マガジンのカバー画像

何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.4

89
運営しているクリエイター

記事一覧

あなたにほめられたくて。

あなたにほめられたくて。

こんなことを公言してしまうのもどうかとは思うけど。

書き手としての自分を冷静に考えてみたとき、ぼくはそんなに優秀な人間ではないと思っている。謙遜ではなく、ポーズではなく、つくづく本音でそう思う。書きながらぐるぐるの道に迷い込むのは毎度のことだし、もっとうまく書けるはずなんだけどなあ、との思いはこの歳になっても消えることなく、もしかすると20代のころのほうがもっと自信満々に、どうだ、これ以外にない

もっとみる

スローライフ。フツーライフ。

日が高くなりはじめてから目を覚まし、布団に横たわりながらスコット・フィッツジェラルドの短編集『冬の夢』に収められた「罪の赦し」を読み進める。緊張感を含んだ物語が繊細な描写とともに進んでいく。

読書がひと段落すると、洗面所へ行って髭を剃る。奥さんが沸かしてくれたお風呂に入るためにドアをあけると、湯気がもわっと漏れ出てくる。浴室いっぱいに充満した湯気のおかげで湯船につかる前からあったかい。地味な幸せ

もっとみる
弱火でトロトロ書くように。

弱火でトロトロ書くように。

昨年のある暑い夏の日。額に汗がじんわりとにじむ夜。彼はうちの自宅へとやって来た。彼がいったい誰なのか、ぼくにはわからない。そんなぼくは顔に笑みを作っていたが、その仮面の奥はというと…自信がなかった。なんなら少し、困り気味だったかもしれない。それくらいに、ぼくには彼の存在の意味がとんとわからなかったのだ。

しかし、妻は彼のことを知っていたようで、快く我が家に招き入れていた。「うれしい!」と弾むよう

もっとみる
「ただひたすら褒め合う会」が控えめに言って最高だった話

「ただひたすら褒め合う会」が控えめに言って最高だった話

 こんにちは。褒められてますか?

 ぼくは昨日褒められすぎまして、ついウーロンハイを飲みすぎまして、まだあたまがちょっとクラクラしているなかこれを書いています。

 ……あ、昨晩、「ただひたすら褒め合う会」という飲み会を開催しましたので、緊急レポートします。

 そもそもはこのツイートが始まりでした。

 結論から言いますと、褒め合う飲み会、通称「ほめ会」は、全員がハッピーになりますし、控えめに

もっとみる

「バーフバリ」を観ると、自分がほんの少しでもビジュアルの仕事に関わっていると言うのが恥ずかしくなるくらいのスゴさを感じる。音楽も素晴らしい。くだらないことしてないで、あと10年くらい不眠不休で頑張ろう。

「らしくなさ」を磨くこと。

「らしくなさ」を磨くこと。

今日は女4人で、大阪から三重くんだりまでブルーベリー狩りへ行ってきた。車で片道2時間くらいか。
車中話題になることと言えば、大体決まってて、そりゃ恋愛の話になる。

そこで、盛り上がったのは、意外性を出すことで、異性の気を惹くことが重要だというハナシ。

なぜか、私がターゲットになって、どうすれば男性がその気になってくれるか、ということをビシバシ指摘された。

一、髪型をゆるふわにする。
∵私は常

もっとみる
受け入れる側が、常に正しいのか不安になってしまったドイツコメディ。

受け入れる側が、常に正しいのか不安になってしまったドイツコメディ。

「はじめてのおもてなし」

この邦題は良く出来ていると私は思う。ドイツは他の欧州先進国同様、前の大戦以降、幾度となく各国からの移民、難民を受け入れてきている。けれど、受け入れる側として、真っ向から対峙する「コメディ」ってあんまりなくて(日本に来てないだけ?)、「はじめての」はある意味、ドイツの難民受け容れ体制を皮肉ってるよなぁって。

これまでも何度も何度も受け入れてきている(トルコやベトナムやら

もっとみる
市原悦子さんが大好きな件。

市原悦子さんが大好きな件。

日本で好きな女優は、と聞かれたら迷わずそう答えます。いや、今までもそう答えてきました。

いつからかと言われると、多分小学生時分に「黒い雨」を見たときからだと思います。あとは大河ドラマで竹中直人演じる秀吉の母親役を演じたとき、かな。それから悦ちゃんの出るドラマ(もちろん「家政婦は見た」です)を見るようにしていたら、「桜乙女の事件帖」だったり「弁護士高見澤響子」だったり「いじわるばあさん」だったり色

もっとみる

ハレとケ:都会が祭りに見えた日

自分はコミュニティメディアの人であって、いわゆるコミュニティづくりとかコミュニティデザインとかになると専門外なのですが、なにかとそういう話の近くにいることもあり語る機会もないこともないので整理の意味も込めてコミュニティ観みたいなものを記してみます。

地方で生まれ育った人が東京で初めて渋谷だとか新宿だとかの人の多さを見て「これは何の祭りだ」と驚く、みたいな話はよくあります。

祭りというのは「ハレ

もっとみる
もう一度あなたに勘違いできるだろうか

もう一度あなたに勘違いできるだろうか

恋は勘違いのようなもの。

こんな言葉を耳にしたことがあるのだけれど、一体どこで耳にしたのだったか、そもそも耳にしたのではなく目にしたのだったか、それは定かではない。定かではないのだけれど、確かにその言葉はわたしの中にある。

確かにそうなのだろうなあ、なんて思う。誰かを好きになるきっかけなんて、たいていほんのささいなことで、そこからのめり込むようにして想いを募らせていきました。

ひとりで(あー

もっとみる
飲みこもうとするそいつに、わたしは全力で抵抗する

飲みこもうとするそいつに、わたしは全力で抵抗する

それはいつでもわたしの周りに漂っていて、気を緩めていると突然ふわりとわたしを包みこむ。

ぞわっとした寒気のような感覚のあと、襲ってくるのは強い吸引力。洞穴から風が吸いこむようにして、わたしのことを引き寄せようとする。

わたしはいつでもその風から逃げ出そうともがいて、必死に抗いつづけている。

……たとえるならば、こんなイメージ。

わたしのメンタルががくりと不安定に傾くときの印象です。

これ

もっとみる
フィルター越しの欲求

フィルター越しの欲求

「これがほしい」「あれがやりたい」「どこそこへ行きたい」「あれが食べたい」

人間の欲求は果てしない。欲求があるからこそ、物事へのモチベーションが上げられるという側面もある。

ただ、この欲求は、正しく育まれなければ健全に持てないものなのかもしれない、と思っている。

何度か話したことがあるけれど、わたしは何かを選ぶとき、真っ先に値段を見るくせがある。それは自分のお小遣いをもらい始める前、幼少期か

もっとみる
イライラ撃退法

イライラ撃退法

何となく、周りの人に対してイラついてしまう日、ありませんか?
約束したことをいつまで経ってもやってくれない人があっちにもこっちにもいるぞ、と思ったり、「私のこと軽く見てるよね?」という態度を人からとられてしまったり……。

「やるべきことをやってくれない人」に関しては、催促したらうるさがられるかな?と遠慮するのを止めて、リマインドの回数を増やすぐらいしかできることはないと思います。
こういう時は「

もっとみる

自分に自信がなくて、虚勢を張っている人と話すとこちらも苦しい。その人は一生懸命に弱点を隠そうとして、そのガードによっていいところも隠れてしまっている。弱点も含め素直に話ができれば、きっといいところが見つけられるのに。私は結構、誰かのいいところを見つけるのが得意だと思ってるんだけど