覚悟

夫が旅立って間もない頃、私は厚生労働省がん対策推進協議会委員の打診を受けた。

その頃『抗がん剤をしたことないくせに』『自分の寂しさを活動で埋めている』など散々言われていた。
死んだら許してもらえるのかと思い、ハッと気づくと線路を見ていた。

打診を断ったら、当時の厚労省の担当者に『あなたは自分を守るために断るのか?』と言われた。
あれがターニングポイントだった。

その後、経歴も浅い『ポッと出』が目立ちたくて協議会委員を引き受けたと実名入りでネットに晒された。
誹謗中傷への意識が薄かった私は、私が我慢すればおさまるのだと思った。

はっきり書く。
私を追い詰めたのは一般の人じゃない。
経歴が浅く、患者でもない私が委員になるのが、長年患者会活動をしている立場の数名からは気に沿わないことだったのだ。

私は、ずっと、あの時のことが忘れられない。
今回、私は東京都のがん対策推進協議会委員になったが『当事者ではない』と言う人もいる。

『家族は第二の患者』と言われても、私には綺麗事に聞こえてしまう。

自分は活動から退くべきなんじゃないかと思ってきた。
でも、私が接している日常は、30代前後で、社会的保障の狭間にあり、旅立っていく人が少なくない。
もう、疲れたなんていう理由で退くのは、『私のため』となる。

どうせ、私は何年も生きられるわけではない。
活動は『仲良し』作りでもない。

孤高になっても自分を偽りたくない。

そんな覚悟を認めてくれたのは、グローバルな経験だった。

今日、私は膵臓と胆管の分岐に独特性があることが判明した。
いつか胆管がんになってもおかしくない。

でも、今は大丈夫なら、そして一度死のうと思ったなら、死ぬ気でこの後の日々を生きようと思えた。

きっと、私だから出来ることがあると信じていこう!


全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。