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暮らしの記録

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#家族

2泊3日の入院生活を終えて、SNSを手放した

2泊3日の入院生活を終えて、SNSを手放した

「明日から入院しましょう」
助産師さんにそう言われたのは、出産まであといくばくもないという日のことだった。

「入院」
突然の宣告に驚いて、おうむ返しになってしまう。

「入院と言っても、3日間だけですよ」
こういう事態は日常茶飯事なのだろう。こともなげに助産師さんは告げた。

なぜ急遽入院することになったかというと、血液検査の結果、血糖値が高かったためだ。
いわゆる、妊娠糖尿病である。

妊娠糖

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我が家で毎日食卓にのぼるもの

我が家で毎日食卓にのぼるもの

結婚してから初めて食べたものがある。
ひきわり納豆だ。

いや、初めてというのは嘘だ。納豆巻きを食べたときにそれと意識することなく口にしていたはずだから。
ともかく、これがひきわり納豆なのだとはっきりと自覚して食べたのは、結婚後のことだった。

結婚する前は納豆を好んで食べてはいなかった、と思う。
出されれば食べるけれど、自ら積極的に納豆を手に取ったりはしない。

ちなみに、納豆に対して中間的な立

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産後のウレシイこと

産後のウレシイこと

昨年10月末に2人目の子どもを出産した。

産後1ヶ月間は実家でゆっくりと過ごし、いざ12月に始まった家族4人での生活。

「子どもがいる生活って大変だよ」と1人目の出産のときはあちこちで耳にしたし、実際大変なことも多かった。
2人になったらいよいよ大変さも増すだろうと戦々恐々としていたのだけれど、蓋を開けてみると「意外にも楽」。そう感じることが多い。

そもそも子育てにおける大変さなんて主観によ

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こだわりを捨てたら、家族と過ごすのが楽しくなった

こだわりを捨てたら、家族と過ごすのが楽しくなった

 良かれと思ってやっていることが、実は家族には負担になっているんじゃないか。

 そう気付いたきっかけは、娘への「ちょっと待ってね」という言葉。
「遊ぼうよ」とまとわりつく娘に対して、台所で野菜を刻みながら「ちょっと待ってね」。娘と積み木で遊んでいるときでも、洗濯の終了を知らせる音が聞こえると「ちょっと待ってね」。
 今は子どもと遊ぶ時間!と決意しても、頭の中は次にやるべきことがぐるぐる回っていて

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手渡された温もり

手渡された温もり

「つわりのときは何を食べてた?」
そう夫に聞かれて、さてどうだったかと2年前の記憶をさかのぼってみる。

グレープフルーツ、豆腐、トマト、キャンディーチーズ

酸味があるものを好んで食べていたように思う。
味が濃いものや脂っこいものはダメで、ある日無性に食べたくなって夫に買ってきてもらったケンタッキーのフライドチキンは、一口食べてギブアップしてしまった。頭では食べたいと思っているのに体は拒否してい

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帰省(2)

帰省(2)

「浦西だから」
窓の向こうに空いっぱいの雨雲が広がっているのを覗きながら、そう母親がつぶやいた。朝は太陽が差し込んでいて、からりとした秋晴れの空のはずだった。ものの数時間でこうも天気が変わるとは。今朝スマホで確認した天気予報では、一日中晴れのはずだったのに。

ここ、京都府北部に位置する丹後地方では、丹後半島の近海を通る風の影響で、秋から冬にかけて気候が不安定になる。この不安定な天気のことを「浦西

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帰省

帰省

一年ぶりに実家に帰る。

小さい子どもを連れての長距離移動は勇気がいるものだ。電車で1時間、新幹線で2時間、そして車で3時間、合計6時間の道のりだ。
小田原から指定席に乗り込む。どうか隣の席に人が来ませんように。祈る気持ちでベビーカーをなんとか席の前に押し込んで、娘を膝に乗せると新幹線は動き出す。隣の席は空いたままだ。良かった。これで娘が泣き声をあげた時には席を立つことができる。前回の帰省のときは

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子育ての疲れを最も癒してくれるのは

子育ての疲れを最も癒してくれるのは

先日、娘のお気に入りの散歩道を歩いていると、同じように、娘よりも少し大きいと思われる女の子が母親に連れられて散歩をしていた。
娘は自分と同じくらいの年頃の子に興味津々だ。足を止めて吸い寄せられるようにその子を見ている。
興味があるのは相手の女の子も同じだったらしい。娘の方に近づいてきて、言葉にならない言葉で話しかけている。
そんな様子を見て、母親同士は軽く挨拶を交わす。

私の娘は、興味はあるくせ

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身近な人の言葉は素通りしやすいけれど

身近な人の言葉は素通りしやすいけれど

最近、夫の方がわたしよりも娘の扱いがうまい。
娘が泣いたときに泣き止ませるツボも心得ているし、笑いのツボも心得ているので、夫と遊んでいるとき、娘は終始大爆笑している。

でも、それ以上にわたしにとって意味があるのは、娘にごはんを食べさせるのがうまいということ。

食べ物の好き嫌いがはっきりしてきた時期ということもあり、最近の娘は偏食が目立つ。特に白米を食べたがらないので食事が一向に進まない。お気に

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夢を語りあえる関係は美しい

夢を語りあえる関係は美しい

「僕、宇宙飛行士になりたい」
ある日の午後のことだった。
わたしは台所に立ってお昼ごはんの準備をしていた。横では夫が座っていつものようにスマホを眺めている。そんな夫が不意にこちらを見つめて言った。

わたしは返事をせずに夫をまじまじと見つめた。夫はいたって普通の表情で「どう思う?」と重ねた。

聞きたいこと、言いたいことは色々あったけれど、それよりもまず口から出たのは「いいと思う」という言葉だった

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我が家の朝活事情

我が家の朝活事情

我が家の朝活をご紹介させてください。
まず、朝、目覚めます。起きる時間はその日によって変わりますが、夫が外出する時間に合わせて早くなったり遅くなったりします。

妻のわたしは起きるとまず、電気ケトルでお湯を沸かします。その間に電動ミルでコーヒー豆を砕いてコーヒーを淹れる準備をします。

お湯はすぐに沸かないので、待っている間に果物を切ります。その日冷蔵庫にある果物で、キウイやリンゴ、バナナがよく登

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14年間、送り続けられた段ボール箱

14年間、送り続けられた段ボール箱

シャワーを浴びていると玄関のインターホンが鳴った。我が家はどうも朝9時ごろに配送される区域らしい。ちょっと朝寝坊して布団の中でインターホンを聞くはめになったことも少なくない。急いで通話口に走り、荷物を外に置いてもらう。
「雨だから早めに入れてくださいね!」
そんな元気な声を通話口越しに聞きながら、手早く着替えた。
届けられたのは、どっしりと重たい段ボール箱だった。表には、天地無用やら、水濡れ厳禁と

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誕生日に友人からもらった5000円

誕生日に友人からもらった5000円

先日、年下の友人の家に遊びに行った。5月だというのに、夏が一足早くやってきたかのような暑さで、照りつける日光を避けてなるべく日陰を歩いた。

駅前で待っていてくれた友人が、駅から数分ほど歩いた場所にあるアパートまで案内をしてくれた。
そして自室に着くやいなや、「誕生日おめでとうございます」とラッピングされた袋を渡してくれた。彼女とは知り合ってまだ1年も経っていなかった。
誕生日を伝えた覚えはなかっ

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誕生日はいつもと変わらない朝から始まった

誕生日はいつもと変わらない朝から始まった

我が家の玄関の扉を開けると、細い廊下の先に行く手を塞ぐように突っ張り棒がかけられていた。そしてその棒にはまるで暖簾のように画用紙がぶら下げられていた。画用紙には、「誕生日、おめでとう」の文字が。下の方には小さく、「焼き鳥食べ放題、お茶飲み放題、ケーキもあるよ」という文字も。

手作りの暖簾をかいくぐり、扉をあけると、懐かしい音楽が聞こえてきた。これは夫婦の思い出の曲。
「いらっしゃいませー!」

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