Romi

認定NPO法人希望の会理事長、グリーンルーペ代表発起人をしています。夫をスキルス胃がん…

Romi

認定NPO法人希望の会理事長、グリーンルーペ代表発起人をしています。夫をスキルス胃がんで亡くしました。直滑降で生きています❢ https://npokibounokai.org/ (希望の会)    https://greenloupe.org/(グリーンルーペ)

最近の記事

覚悟

夫が旅立って間もない頃、私は厚生労働省がん対策推進協議会委員の打診を受けた。 その頃『抗がん剤をしたことないくせに』『自分の寂しさを活動で埋めている』など散々言われていた。 死んだら許してもらえるのかと思い、ハッと気づくと線路を見ていた。 打診を断ったら、当時の厚労省の担当者に『あなたは自分を守るために断るのか?』と言われた。 あれがターニングポイントだった。 その後、経歴も浅い『ポッと出』が目立ちたくて協議会委員を引き受けたと実名入りでネットに晒された。 誹謗中傷への

    • 自分を認める

      国際学会には通訳機はない。 講演、質疑応答が、多分わかっていることに1番びっくりしているのは私。 ディナーで、どれくらい英語を勉強してきたの?と聞かれて、「パンデミックが始まった時」と話したら驚いてくれて、なんか嬉しかった😆 パンデミックが始まって、私が痛感したのは、家に動物と私だけしかいないこと。 誰かと話したい。 それで始めたのがオンライン英会話と音声アプリclubhouse。 あまりの話せなさに凹んだけれど、人と話せることがありがたかった。 小学生の時、親の転勤で関

      • アドボケート

         先週、約8年の歳月をかけて願い続けてきた『ゲノム医療法』が参議院本会議で可決する瞬間を国会議事堂内で見つめながら湧き上がるものがありました。  希望の会をNPO法人として設立したのが2015年3月。『情報格差を無くし、患者家族が納得して選択するための基盤を作りたい』という夫の想いを知り、高校の同級生や大学スキー部の仲間がNPO設立に尽力してくれました。 ほぼ時を同じくして発足した全国がん患者団体連合会に加盟。ちょうど『がん対策基本法』が施行から10年を迎えようとしていました

        • 薬が大変

          『薬を正確に服用するって大変』と実感しています。 昨年来、感じていたのが胸やけと消化不良。さらに腸の働きが鈍いこと。 「年取れば、臓器も前みたいには働かない」「食べる量を減らして痩せたらどうか」とかかりつけ医に言われたら、還暦過ぎているし、ボテッとしている身からは返す言葉もない。 オンサイトが増えて、移動・宿泊が増えると、さらに状況は悪化。それで、意を決して胃カメラ、大腸カメラ、エコー、血液検査をしてくれる医療機関を探したのですが、自費だから気安く受ける値段でもない。

          膵臓だった

          先日、2日間にわたって胃カメラ・大腸内視鏡・エコー検査を受けました。 昨年後半から不調を感じており、いわゆる地域のかかりつけ医に毎月、症状を伝えるも、返って来る言葉は 『加齢』『痩せればよくなる』の二言だけ。 血液検査はしてくれるものの、行くたびに薬が変わるだけなのです。 【加齢】という言葉の前に、言い返せないでいたのだけれど これは自分で進まなくちゃ駄目だと思ったのです。 結果は、どうも膵臓。血液検査とエコーからわかりました。 今月にはMRIを受けます。 夫

          膵臓だった

          岡崎裕子さんの器

          岡崎 裕子さんの個展を、いつも楽しみにしています。 岡崎さんとは前職でのご縁です。 2020年2月、CancerXでご一緒したことがきっかけで個展に伺いました。 食べることに苦しむ夫に何も出来なかった無力を抱え、3年間キッチンに立てなかった私を変えてくれたのが、岡崎さんの器。 それ以来、コツコツと器を集め、私なりに料理も楽しんでいます。 前職に骨を埋める気持ちでいた私には、離職も衝撃でした。 離職して9年経つのですが、 毎日通っていた場所にも行けないくらいの喪失感が未だに

          岡崎裕子さんの器

          スティグマ

          還暦になってから、自分で限度を決めるのは勿体無いなと思い、いろんな場に参加しています。 自分と同じ考え、感覚の人と居るのは心地よいけれど、それは時に死角を生んでしまうんだなと感じます。 昨日も、そんな想いであるワークショップに参加しました。 私が感じたのは、似た経験、近しい人からのスティグマの深さ。 『遺族なのに』『東京に住んでいるから』というスティグマを今も感じています。 平気なんかじゃないです。 それに負けそうな時もありました。 スルーすれば波風は立たない。 軋轢は

          スティグマ

          「しあわせ」という言葉で蓋をされたくない

          この投稿をすることは、またもや『水を差す』ことになりかねず、ちょっと迷いました。 でも、私はAYA世代の会員が多く所属する患者会だからこそ、AYA世代のがん啓発にも取り組んでいるので、言葉にしようと思いました。 昨夜、がんをテーマに作成された『幸福なひと』の後編と、その前に放映された『AYA世代のがんと妊孕性』を視聴しました。 「がんのイメージを変えたい」「がんの正確な現在地を知ってほしい」という想いで制作されたドラマであるというという事前の発信に何度か接していましたし、制

          「しあわせ」という言葉で蓋をされたくない

          幸福なひと

          NHK総合で放映された『幸福なひと』を観ました。 3月の時は気持ちにブレーキがかかってしまったのですが、今回は録画もし、向き合ってみたいと思ったのです。 体験者の声も誠実に扱い、丁寧に作成された内容だと思いました。 あの時の自分たちみたいだと、なぞることばかりで、リアリティがありました。事実、夫が言ったことと同じ言葉が繰り返し出てきて、 特に「誰のためなんだ」というのは私に向けて夫が叫んだ言葉だったので、私はなんてことをしてしまったんだろうと改めて思う部分もありました。

          幸福なひと

          ターニングポイント

          がん研究とテクノロジーの進歩が 夢の未来を現実にしていくんだなと、しみじみと感じた日本臨床腫瘍学会でした。 どんなに頑張っても、私が失ったものは戻らない。 でも、夫が未来を願って治験に参加し、剖検を申し出た気持ちは、今に続いているんだな、消してはいけないとも思いました。 変えられることを変えようと向かう勇気を 変えられないことを受け入れる冷静さを それを見極める叡智を持ちたい。 嫌なことを引き受けられることこそ年の功。還暦を過ぎたからこそ、思い切ってやれることもあるのか

          ターニングポイント

          明日で丸8年なのに泣ける

           何とも虚しいという気持ちです。 3月11日にAYAがんのイベントを開催したことを、「お祭り騒ぎ」と表現して、私に直接言うことはなく、陰でやり取りをしている方々がいることを知りました。 3月11日に開催するからこそ、しっかりと命を、人生を、自分に何ができるかを考える発信にしたいと思いました。 そのことは、冒頭の挨拶でもお伝えしましたし、黙祷の時間も取りました。 ご登壇いただいた方々の誠実で率直な発信で作られた一日は、決してお祭り騒ぎなんかではなかったことは、ご参加いただい

          明日で丸8年なのに泣ける

          7歳の誕生日

          今日は姫の誕生日。 2016年3月7日生まれ。夫が旅立った年なので、姫の年齢は 夫が旅立ってからの年を表しています。 結婚以来、鈴之助→豆太郎と柴犬と暮らしてきました。 鈴之助は白血病で12歳で。そして、姫が生まれた時は、2代目の豆太郎が、やはりがんで終末期を迎えていました。 自分の命の限りをみつめていた夫は、豆太郎が旅立った時 「先に行って待っていてくれるんだね。そして、僕はもう人生で柴犬と暮らすことはない」と呟きました。 『もう○○は最後だな』という言葉を聞くたびに、

          7歳の誕生日

          患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版が刊行!

          『患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版』が刊行されました。 2004年の「胃癌治療ガイドラインの解説」以来の患者向けガイドラインとなります。 玉石混交の情報が溢れる現代、患者向けに情報発信をすることは学会の務めであるという声が高まり、作成に至ったものです。 半分以上のページをQ&Aで構成し、コラムを取り入れ、図や字体に至るまで、作成の1年間、多くの意見交換をしました。 各分野のご専門の医療者委員のみなさまとともに、私も作成委員の一人として、同じ目標に向かって共

          患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版が刊行!

          大きな壁

          母の9回目の命日を迎えます。 母は消火器の傍で見つかりました。出火は電化製品から。死因は煙です。 今、記録的な乾燥による火事のニュースが増えています。 否が応でも、ここから火事の『後始末』が全て終わるまでの想像を絶する数か月が蘇ります。 火事は夫のがん告知から1か月後に起きたことでした。 夫の命に向き合うには、火事に関する自分の感情を封じ込める必要がありました。 新型コロナウィルス感染症の影響で自宅にいる時間が増えていく中、私は目を逸らしてきた『不在』に向き合わざるを得なく

          大きな壁

          超える。跳ぶ。

          今年は、私にとっては、いろんな意味で『超えていく』年だったように思います。 世界中がパンデミックと向き合った3年近くの日々、オンラインがコミュニケーションの主たる方法になったことで自分が決めていた枠を超えられたように思います。 12月の初めにシンガポールで出会った仲間の1人が昨夜、来年、ウクライナに行くと連絡をくれました。 具体的な行動は違っても、その違いを尊重し、パズルのピースのように繋がっていきたいなと心から思います。 2023年は卯年。 無謀はいけませんが、見

          超える。跳ぶ。

          飛び上がれ!~2022年ありがとう

          本日の午後、眼瞼下垂の手術を受けますので、その影響を考え、少し早めのご挨拶を。 2022年の前半は、警察からの電話で疎遠だった身内の身元確認から始まった嵐のような数か月を過ごしました。(私の人生、なんでこうなるの?…)と正直、明日を迎えることが怖くなった時もありました。 振り返れば、2022年は私が長いトンネルから抜けることができた一年だったとも思います。 夫の7回忌に際し、今まで無意識に遠ざけてきた夫が遺したものに手をつけました。 その時、『なぜ、希望の会という名前にした

          飛び上がれ!~2022年ありがとう