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【読書感想文】又吉直樹「火花」

こんばんは!
最近、右の瞼が極端に重いと感じている男、小栗義樹です! パソコンの見過ぎでしょうかね?(笑)

さて本日は、読書感想文を書いていきます!
過去に読んだ本・現在読んでいる本を、ジャンルを問わず感想文にしていくという試みです。

この感想文をきっかけに、「紹介されたから読んでみよう」と思って頂ければ、僕としては「してやったり!」です(笑)

今回は、

又吉直樹さんの「火花」で感想文を書きます!

2015年、第153回芥川賞受賞作品です。当時、芸人さんで芥川賞を受賞するなんてすごい!とかなり話題になっていたのを記憶しています。又吉さんは、お笑いコンビ「ピース」のボケを担当していますよね。僕が最初に又吉の存在を知ったのも、作家ではなく芸人としてでした。

火花は、定期的に読みたくなります。芸人として又吉さんを知った僕ですが、今では、作家としての又吉さんに触れることの方が多いです。火花の他にも、激情・人間・東京百景・第2図書係補佐などの本を発表していて、僕は全部持っています。共著されている作品は持っていなくて、集めたいと考えていますが、なかなか見つかりません。まぁ何が言いたいかといえば、それくらい作家としての又吉直樹さんが好きなのです。

もちろん、芸人又吉直樹さんも好きですよ! 渦というyoutubeチャンネルも毎回観てますし、綾部さんが海外にいる関係であまり見られませんが、ピースの漫才やコントのネタも大体見てるし知ってます。そういえば最近、綾部さんが日本に帰国して、ピースとしてトークライブをやりましたよね!

まぁこんな感じで、ピースとしても作家又吉直樹さんとしても、基本的な動向を追いかけるくらい好きです。月と散文も、最近本屋に行けてないから買っていませんが、空き時間を見つけ次第買うつもりでいます!

どうして僕が動向を追いかけるくらい又吉さんを好きなのかというと、すべてのキッカケは火花にあります。僕がこの本を読んだのは2017年の8月です。今でもはっきり覚えています。ちょうどこの頃、僕は軽いスランプに陥っていました。バンドの曲が上手く作れず、仕事もそこそこに回るようになり、野心とか指針が薄れ始めていたのです。

そんな状態の僕が、たまたま手に取ったのが火花で、この火花のおかげでスランプを脱することが出来ました。

火花が衝撃だったのは、創作とか表現における葛藤・苦悩・ジレンマみたいなものを、ここまで赤裸々に、きれいに言語化したことにあると思っています。当時の僕には、その一文一文が刺さりました。なんて胸をえぐる表現をするのだろうかと思いました。物語に乗せて、創作や表現を志す人間が持つ鬱屈をここまで丁寧に現した作品を、僕は今まで知りませんでした。

多くの人が読んでいると思うので、シナリオについては省略しますが、とにかくずっと暗いです。登場人物が全員、掃きだめの中にいる感じです。火花のすごいところは、芸術と人気のズレをリアルに描写している部分にあると思います。発想として面白くても、それが世の中の一般大衆には刺さらないという、普遍的だけど言語化されていなかった部分をものすごく克明に描写しています。

創作や表現を志した、あるいは憧れを持ったことのある人には必ず刺さる作品になっていると思います。

また火花には、人間の汚れ・醜さみたいなものが滲み出ています。大衆の生み出す醜さ・個人が生み出す醜さの両面が描かれていて、誰しもが、一度はその被害に見舞われたことがあり、悔しい・哀しいという気持ちを呼び起こされるのではないでしょうか? 初めて読んだとき、何度も読むのをやめようかなぁと思いました。それくらいこの小説はリアルだと思うのです。

今まで色々と書いてきましたが、正直なところ、この本が多くの人に読まれ、愛された理由は、上記のような感想だけでは説明が付かないよなぁと思ったりもします。もちろん、多くの人が表現者や創作者を志した・憧れた経験があるとは思うのですが、多分それだけではないのでしょう。

僕はこの小説から、人間への憧れ・可能性みたいなものを、醜さ・愚かさと同じくらい感じています。火花に出てくる人間は、とにかく等身大だと思います。1つ1つ応対・所作・対人関係が、これでもかと思うくらいちゃんとしています。きれいな部分も汚い部分も含めてです。

これって、又吉さんが今まで出会った人との関わり方をすごくちゃんと覚えていて、その都度分析してきたから出来る事だと思うのですが、そもそも人のことをきちんと覚えていて、その関わり方を分析できるのって、人が好きで・憧れているからだと思うんです。

この作品は、登場人物のみならず、本全体から人間臭さを感じます。又吉さんという人間が滲み出ていて、物腰の柔らかさとか臆病さとか人見知り感が表れているから、みんなが安心して購入し、読むことができるのではないでしょうか?

間違いなくオススメの小説です。色々と書きましたが、特に表現や創作を志している人にオススメです。色んな過去の情景が思い起こされます。反省したり、憤慨したり、悲しんだりしてもいいでしょう。自分の過去の扉が、ここまでバンバンノックされる経験を、まさか小説でするなんて思いませんでした。

ある意味バイブルだと思います。読んで損することはありません。お近くの本屋さん・古本屋さんにお立ち寄りの際は、ぜひ購入してみてください!


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