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パルプ小説:West Side Stream 7

パルプ小説:West Side Stream 7

第7話

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ドンキまで歩く。
駅のビルの隙間に太陽が沈む。
ビルの日陰を歩く。焼き鳥屋からドンキまで目と鼻の先だが、タバコに火をつける。
自販機のゴミ箱は溢れかえっている。タバコを捨てて、ドンキに入店。
ドンキの広告が、目に刺さる。2階に上がり、階段の左を曲がり、金麦(ロング)を持つ。
待ち合わせするには、ショート缶では短い。

金麦の缶を開けて再びタバコに火をつける

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パルプ小説:West Side Stream 6

パルプ小説:West Side Stream 6

「ガハハっ!」
焼き鳥屋に流れているテレビからの声が聞こえる。
「へい、お待ち!」
店主が焼き鳥をカウンターに置く。
「あっ、ありがとうございます。」
焼き鳥を頬張る。うまい。
ビールで流す。うまい。

店の外をみると、向かいがフィリピンパブになっている。
ビヤ樽体型のフィリピン人が、退店した日本人を見送っている。
まだ、夕方。
かれこれ、店の前で10分近く話している。
フィリピン人相手に粘りすぎ

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140字小説:スクロール

140字小説:スクロール

スマホの画面をスクロールする。情報が目に入って、頭に入った途端に画面を再びスクロールする。スクロールする前の情報はもう頭から消えている。
LINEの既読は付いているが、返信が無い。
そういえば、ここって、どこだ?
降りる駅はとうに過ぎている気がする。
再び、画面をスクロールする。

パルプ小説:West Side Stream 5

パルプ小説:West Side Stream 5

タバコが排水溝に落ちる。泥水でタバコの火が消える。
LINEを開く。

メッセージ:「こちらこそ!また飲もう!もも子ちゃん!」

メッセージを送る。
スーパーの搬入口まで歩く。

「Hey!」
スーパーのパートタイムのクルド人に声をかける。
クルド人が振り向く。クルド人は怪訝な顔をする。
「お疲れ様!」
缶コーヒーを渡す。
クルド人の顔が笑顔になる。
「アリガトウゴザイマス。」
「Can you

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パルプ小説:West Side Stream 3

パルプ小説:West Side Stream 3

「水割りでいいですか?」
「あっ、はい。」
薄暗い店内。
「イッラッsシャァセェー。ボトぅーる入りヤッス。」店内に聞こえるボーイの声。
ふと、あのおばちゃんは何だったんだろう?自分に問いかける。
「萌です。よろしくお願いします。」

「あっ、イトウです。よろしく。」

「ええww。自分の名前言っちゃうのww!?」
しまったぁ。つい癖で自己紹介してしまった。

「あっ、いや、違う」

「何が違うのw

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パルプ小説:West Side Stream 2

パルプ小説:West Side Stream 2

「乗るか!!この波に!」
「どっちの波に?」
私とキャバクラ行きませんか?と聞いた女性は、髪が白くツヤがない。服もヨレヨレになっている。年齢は、40代〜50代に見える。実はもっと若いのか?それとも老いているのか?わからない。
私は金麦を置く。
ドンキの前の交差点では、フィリピン人のおばちゃんが集団で話している。客引きなんかしていない。
「行きますか!面白そうだし!」
タバコを吹かしながら友人は答え

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パルプ小説:West Side Stream

パルプ小説:West Side Stream

「ギャーっ!!」
何やら叫び声が聞こえる。しかし、街を歩く人々は、その叫び声にリアクションも起こさない。
もしかしたら、ただアタマのオカシイやつが叫んでいるのかもしれない。
猫か?動物かもしれない。
そんなことはどうでもいい。この街では、そんなことはただの日常だってこと。
日常ってのは、朝起きてクソをして、歯を磨く。そして、タバコをまずいコーヒーと共に、吸う。これが日常だ。
歯を磨いた後にタバコを

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パルプ小説:賊害ペダル

パルプ小説:賊害ペダル

声が遠くから聞こえる。
近くのモノをボヤけて見えない。
学なんてモノはない。だが、自分には正直に生きてきた。他人がどう思ってるかは知らない。
今まで生きてきた中で、それが自分の誇りだ。
肩の神輿ダコが疼く。

レバーに触れる。
ボヤけてよく見えない。
P、S、D、N?
英語はわからん!学なんぞはない!
声が遠くから聞こえる。

レバーとスイッチが、たくさんある。
何がなんやら、わからん!
小賢しい

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短編小説:キャバクラおじさん

短編小説:キャバクラおじさん

<原文>

<タイトル>
キャバクラおじさん

<ベースストーリー>
あしながおじさん

<本文>
[10月13日(金)]
「ポーン♪」
スマートフォンの着信音で目が覚める。時刻は午前の11時。スマートフォン手に取り、通知画面を見る。

[通知センター]
愛梨ちゃん、お早う😍😃♥ 😃
天気悪いと気分もよくないよね(^^;(◎ _◎;)(T_T)^^;(・・;💔
じゃあ今日は会社休んで小生と

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長編脚本: Brute Belly

長編脚本: Brute Belly

第33回
新人シナリオコンクール応募作品
登場人物表

木村市之進:本作主人公。町奉行所勤務。
両兵衛:市之進の中間。
本橋清五郎:役人
斎藤勘解由(かげゆ):役人
島田輝信:役人
志村右之助:役人
香代:右之助の妻
 年齢は作中に都度記載。
他登場人物省略。

あらすじ
時代は江戸。
ある武士の切腹でこのストーリーは始まる。
城下町に暮らす本作の主人公である木村市之進。市之進の職業は、町奉行所に

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短編:ヌタウナギ

短編:ヌタウナギ

短編書きました。

<本文>
 私は、転職を行うため転職活動用のページを開いていた。ふと思い出したかのように、前の働いていた会社の検索を行った。会社のホームページより前にニュースページが引っかかった。ニュース見出しは、「顧客情報漏洩規模は数千件にものぼる」だった。ニュースを見出しを見たが、私は驚かなかった。薄々このようなニュースがいずれ出るだろうと思ったからだ。

<回想>
 私は、入社5年目のエ

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エッセイ:オールドデリー

エッセイ:オールドデリー

<本文>
<オープニング>
「ナンの、オカワリイリマスか?」
インド料理屋の店員が言う。
「んっふっ、お願いします。」
私は答える。
学生時代、よくインド料理屋で食事を取っていた。カレーが好きだったからだ。私を含めて、全ての日本人は、おそらくカレーが好きだろう。
日本人が経営しているカレー屋とインド人が経営しているカレー屋との決定的な違いは、ナンのおかわりが、自由と言う点だ。さらに付け加えると、南

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小説:瘤

小説:瘤

ショートショート大募集!『ラストで君は「まさか!」と言う』文学賞開催
出典作品

<本文>

<オープニング>

夏。サッカー部の朝練のために、早く家を出る。電車の発車時刻が迫っている。少し早歩きで駅に向かう。

電車に乗り、学校の最寄り駅に着く。最寄りの駅は、複数の中学高校大学がある学生街である。不審者に対する注意を促す張り紙が複数ある。学生街ならではである。毎年、暖かくなると、不審者に対する注

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小説:オーバーコール

小説:オーバーコール


ショートショート大募集!『ラストで君は「まさか!」と言う』文学賞開催
出典作品

<本文>

<オープニング:私①>

「私」は、今、警察と教師の事情聴取を受けている。調書をとっている場所は、学校の化学準備室。実験室の匂いは嫌いだ。これから話す内容を思うと、なおそうさせる。

今朝、「主人公」の死体が、近所の〇〇川で発見された。事件の原因である部活内でのいじめについて、これから「私」は警察に話そ

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