◆言葉による分節的認識・表現を強調すれば、それは絵画において輪郭線を引いて描くことに類比できる。他方、既製品の分節線のはっきりした輪郭線ゆえに、個が独自が感受した事柄を認識・表現できない、ともいえる。そこでダ・ヴィンチがスフマート技法を駆使したように、レトリックが要請される。
◆マルチネの二重分節(言語の持つ経済性(有限の素材)と創造性(無限の現象)).「有限のことばを使って無限のものごとを表現する...」佐藤信夫『レトリック感覚』62頁).対象(文、文学作品、世界)に応じ分節の相貌はかなり複雑であり、縦にも横にもかつ何重にも取りうるのではないか。
◆分節(articulation)は、差異の確認であると同時に同一の確認である。また、分節は、分割と接続であり、単に分割されたままのことではない。対象を、あるいは対象と「切り結ぶ」ことである。*伊藤忠夫「分節についての覚え書き(1)」357-394頁,中京大学教養論叢,2000.
名はいとおしく呼ぶための分節 一つの絶対的肯定