見出し画像

我が家の朝活事情

我が家の朝活をご紹介させてください。
まず、朝、目覚めます。起きる時間はその日によって変わりますが、夫が外出する時間に合わせて早くなったり遅くなったりします。

妻のわたしは起きるとまず、電気ケトルでお湯を沸かします。その間に電動ミルでコーヒー豆を砕いてコーヒーを淹れる準備をします。

お湯はすぐに沸かないので、待っている間に果物を切ります。その日冷蔵庫にある果物で、キウイやリンゴ、バナナがよく登場します。もし果物がなければチョコレートなどのお菓子を棚から出してきてお皿に盛ります。

お湯がそろそろ沸くころですが、まだまだ準備することがあります。それは小さなおにぎり作り。これは娘の朝ごはんです。今、ようやくお粥から普通の硬さのご飯まで食べれるようになった娘ですが、まだ自分ですくえないので、小さなおにぎりにしてつまんで食べてもらいます。ラップにふわふわのご飯をティースプーン一杯おいて、そっと丸めて。それを10個くらい作ったら、海苔を適当に巻き付けます。

お湯が沸きました。準備しておいたコーヒーの粉がすでに香ばしい匂いを放っています。そうっとお湯を注いで。コーヒーがふくらむ様子を楽しんで。

温めておいたカップにコーヒーを注ぐと、夫がむくりと起き上がります。娘はすでに起きていてお気に入りのぬいぐるみを抱えて遊んでいます。

夫は即座にテーブルについて「さあ、コーヒーを持ってこい!」だなんて、これはお決まりの亭主関白ごっこ。「はいはい」と言って、カップをことりと机に置いて、果物がのったお皿も隣に並べます。
娘もベビーチェアに座らせて、おにぎりも目の前に置いてあげます。

そして声を合わせて、
「いただきます」

果物を食べ、コーヒーをひとくち、ふたくち飲んだら、ふたりで聖書を開きます。夫はスマホのアプリで、わたしは重たい紙の聖書で。
クリスチャンであるわたしたち夫婦は、ある日から毎日聖書を少しずつ一緒に読むようになりました。朝の数十分を使って。同じ箇所を互いに読み、思ったことをそれぞれ言います。そして近況などをシェアして、この朝活を閉じます。

✳︎

先月、結婚3年目を迎えた。早いものである。
結婚記念日にはおそろいの箸を買い揃えた。元々、友人がくれていた夫婦箸を使っていたのだが、2年使い続けて塗装がはげてしまった。あっという間の2年だったけれど、使い古した箸を見ると、共に過ごした歳月が決して短くはないことを知った。

2年も一緒にいると、相手のことがそれなりにわかってくるものである。
相手がどんなことでカチンとくるかも予測がつくので、巧妙に地雷を避けることもできる。毎日互いに大声で笑い合っていられるのは、互いの笑いのツボをわきまえているからだ。会話のテンポ、一人にして欲しい瞬間、好きな話題、苦手な話題。
一緒にいて、愉快な存在だと思えるためのさまざまなコツは、互いにそれなりに習得した。

だからこそ、夫婦で一緒に過ごす時間はとても楽だと感じたし、一緒にいることが好きだった。

でも、相手をわかってきたからこそ、真剣に向き合うことを避けるようになっていたのかもしれない。楽しく過ごしている最中に、相手に負担をかけるようなことをあえて口に出すことがためらわれた。たとえば子どものこと。たとえば仕事のこと。自分の仕事をもっとしたい。でもそのために子どもをずっと家で見続けることが難しい。

そんなことを夫と相談したかったのだけれど、そんなことを言うと今の楽しい時間は一瞬で崩れ、より面倒で、より神経を使う会話にとって代わるのが目に見えていた。
だからこそ、厄介な内容は自分の心に閉まっておき、夫婦ふたりが楽しめることを率先して話題にしていたのかもしれない。

あるいは、夫がわたしに対して真剣に向き合ってくれていないような気がしていた。常に一緒にいるときは冗談ばかり。陽気で楽しいと言えばその通りなのだが、わたしは真面目な話をする相手にはふさわしくないのだろうかと余計なことを考えてしまう。
夫は牧師をしている。多くの方の相談にのり、深刻な話をすることも少なくない。仕事では真面目な顔を見せるのに、妻に対しては真剣になってくれない。そんなひがみのような感情をどこかで持っていた。


そんなある日、言葉にできない不満が爆発してしまったことがある。そのあと、夫に提案したことが「朝、一緒に過ごそう」ということだった。
朝起きて20〜30分ほどの時間を共に過ごし、互いに信じている神に思いを馳せながら聖書を読み、思い思いに話す。朝活と言ってもただそれだけのことだ。
始めてから1ヶ月半ほど経つ。


効果はというと、不思議なくらいに不満を溜めることがなくなった。

単純な分析をするなら、要するにコミュニケーションの時間が毎日確保されたのだと思う。毎日決められたときに、夫婦で過ごす時間を持つ。そして勝手気ままに話すのではなく、ある程度の指針になるもの(わたしたちにとっては聖書)を元に、互いに率直に話す。ついでに近況だとか、悩んでいることだとか、目標だとか、日程だとかを共有する。
実はこのついでの時間もけっこう重要で、この時間で色々と相手のことがわかるから、以前だったら「聞いてなかった!」となることが、今はほとんどなくなった。また、この時間に夫婦で色々と新しい計画を立てたりもする。

年に一度、家族で旅行に行くとか、月に一度家族でお出かけをする、そんなことももちろん嬉しいけれど、毎日数十分、いや、5分ほどだったとしても、互いのために時間をとり、互いに向き合う時間があるだけで、ずいぶんと幸せになれるのだということを知った。


結婚3年目、このあたりはいわゆる倦怠期と呼ばれる時期らしい。「わたしたちは大丈夫」と思っていても、それなりに色々ある。相手を大事にするために何ができるのか、互いにハッピーでいられるように何ができるのか、今も模索中のわたしたち。
そんなわたしたちの小さな提案。朝、一緒にコーヒーを飲んでお話すること。努力しているとも呼べない、むしろ、素敵なひととき。いかがでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?