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神話論理3周目

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#構造

神話の「構造」はダイナミックで生成的である -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(61_『神話論理3 食卓作法の起源』-12)

神話の「構造」はダイナミックで生成的である -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(61_『神話論理3 食卓作法の起源』-12)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第61回目です。これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。

ちょうど中沢新一氏によるレヴィ=ストロース論『構造の奥』を読んでいるところ、ということで、今回の『神話論理』精読は、「構造」にフォーカスしてみよう。

神話の論理をどのようにモデル

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猿かに合戦で月を生成する深層の”心” -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(57_『神話論理3 食卓作法の起源』-8)

猿かに合戦で月を生成する深層の”心” -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(57_『神話論理3 食卓作法の起源』-8)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第57回目です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。

分離すべきところを結合し、結合すべきところを分離することと、親族構造の起源
前回の記事の最後にレヴィ=ストロース氏の友人であるジャック・ラカンの『精神分析の四基本概念』に記され

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うちそと あるない  -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(46_『神話論理2 蜜から灰へ』-20)

うちそと あるない -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(46_『神話論理2 蜜から灰へ』-20)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第46回目です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。

うちとそと、あるとない

内/外

有/無

うちとそと、あるとないの区別は、生きているわたしたちにとって、あまりにもあたりまえのことのように思える。

「わたし」は、この体の

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太陽の娘とキツツキの結婚における波動関数の収縮 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(31_『神話論理2 蜜から灰へ』-5)

太陽の娘とキツツキの結婚における波動関数の収縮 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(31_『神話論理2 蜜から灰へ』-5)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第31回目です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。

この一連の記事では、レヴィ=ストロース氏の神話論理を”創造的に誤読”しながら次のようなことを考えている。則ち、神話的思考(野生の思考)とは、Δ1とΔ2の対

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βスイカで主客未分の阿頼耶識に飛び込む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(29_『神話論理2 蜜から灰へ』-3)

βスイカで主客未分の阿頼耶識に飛び込む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(29_『神話論理2 蜜から灰へ』-3)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第29回目です。前回の記事はこちら↓です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみいただけます。

βスイカ突然ですが、スイカは、β化するのにとても適したΔ項である。

・・・

βとは?
Δとは何か?

という話については下記の記事

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対立関係は対立している事物よりも前から存在する-レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(27_『神話論理2 蜜から灰へ』-1)

対立関係は対立している事物よりも前から存在する-レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(27_『神話論理2 蜜から灰へ』-1)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第27回目です。前回の記事はこちら↓です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?!)いただけると思います。

前回の記事で『神話論理1 生のものと火を通したもの』を読み終わったので、さっそく『神話論理2 蜜から灰へ』に移行しよう

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清水高志氏の『空海論/仏教論』に導かれつつレヴィ=ストロースの『神話論理』を読む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(24)

清水高志氏の『空海論/仏教論』に導かれつつレヴィ=ストロースの『神話論理』を読む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(24)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第24回目です。

前回の記事はこちら↓です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができますが、これまでの記事を続けて読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。

さて今回は、クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』に入る前に、清水高志氏の新著『空海論/仏教論』を紐解いてみようと

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hyper-Δ項プレヤデス -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(21)

hyper-Δ項プレヤデス -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(21)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第21回目です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

前回の記事では、ワニの背に乗って水界を渡ろうとする主人公が、言葉のトラブルでワニに追われるはめになり、追いつかれてはやり過ごしまた追いつかれてはやり過ごす、追う者と追われる者が分離と結合を繰り返す、という因幡の白兎風の神話を取り

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川を渡ること・言葉を交わすこと/騙す言葉〜因幡の白兎  -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(20)

川を渡ること・言葉を交わすこと/騙す言葉〜因幡の白兎  -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(20)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第20回目です。

これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。

これまでの記事を読まなくても、今回だけでお楽しみ(?!)いただけるはずです。このシリーズのエッセンスは下記の記事に書いていますので参考にどうぞ。

「構造」は脈動する?!レヴィ=ストロース氏といえば「構造主義」の思潮のきっかけを

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分別しつつ、分別しない「心」から生じる世界 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(19)

分別しつつ、分別しない「心」から生じる世界 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(19)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第19回目です!

これまでの記事を読まなくても大丈夫。
今回だけでお楽しみ(?!)いただけるはずです。

このシリーズのエッセンスは下記の記事に書いていますので、ご興味ありましたら参考にどうぞ。

◇ / ◇

二重の四項関係はダイナミックな脈動の波紋であり
二重の四項関係が実体として「ある」わけではな

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1項に8項を幻視する叡智 −レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(18)

1項に8項を幻視する叡智 −レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(18)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第18回目です。

これまでの記事を読まなくても大丈夫。
今回だけでお楽しみ(?)いただけるはずです。

前の記事で、人間とAIがハイブリッドになっていく中で、近い将来「ことば」ということがどのようになっていくのか、その可能性をどのように考えることができるのか、といったことを考えてみた。

この「人間の」

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なぜ「舌切り雀」は舌を切られてしまうのか? -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(16)

なぜ「舌切り雀」は舌を切られてしまうのか? -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(16)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試み。

膨大な『神話論理』のオープニングにあたる『神話論理I 生のものと火を通したもの』は「料理の火の起源」や「ノブタの起源」といった神話から幕をあける。

ここで紹介されている「料理の火の起源」、「ノブタの起源」の神話は、南米の先住民の神話を記録した資料にあるものだが、その語りの展開をよくよく眺めると、わた

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深層意味論的神話分析「タバコの起源」にみる”未分離”と”分離”の「分離」 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(15)

深層意味論的神話分析「タバコの起源」にみる”未分離”と”分離”の「分離」 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(15)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試み。

* *

今回も前回に引き続き「鳥の羽根で葺いた小屋」が登場する神話である。

『神話論理I 生のものと火を通したもの』から、「文化財の起源」の神話を引いてみよう。この神話も、時系列で次のように展開している。

α未分離 →β分離 →Γ分離したものの結合 →Δ第二の分離

内容を詳しくみてみよう。

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”心”の意味分節システムを発生させる鍵は”両義的媒介項”にあり  -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(13)

”心”の意味分節システムを発生させる鍵は”両義的媒介項”にあり -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(13)

4歳になる下の子を保育園に送る途中のこと。犬が石畳の道を歩いていた。

犬の四本の足が、それぞれいそがしく宙に持ち上げられては石畳に降ろされる。そのとき、パタパタというか、パシパシというか、パラパラというか、冬の空気にぴったりな音がする。

その、わたしにとっては ”犬 の 足音” である音。

その音を聞いて、下の子がいう。

「足あとの、声がする!」



足跡の声
私: 犬 / の / 足

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