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がん と 生きること

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#がん

「癌が治ればそれでいいよね。」じゃねーんだよ!【癌治療と妊娠機能をのこす治療の狭間でもがく私の話、現在進行形】

「癌が治ればそれでいいよね。」じゃねーんだよ!【癌治療と妊娠機能をのこす治療の狭間でもがく私の話、現在進行形】

この言葉を聞いたことがある人は、今、この日本社会にどれだけいるのだろうか?と、今の私は思わずにはいられない。

それくらい、聞き馴染みのない言葉、聞く機会のない言葉であることは間違いない。

私自身も、昨年(2022年)12月、癌(悪性リンパ腫)になって初めて聞いた言葉だった。

2ヶ月前までは今まさに、これを読んでくれている皆さんと一緒だったから・・・。

癌(悪性リンパ腫)発覚。
12月1日、

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甘い誘惑に負けることはがん患者にとって良くないことなのだろうか?

甘い誘惑に負けることはがん患者にとって良くないことなのだろうか?

昨日、朝日新聞be「それぞれの最終楽章」第6回が掲載された。この連載もあと一回を残すのみ。原稿は既に最終回まで書き終わっていて、もう締切を気にすることもないのがちょっと寂しい。

第6回目のテーマは「がんの社会的イメージ」と「自分の中のがんへの恐れの変遷」。がんはある意味「社会病」だと思う。「がんは死の病」「余命」という言葉がいまだに跋扈し、患者は怯え、そういう社会が作ったがんのイメージが患者の気

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『ケモブレイン』について

『ケモブレイン』について

『ケモブレイン』という言葉をご存じでしょうか?
『ケモ』は、ケモセラピー(Chemotherapy)=化学療法=抗がん剤治療
『ブレイン』は、脳(Brain)です。
つまり、化学療法(抗がん剤治療)による脳障害、脳への影響のことです。
サラリーマンとか、フリーターなどと同じ、外国人に通じない和製英語だと思ったら、Chemo Brainでちゃんと通じるようですね。

そのような(どのような?)『ケモ

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Vol.6_【がん】治療と仕事。つらいときに頼れる場所や施策は?①

Vol.6_【がん】治療と仕事。つらいときに頼れる場所や施策は?①

がんになって思ったことそれは、病院の探し方や必要な手続きがわからないということのほかに、「同じがん患者さんと話したい。繋がりたい」ということでした。だって、わからないことが多すぎるから。そして、手術や術後の生活など、次々押し寄せる不安について、経験者の話を聞きたかったのです。

お金や仕事のこと、公的に利用できる制度はないか、知識がある方に相談できて、いつでもいける窓口が欲しい。そんな思いも持ちま

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驚愕

昨日は、厚生労働省人生会議(ACP)国民向け普及啓発事業に関する検討会に委員として出席しました。
普及啓発事業に関する検討会なので、事業受託側と話し合っていくことになります。

私が驚愕したのは、2019年の人生会議ポスターの件を、『お笑い芸人を使用したことで起こしたこと』として研修をしている方々がいるということと、『起用された芸人を傷つけてしまった』という事業者側からの発言です。

あの一件で、

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アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ②

アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ②

磯野さんから第二便 医療者の意図入り未来予想図確率の言葉から逃げるのはとても難しい今の社会。「いつ死んでも悔いがないように」という言葉に欺瞞を感じるという宮野さんの言葉に、磯野さんは引っかかる。医師が「急に具合が悪くなる可能性」を3週間先かもしれないと示す時、それは「かもしれない」確率ではなく、「避けられない」運命のの話になる。そして、科学的根拠や事例に基づいた「患者の未来予想図」という地図を見せ

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アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ(序)

アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ(序)

はじめにこの本を買ったのは2019年10月。Twitterで病理医ヤンデル(@Dr_yandel
)さんが激賞し激奨していたから。ヤンデル先生はいろんな本を激賞し激奨されるのでなかなか付いていけないけれども、すばらしい本に出合わせてくれている。『急に具合が悪くなる』のそのうちの一つだったけれど、哲学者と人類学者による往復書簡で、病(がん)について…と知っただけで「読まねば!」となった。

著者の宮

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安楽死って、どういうことだっけ。

安楽死って、どういうことだっけ。

自殺ではなく、安楽死とはどういうことだっけか。
自分自身の考えや疑問がめまぐるしく変わる。世の中の考えや疑問もめまぐるしく変わる。

2018年に写真家・幡野広志さんの書かれたものを読み、写真撮影をしてもらうと同時にお話する機会を得た。

クロベと。(撮影:幡野広志)

2019年にはジャーナリスト・宮下洋一さん、緩和ケア医・西智弘さんにインタビューさせていただくという機会に恵まれた。

情報や知

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私は役に立てない がんサバイバーと献血

私は役に立てない がんサバイバーと献血

新型コロナウイルス感染症の影響で、献血が不足している。

献血は、いつも不足している。さまざまなところに献血車が出向き、知恵を絞ったPRが行われている。私は輸血のお世話になったことはないのだけれど、がん経験者としても輸血用血液の重要さはとてもとても理解しているつもりだ。でも、これまで一度も献血をしたことがなかった。

高校生の頃、1年に2度ほど献血車が来ていた。文字通り血の気が盛んなお年頃だから、

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病歴⑧:抗がん剤治療開始

病歴⑧:抗がん剤治療開始

退院して、一週間もたたずに、再び入院した。
抗がん剤治療の初回のためだ。
新しい髪形は、病棟や緩和ケアの看護師さんたちが驚かせた。
それが結構、楽しかった。

入院した日に、薬剤師さんから使用する薬剤と副作用などの詳細なインフォームがあった。
初日には、まず、吐き気止めの経口薬が処方される。
点滴の内容は、抗がん剤が2種類、それに、吐き気止めと、過敏症を抑える薬が加わる。
抗がん剤には、アルコール

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病歴⑨:髪が抜ける

病歴⑨:髪が抜ける

1回目の抗がん剤治療で大きなアレルギー反応を示さなかったことから、続けてやっていくことになり、早くも次の週には2回目の点滴を受けた。
2回目であっても、2-3日前から不安感が高まり、過呼吸を起こすのではないかと思うことが何度かあった。
3回目の時には、パートナー氏が付き添ってくれたが、その時に抜け毛が増えていないかと指摘された。
それまで自覚はなかった。
ちょうどその頃から、脱毛が始まった。

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望まない延命と結婚式の狭間で

新型コロナウィルス感染症の影響で、3月末までに予定されていた学会、セミナーなどが、次々と中止、延期になっていきます。

対応にバタバタしつつも、遠方に出かけることが無くなり、心身は少し楽である日々です。

3月にNPOとして設立から丸5年を迎える希望の会。

この時間は、初心、今までの日々、そして、これからをみつめる機会なのだと思います。

【結婚式を楽しみにしていた人】希望の会の会員で、4年前の

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望まない延命をさせる家族に罰則をへの危惧

SNS上で『本人の希望ではない延命をさせる家族』という言葉を目にして

胸が塞がる想いがしました。

以前、テレビの特集でも、家族が過剰な延命を申し出ているというような内容に取れるものがあり、その時も同じ不安を感じました。

罰則を決めれば解決するという意見を目にしました。

虐待、犯罪という言葉…

確かに、本人が望まないことをするべきじゃないし、本人の人生です。

ただ、家族も衝撃を受けて混乱

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病歴⑦:抗がん剤治療に向けて

病歴⑦:抗がん剤治療に向けて

前回の記事に書き忘れたが、退院前の術後治療についての話し合いの場で、医師からは抗がん剤の作用と副作用の説明と、抗がん剤では腫瘍は減らせるが消えないことも説明された。
抗がん剤がどんな風に作用するのかと言えば、その時の説明を覚えている通りに書くが、細胞分裂が活発な場所に作用するのだそうだ。細胞分裂が活発な場所は3か所。1つはがん細胞、2つ目は毛根、そして、3つ目に骨髄である。
がん細胞の細胞分裂を、

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