マガジンのカバー画像

脚本/小説

19
書いたやつ
運営しているクリエイター

記事一覧

パルプ小説:West Side Stream 7

パルプ小説:West Side Stream 7

第7話

---------------
ドンキまで歩く。
駅のビルの隙間に太陽が沈む。
ビルの日陰を歩く。焼き鳥屋からドンキまで目と鼻の先だが、タバコに火をつける。
自販機のゴミ箱は溢れかえっている。タバコを捨てて、ドンキに入店。
ドンキの広告が、目に刺さる。2階に上がり、階段の左を曲がり、金麦(ロング)を持つ。
待ち合わせするには、ショート缶では短い。

金麦の缶を開けて再びタバコに火をつける

もっとみる
パルプ小説:West Side Stream 6

パルプ小説:West Side Stream 6

「ガハハっ!」
焼き鳥屋に流れているテレビからの声が聞こえる。
「へい、お待ち!」
店主が焼き鳥をカウンターに置く。
「あっ、ありがとうございます。」
焼き鳥を頬張る。うまい。
ビールで流す。うまい。

店の外をみると、向かいがフィリピンパブになっている。
ビヤ樽体型のフィリピン人が、退店した日本人を見送っている。
まだ、夕方。
かれこれ、店の前で10分近く話している。
フィリピン人相手に粘りすぎ

もっとみる
140字小説:スクロール

140字小説:スクロール

スマホの画面をスクロールする。情報が目に入って、頭に入った途端に画面を再びスクロールする。スクロールする前の情報はもう頭から消えている。
LINEの既読は付いているが、返信が無い。
そういえば、ここって、どこだ?
降りる駅はとうに過ぎている気がする。
再び、画面をスクロールする。

パルプ小説:West Side Stream 5

パルプ小説:West Side Stream 5

タバコが排水溝に落ちる。泥水でタバコの火が消える。
LINEを開く。

メッセージ:「こちらこそ!また飲もう!もも子ちゃん!」

メッセージを送る。
スーパーの搬入口まで歩く。

「Hey!」
スーパーのパートタイムのクルド人に声をかける。
クルド人が振り向く。クルド人は怪訝な顔をする。
「お疲れ様!」
缶コーヒーを渡す。
クルド人の顔が笑顔になる。
「アリガトウゴザイマス。」
「Can you

もっとみる
パルプ小説:West Side Stream 4

パルプ小説:West Side Stream 4

頭が痛い。完全な二日酔いである。
タバコ屋の前で、タバコを咥える。
ポケットから、ライターを取り出す。昨日行ったキャバクラのライターだった。
火がつけば問題はない。
「hahahaha!」
コンビニの前で数人のクルド人がコンビニ酒をヤっている。声がでかい。

ライターを握り直して火をつける。
タバコの煙がうまく入らない。昨日、タバコを吸いすぎてしまった。しかし、癖のなのか何なのかわからないが火をつ

もっとみる
パルプ小説:West Side Stream 3

パルプ小説:West Side Stream 3

「水割りでいいですか?」
「あっ、はい。」
薄暗い店内。
「イッラッsシャァセェー。ボトぅーる入りヤッス。」店内に聞こえるボーイの声。
ふと、あのおばちゃんは何だったんだろう?自分に問いかける。
「萌です。よろしくお願いします。」

「あっ、イトウです。よろしく。」

「ええww。自分の名前言っちゃうのww!?」
しまったぁ。つい癖で自己紹介してしまった。

「あっ、いや、違う」

「何が違うのw

もっとみる
パルプ小説:West Side Stream 2

パルプ小説:West Side Stream 2

「乗るか!!この波に!」
「どっちの波に?」
私とキャバクラ行きませんか?と聞いた女性は、髪が白くツヤがない。服もヨレヨレになっている。年齢は、40代〜50代に見える。実はもっと若いのか?それとも老いているのか?わからない。
私は金麦を置く。
ドンキの前の交差点では、フィリピン人のおばちゃんが集団で話している。客引きなんかしていない。
「行きますか!面白そうだし!」
タバコを吹かしながら友人は答え

もっとみる
パルプ小説:West Side Stream

パルプ小説:West Side Stream

「ギャーっ!!」
何やら叫び声が聞こえる。しかし、街を歩く人々は、その叫び声にリアクションも起こさない。
もしかしたら、ただアタマのオカシイやつが叫んでいるのかもしれない。
猫か?動物かもしれない。
そんなことはどうでもいい。この街では、そんなことはただの日常だってこと。
日常ってのは、朝起きてクソをして、歯を磨く。そして、タバコをまずいコーヒーと共に、吸う。これが日常だ。
歯を磨いた後にタバコを

もっとみる
パルプ小説:賊害ペダル

パルプ小説:賊害ペダル

声が遠くから聞こえる。
近くのモノをボヤけて見えない。
学なんてモノはない。だが、自分には正直に生きてきた。他人がどう思ってるかは知らない。
今まで生きてきた中で、それが自分の誇りだ。
肩の神輿ダコが疼く。

レバーに触れる。
ボヤけてよく見えない。
P、S、D、N?
英語はわからん!学なんぞはない!
声が遠くから聞こえる。

レバーとスイッチが、たくさんある。
何がなんやら、わからん!
小賢しい

もっとみる
短編小説:キャバクラおじさん

短編小説:キャバクラおじさん

<原文>

<タイトル>
キャバクラおじさん

<ベースストーリー>
あしながおじさん

<本文>
[10月13日(金)]
「ポーン♪」
スマートフォンの着信音で目が覚める。時刻は午前の11時。スマートフォン手に取り、通知画面を見る。

[通知センター]
愛梨ちゃん、お早う😍😃♥ 😃
天気悪いと気分もよくないよね(^^;(◎ _◎;)(T_T)^^;(・・;💔
じゃあ今日は会社休んで小生と

もっとみる
長編脚本:Brute Belly(Short Ver)

長編脚本:Brute Belly(Short Ver)

<本文>
◯武家屋敷・裏庭
  表に二畳ほどの畳が敷いてある。そこの
  上には、白い着物に身を包んだ武士が一
  人。武士の目の前には、切腹用に用意さ
  れた短刀がある。
  切腹を行う武士は、志村右之助である。
  右之助は、銚子に注がれた酒を飲み、短
  刀に手を伸ばす。短刀を持ち、自身の腹
  に当てる。
右之助「んんっ!」
  右之助の声が漏れる。
介錯人「いざ。」
  介錯人が右之助

もっとみる
長編脚本: Brute Belly

長編脚本: Brute Belly

第33回
新人シナリオコンクール応募作品
登場人物表

木村市之進:本作主人公。町奉行所勤務。
両兵衛:市之進の中間。
本橋清五郎:役人
斎藤勘解由(かげゆ):役人
島田輝信:役人
志村右之助:役人
香代:右之助の妻
 年齢は作中に都度記載。
他登場人物省略。

あらすじ
時代は江戸。
ある武士の切腹でこのストーリーは始まる。
城下町に暮らす本作の主人公である木村市之進。市之進の職業は、町奉行所に

もっとみる
短編:ヌタウナギ

短編:ヌタウナギ

短編書きました。

<本文>
 私は、転職を行うため転職活動用のページを開いていた。ふと思い出したかのように、前の働いていた会社の検索を行った。会社のホームページより前にニュースページが引っかかった。ニュース見出しは、「顧客情報漏洩規模は数千件にものぼる」だった。ニュースを見出しを見たが、私は驚かなかった。薄々このようなニュースがいずれ出るだろうと思ったからだ。

<回想>
 私は、入社5年目のエ

もっとみる
長編脚本:卜殺(ぼくさつ)

長編脚本:卜殺(ぼくさつ)

概要第49回 城戸賞応募作本

あらすじ 殺し屋の過去を持つ岩田。現在は、殺し屋業をやめて、静かに山で狩人として生活を行ってる。ある時、ヤクザに追われている青年(青嶋)を助ける。その青年は、過去に岩田が仕事で殺した者の子供であった。岩田は過去の仕事(殺し屋業)に対して、自責の念がある。その青年(青嶋)を救おうと考える。
 青嶋は、ヤクザの大切なモノを盗んでいた
。そのため、ヤクザに追われていた。大

もっとみる