半熟

トランスジェンダー、アスペルガー障害、双極性障害のサラリーマン。

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トランスジェンダー、アスペルガー障害、双極性障害のサラリーマン。

記事一覧

ASD・FTM・双極性障害でどうやって生きてきたのか(その2)

さて、その2ではぶち当たった困難について書いていきます。 まずは【幼少期~小学校編】です。 男か、女か。僕が最初に自覚していたのはFTMでした。 記憶の始まる3歳のと…

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1年前

ASD・FTM・双極性障害でどうやって生きてきたのか(その1)

タイトルにあるように僕はASD(アスペルガー障害)・FTM(女性→男性)・双極性障害の3つの特徴を持った36歳(令和5年4月時点)です。 色々な要素が自分を成り立たせてきたの…

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1年前
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おとなの読書感想文6

『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎映画化されたので読んでみました。伊坂幸太郎は大学生のころに好んで読んでいました。ほとんどの作品は読んでいる気がします。…

半熟
4年前

こんまりメソッド~ときめきとサンクコスト~

アメリカでも大ブームを起こした近藤麻理恵さんの『人生がときめく片付けの魔法』をついに読みました。「ときめき?」と読むまではピンとこなかったのですが、自称・片付け…

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4年前
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おとなの読書感想文5

夏の文庫フェアのラインナップを見て、自分は結構ありきたりな読書をしているのだと気付きます。色々読んでいますが、これはいい!というのは確率的にフェアで取り扱われる…

半熟
4年前
4

躁と怒りの関係

躁状態と一言で言っても人それぞれだと思う。僕の場合は「怒り」が一番ひどい。口達者で理詰めするので、言葉で相手を追い込む。責め立てる。それがどんなに怖い思いをさせ…

半熟
4年前
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おとなの読書感想文4

『有頂天家族』森見登美彦森見作品の中でも上位に入る。「退屈している暇がない」というフレーズがとてもいい。人生を、日常をそう思って過ごせることに憧れる。これも『ぼ…

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5年前
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おとなの読書感想文3

『バベル九朔』万城目学読んだのが数年前なので内容云々はあまり語れないのですが、久々に万城目学だ!と感じた作品でした。初期の『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』はす…

半熟
5年前
3

おとなの読書感想文2

今回は「中高生への推薦図書」です。 司書教諭の資格を持っており、図書委員の先生になるのが夢でした。図書だよりで生徒たちがそれぞれに本を紹介する場面に立ち会いたか…

半熟
5年前
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おとなの読書感想文1

読書メモをしようと思います。気まぐれで始めたのでおぼろげな記憶のもと書いています。しかしそれが実は本当の読書感想文だったりするかもしれません。 『蜜蜂と遠雷』恩…

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5年前
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『クヮルテット』が問う、本当のしあわせについて

なだいなださんの『クヮルテット』という本があります。ブルー・ボーイ事件を題材にした小説です。クヮルテット、四重奏のことです。4人の視点でひとつの事件が語られます…

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5年前
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『きりこについて』から学ぶ自己肯定感

『サラバ!』に続いて西加奈子さんの『きりこについて』を読んだ。『サラバ!』は2014年、『きりこについて』は2009年の作品である。同じ著者の作品を続けて読むことは多い…

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5年前
4

『サラバ!』とゲシュタルトの祈り

西加奈子さんの『サラバ!』を読んだ。姉・貴子の言う「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」は多くの人の心に突き刺さっているようだ。貴子の言葉でい…

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5年前
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自他のあいまいな境界線

「アスペルガー 恋愛」と検索すると山ほど情報がヒットする。それだけ躓いている人がいるのだろう。 さて、僕は恋愛依存症だと指摘され、自身の中で何が起きているのかを…

半熟
5年前
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ASD・FTM・双極性障害でどうやって生きてきたのか(その2)

さて、その2ではぶち当たった困難について書いていきます。
まずは【幼少期~小学校編】です。

男か、女か。僕が最初に自覚していたのはFTMでした。
記憶の始まる3歳のときには自分のことを男と思っていましたし、幼馴染に「自分のことを男と思ってたんでしょ?」と馬鹿にしたような発言をされたときには顔から火が出そうでした。
このことは誰にもバレてはいけないんだ…と幼心にもわかりました。
それから僕は“ボー

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ASD・FTM・双極性障害でどうやって生きてきたのか(その1)

タイトルにあるように僕はASD(アスペルガー障害)・FTM(女性→男性)・双極性障害の3つの特徴を持った36歳(令和5年4月時点)です。
色々な要素が自分を成り立たせてきたので、どれかに特化した記事を書くのが難しく、同時にすべての要素をまとめた記事を書くこともなかなかに困難で数年のブランクができてしまいました。

最近、過去に就労支援でお世話になった事業所のアンケートに答えたり、職場で性的マイノリ

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おとなの読書感想文6

『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎映画化されたので読んでみました。伊坂幸太郎は大学生のころに好んで読んでいました。ほとんどの作品は読んでいる気がします。伊坂トリックは大好きなんですが、ほとんどの作品でガンガン人が死ぬのでそれが結構しんどいと思うことが増え、遠ざかっていました。マーベルのように伊坂ワールドで作中の人物が入り乱れるのは楽しいです。さて、本作ですが、あとがきにもあるように伊坂作品

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こんまりメソッド~ときめきとサンクコスト~

アメリカでも大ブームを起こした近藤麻理恵さんの『人生がときめく片付けの魔法』をついに読みました。「ときめき?」と読むまではピンとこなかったのですが、自称・片付けの鬼の僕が常日頃感じるままに片付けしていたことが言語化されていて感動しました。

1.「ときめく」とはなにか

とても曖昧な表現ですが、それには訳があります。価値観は人それぞれだからです。居心地の良い部屋とはなんでしょうか。視界に入る服、本

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おとなの読書感想文5

夏の文庫フェアのラインナップを見て、自分は結構ありきたりな読書をしているのだと気付きます。色々読んでいますが、これはいい!というのは確率的にフェアで取り扱われるような本になりやすい。良作だからこそ時を経ても読まれ続けるのでしょう。さて、久々に読書感想文を書きます。

『旅をする木』星野道夫きわめて個人的な、社会の尺度からは最も離れたところにある人生の成否
  ―パーソナル・ディフィニッション・オブ

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躁と怒りの関係

躁状態と一言で言っても人それぞれだと思う。僕の場合は「怒り」が一番ひどい。口達者で理詰めするので、言葉で相手を追い込む。責め立てる。それがどんなに怖い思いをさせているのか、渦中にいると全く気付けない。冷静になるために、少し落ち着いたときに怒りにまつわる書籍を読んでみた。

怒りにつながる要因としては、相手への役割期待のズレがひとつ。周囲の人に対して勝手に「この人はこうだ」と決めつけ、それから逸れた

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おとなの読書感想文4

『有頂天家族』森見登美彦森見作品の中でも上位に入る。「退屈している暇がない」というフレーズがとてもいい。人生を、日常をそう思って過ごせることに憧れる。これも『ぼくは勉強ができない』みたいにスマートに生きるというか、しがらみに捕らわれない自由な生き方がいいなと思う。これくらいの気持ちで生きられたらいいのだろうな。誰にも迷惑をかけずに、世間に申し訳なさも持たずに。ドタバタな出来事が起きるけれど、始終平

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おとなの読書感想文3

『バベル九朔』万城目学読んだのが数年前なので内容云々はあまり語れないのですが、久々に万城目学だ!と感じた作品でした。初期の『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』はすごく面白くて好きでしたが、『プリンセス・トヨトミ』『偉大なる、しゅららぼん』『とっぴんぱらりの風太郎』あたりが、ううーん(--;)と感じていました。たぶん面白くないと感じていたのは設定に無理があるように感じたからだと思います。鬼を操ってのバ

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おとなの読書感想文2

今回は「中高生への推薦図書」です。
司書教諭の資格を持っており、図書委員の先生になるのが夢でした。図書だよりで生徒たちがそれぞれに本を紹介する場面に立ち会いたかった。叶わなかった夢をここで昇華します。教員になって生徒たちに「おすすめの本なんかある?」って聞かれたら紹介したかった本たち。

『カラフル』森絵都ド定番ですが、これはマストですよ。僕も中3のときに生徒指導の先生に勧められて読みました。中学

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おとなの読書感想文1

読書メモをしようと思います。気まぐれで始めたのでおぼろげな記憶のもと書いています。しかしそれが実は本当の読書感想文だったりするかもしれません。

『蜜蜂と遠雷』恩田陸圧巻でした。凡人だと登場人物が動揺したり緊張する場面を読むと「ミスに繋がっちゃうのかな。台無しになる?」と不安になりましたが、杞憂でした。そういう次元の人たちじゃない。天才たちの世界で、化学反応が起きていく様はあまりにすごくて言葉を失

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『クヮルテット』が問う、本当のしあわせについて

なだいなださんの『クヮルテット』という本があります。ブルー・ボーイ事件を題材にした小説です。クヮルテット、四重奏のことです。4人の視点でひとつの事件が語られます。傍聴人、MTF当事者、検察官、医師の4人。

ブルー・ボーイ事件はトランスジェンダーの方なら一度は聞いたことがあるかと思います。健康体の男性(MTF)から生殖器を切除したことが違法に当たるとされ、以後、日本国内での性転換手術がさも禁止であ

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『きりこについて』から学ぶ自己肯定感

『サラバ!』に続いて西加奈子さんの『きりこについて』を読んだ。『サラバ!』は2014年、『きりこについて』は2009年の作品である。同じ著者の作品を続けて読むことは多い。1作品だけではわからなかった発見ができる。『サラバ!』では貴子のセリフが胸を打つ(過去記事)。この作品においてだけの発言だったらとんでもなく鋭利な、尊い、救いのような言葉だと思う。キラキラ光る奇跡のように感じるだろう。しかし、遡る

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『サラバ!』とゲシュタルトの祈り

西加奈子さんの『サラバ!』を読んだ。姉・貴子の言う「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」は多くの人の心に突き刺さっているようだ。貴子の言葉でいう「幹」を持ち合わせていない人は多い。かく言う僕もその一人である。依存について勉強していく中で、アダルトチルドレン(AC)かもしれないと気付いた。アスペルガー障害や双極性障害の特徴との類似点もあったので確証はないが、「ゲシュタルトの祈り」を

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自他のあいまいな境界線

「アスペルガー 恋愛」と検索すると山ほど情報がヒットする。それだけ躓いている人がいるのだろう。

さて、僕は恋愛依存症だと指摘され、自身の中で何が起きているのかを分析することにした。冒頭にあった通り、山ほどヒットする情報を自分用にカスタムして記録する。今回こうして記録を取るために情報をネット・書籍・文献などで収集してそれを自分の場合に当てはめてまとめているけれど、当事者は自分を理解するためにこの作

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