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パルプ小説:West Side Stream 5

タバコが排水溝に落ちる。泥水でタバコの火が消える。
LINEを開く。

メッセージ:「こちらこそ!また飲もう!もも子ちゃん!」

メッセージを送る。
スーパーの搬入口まで歩く。

「Hey!」
スーパーのパートタイムのクルド人に声をかける。
クルド人が振り向く。クルド人は怪訝な顔をする。
「お疲れ様!」
缶コーヒーを渡す。
クルド人の顔が笑顔になる。
「アリガトウゴザイマス。」
「Can you Speak Japanese?」
「スコシね。」
「日本に来てどのくらいなの?」
「ナガイヨ。ニホンタイヘンよ。ミンナ、ハードワーク。」
「うん、そうだね。」
「オニイサンはハタラカナイ?」
「仕事はしてないよ」
「ドウスルノ?」
「どうもしないよ。」
「ソウ。ワタシハツカレタ。ビールノミタイ。」
「あのおばちゃんは?」
「ah、イノウエサン?」
「そう。」
「ムスメサンサガシテルみたい。」
「ふーん。」

ブブッ
LINEの通知がくる。

通知センター
moe「よく覚えてるね笑てか本名ゆうのやめてよ!」

「娘ねー。ありがとうね。」
「ワタシ、シンパイね。イノウエさん。ジブンのコドモイナクナルのタイヘン?」
「辛い?」
「ソウ、ツラいね。」
クルド人は胸をさするジェスチャーをする。
「確かにツラいね。」

「hahahaha」
コンビニにたむろしているクルド人が大声で笑っている。手にはビールがある。

「カエルね。coffeeアリガトウ。」
【続く】

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