんてあるんだと思った。しかも振られた方ではなくて、自分から別れを告げた方だった。僕はもう会わないというのに、最後に手を繋いで歩いた。自分勝手でわがままで最低だと思った。
数日前に彼女の家に何気なく遊びに行き、一緒に近所のパン屋で買ったパンを食べていた。せっかく買ったパンをトースターで焦がしてしまったのを彼女はケラケラ笑っていて、これだけ笑ってくれるなら焦がしてしまってよか
やっぱりすこしさみしいね
異動があり、今の職場での勤務が残り2日となる。今日と明日で、たくさんのさよならがある。別なところで働くという実感がなかったのに、みんなが挨拶にくるものだから、さよならが突きつけられてさみしくなる。
会えると思えば会える関係なんかじゃなくて、行ったら会える、そんな関係は実は尊くて短い。教室のクラスメイトとか、職場の同僚とか、同じ空気を吸った回数だけ、さよならがさみしい。
自分の登場人物がどんどん増え
春、始まりと終わりと続き
ツカツカと革靴の音が近づいて来て、すぐに店長だと分かった。半年も同じ生活圏内で過ごすとそれが誰の足音か分かるようになる。動き回る仕事だというのに、肩書きが足元をかたくしていて可哀想でもありかっこよくもあった。
「火花さん内示。○○市役所前店」
そっと静かに店長はそう言った。去年の8月に異動したばかりだったので、早いなと思ったが、この店で次異動があるのだとすれば、僕なのだろうと予想はできた。
大学時代の友人から結婚の報告の電話があった。嬉しかったけど悲しかった。そんな自分が憎かった。