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【読書感想文】ジョージ・オーウェル「一九八四年」

皆様、こんばんは!
日夜ディストピアに怯えている男、小栗義樹です!

本日は読書感想文です!僕が読んだことのある本について感想文を書き、皆様にご紹介していくという試みです。

さっそく本題に参ります!

本日は、

一九八四年という本についてです!


この本は、戦後まもなくしてイギリスの作家ジョージ・オーウェルによって執筆された、ディストピア小説です。

簡単に話の内容をまとめると、世界にある3つの超絶独裁政治大国(オセアニア・ユーラシア・イースタシア)が常に戦争を続けているという世界の中で、オセアニアに住む中流階級の国民ウィンストン(主人公)が、この国の独裁的な政治・洗脳疑惑に疑問を持ち、国の監視を欺きながら闇を暴こうとするというお話です。

リアルな洗脳手段と支配手段が描かれていて、最後まで救いのない物語となっています。全世界で、情勢が不安定になるとこの本が売れるという状況が続いていて、一九八四年のような世界がこない事を多くの人が危惧しているという、そんな現象が生まれている物語でもあるわけです。

僕がこの本を最初に読んだのは高校生の時でした。最初に読んだ印象は、とても怖いというものだったと記憶しています。生々しくて、世界がいつそういう状態に陥ってもおかしくないと感じ、怯えたものです。

それから何度か読み返していますが、読み返すたびにこの本には、恐怖の他に教訓があることが分かります。

この本は世界の支配方法・当時理想とされていた社会主義に向かうまでの途中段階が描かれていると思います。人類が統一されてこそ社会主義は完成するという世界観の中で、人間は歴史から人類の統一方法を学んでいき、最終的には言語・単一的な思考を奪うことが出来れば、自由な思想を必要としないという解答が導き出される。しかしそこには幸せなどは無く、幸せなのは支配階級のみという結局は資本主義がもたらす結果に落ち着いてしまうという内容が事細かに記されているのです。

教訓というのは主義・体制のことを考えさせられるだけというものではなく、自分の生活に置き換えた時に、この支配方法が如何に危険かという抑止力になるという部分もあると思っています。

僕が社会人1年生の頃、入社した会社でとある研修が行われました。表向きには立派な社会人を作るという名目でしたが、実際に参加してみると、それはただ会社に依存させるための支配的な研修だったのです。

最終的に僕は、あんまり研修にのめりこまずに済みました。いつだって会社をバカにして、ただただヘラヘラと社会人ライフを送り、最終的には給料泥棒をして、今は1人、独立してのうのうと生きているわけです。

あの時、あの研修にハマった人たちは、辞める時も続ける時も苦しそうでした。それは、研修によって刷り込まれた支配が大きく影響していたと思います。

なぜ僕がその支配の影響の外にいることが出来たかというと、結果的には一九八四年という本を読んでいたからだと思います。その研修で行われていた各セッション(項目)の真意は、言語を奪う・単一思考を辞めさせる・常に監視を続ける・自分が無力である事を突き付けるというものでした。一九八四年に通ずる洗脳及び支配の方法には、こういう要素が丸々詰め込まれていて、研修でそれを読み解くことが出来た時点で、回避方法は容易に想像できました。この研修はそれこそ、ゴールドスタインが残した「あの本」に書かれていたことを体現したものだったと思っています。だからこそ僕は、その謎の研修にハマることなく、今ものうのうと楽しく生きているわけです。

このように、一九八四年という本は、自分の身近な世界に置き換える事でも、大変役に立つと思います。ハラスメント・心へのダメージ・精神的ストレスなどが増えた現代社会において、一九八四年によって、その仕組み・ノウハウを学び、生まれた時からその世界を生きている人間の末路がどうなるのか?を知っておくことは、現代教育の中で必須なのではないかと思うのです。

お話自体もとてもハラハラしますし、盛り上がりどころも沢山あります。ストーリー自体がとても面白いので、スラスラ読めておすすめです。

お近くのブックオフ・古本屋などに行く機会があれば、ぜひ探してみてほしいなと思います。ちなみに僕は早川書房の新訳版を持っていますが、初めて読んだのは別の出版社の別の翻訳者の方が翻訳したバージョンでした。翻訳のニュアンスや言葉選びが意外と違うのが特徴なので、まずは読みやすい早川書房の新訳版をオススメします!

僕はSF小説の中でも、ディストピア系が好きなので、今後もこうした本を題材に感想文を書いていこうと思っています。

本日はここまでとします。また、明日の記事でお会いしましょう!

さようなら!


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