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映画感想ブログ「とまどいと偏見」

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2018年に劇場で観た映画の感想です。
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#映画評

ハード・コア

ハード・コア

社会の底辺ではみ出しながら生きる人達をずっと描いて来た狩撫麻礼さんの原作を、そこで生きる人達の哀しさとかかわいさとかバカさ加減を絵一発で(キャッチーに)見せる事が出来る漫画家いましろたかしさんが描いた「ハード・コア」。僕は2000年に上下巻でエンターブレインから出た版を買って読んだんですが、両先生の漫画をそれまでいくつか読んでいた印象から比べると、その軽さというかゆるさに魅力を感じてたんじゃないか

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斬、

斬、

2016年の「シン・ゴジラ」、去年の「沈黙-サイレンス-」と役者として観ていた(更に今年は朝ドラにも出てましたね。)のであんまり久しぶりな感じがしてなかったんですが、監督作としては2015年の「野火」以来ということで。「野火」のメッセージ性を踏まえながらも、「野火」以前の塚本節も感じさせる小品といった感じの塚本晋也監督初の時代劇「斬、」の感想です。

えー、塚本映画の特徴として、"人が人じゃなくな

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生きてるだけで、愛。

生きてるだけで、愛。

あー、と。この映画の感想で「泣けた。」って人が割と多くて、ちょっとビックリしたというか、「ああ、そうなんだ。」と思ったんですが、あの、個人的には、描かれているものが壮絶過ぎて泣くことも(こんなヌルい体験で共感と言っていいのか?って意味で)共感することも出来ませんでした!本谷有希子さん原作の小説を映画化した「生きてるだけで、愛。」の感想です。

もともと本谷有希子さんの小説は好きで何冊か読んでいて、

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ヴェノム

ヴェノム

“これを書いている2018年11月12日、この人がいなければアベンジャーズもMCUもマーベルも、というか今のアメコミ・ヒーロー物のこの流れはなかったという。スパイダーマンを始め数々のマーベル・コミックの生みの親であるスタン・リー氏が亡くなられました。95歳。2000年の「X-MEN」以降マーベル映画には必ずカメオ出演していた氏ですが、もう、映画の中に姿を探すことが出来なくなると思うと寂しいですね。

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デス・ウィッシュ

デス・ウィッシュ

「ホステル」シリーズ、「キャビン・フィーバー」、「グリーン・インフェルノ」、「ノック・ノック」と個人的に、今、一番追ってる監督、イーライ・ロスの最新作(ほぼ同時期に公開された「ルイスと不思議な時計」はまだ観れてないのですが、これまで、エグさとグロさとそれを笑い飛ばすユーモアで売って来たイーライ・ロスのファンタジー作品ということで、なんとか劇場公開中に観たいと思ってます。)で、1974年に公開された

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響-HIBIKI-

響-HIBIKI-

はい、えー、欅坂46のファンを公言している限り義務として観に行かなくてはならない。そして、劇場で観た映画は全て感想を書くという(自分内)約束のもとにこのブログを書いている以上、率直な感想を述べねばならないという状況において、何の贔屓目もない正直な感想が書けるのか?という迷いはありますが、いや、というかですね、もともと自分が映画を観始めたのは、アイドル映画全盛の80年代であり、話題になったそれらの映

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アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

世界で2人目にトリプルアクセルを成功(ちなみに世界初は伊藤みどり選手です。)させ、1992年のアルベールビルと1994年のリレハンメルの2度の冬季オリンピックに出場したフィギュアスケート選手のトーニャ・ハーディング。その夫による、ライバル選手ナンシー・ケリガンへの襲撃事件。オリンピックとか全く興味のなかった僕でも、顔を見たら「ああ、この人か。」ってなるくらい当時センセーショナルに報道されていたんで

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マザー!

マザー!

その胸糞展開で(倫理的になのか興行的になのかは分かりませんが、)日本公開中止となった映画なんですが、じつは、僕、ダーレン・アロノフスキー作品の中で、最も観終わった時にスカッとしたんですよね。というわけで日本では劇場で観ることが出来ない「マザー!」の感想です。

基本的にこのブログは、劇場で観た映画に限定して書いてるのですが、「レスラー」や「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキーの新作で、ジェ

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ハッピーエンド

ハッピーエンド

狂気ってどういうものなんだろうって考えた時に、"理解不能なエモーション"というのに思い至ったんですが、最近、一般的に言われているエモーショナルって言葉。感情的とか、何か熱いものを秘めた衝動とか、そこに愛情みたいなものが含まれるニュアンスがあると思うんですけど、そのエモーショナルの"理由が分からないバージョン"。これが狂気なんじゃないかと思うんです。(つまり、愛情や優しさや好意の意味不明な表現のし方

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