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Vol.6_【がん】治療と仕事。つらいときに頼れる場所や施策は?①

がんになって思ったこと

それは、病院の探し方や必要な手続きがわからないということのほかに、「同じがん患者さんと話したい。繋がりたい」ということでした。だって、わからないことが多すぎるから。そして、手術や術後の生活など、次々押し寄せる不安について、経験者の話を聞きたかったのです。

お金や仕事のこと、公的に利用できる制度はないか、知識がある方に相談できて、いつでもいける窓口が欲しい。そんな思いも持ちました。

若年層“AYA世代”のがんについて

30代の私は、いわゆる“AYA世代”と呼ばれる世代のがん患者です。
私の世代でがんが見つかる人は、全体のがん患者の年代の割合でいくと、まだまだ少数のようです。

「AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に、思春期(15歳~)から30歳代までの世代を指しています。」
「日本では、毎年約2万人のAYA世代が、がんを発症すると推定されています。AYA世代でがんを発症する人は、1年間でがんを発症する人100人のうち2人程度です。年代別にみると、15~19歳が約900人、20歳代は約4,200人、30歳代は約16,300人です(2017年)。」

出典:「国立がん研究センターがん情報サービス」より

・ガンになったことをいつ職場に伝えたか?
・職場復帰は退院後どのくらいで可能か?
・誰にどのくらい詳しく伝えるか


などという仕事に対するギモンなども出てくるけれど、周りに同世代のがん経験者がいない。私が勤める会社はおそらく私が初めてのがん社員で、管理側も初めての経験であるという状況。

術後の体調の変化やメンタルの変化などついても、気軽に話せる同じ病気の患者さんと繋がりたい。知識や経験豊富な人に相談したい〜〜〜〜。となったわけです。

そこで、今すぐにでもがん患者さんと繋がりたい、相談できる場所に行きたいという方に向けて、患者さんはもちろん、患者さんの家族や友人、がんの患者さんと患者さんに関わる色々な人が利用できる機関やサービスをご紹介していきたいと思います。

第1回目の今回は、「患者同志の友達」という枠ではなく、公的な施設をご紹介します。拠点がたくさんあって、全国どこにいても駆け込みやすいところといえば、「がん相談支援センター」ではないでしょうか。

日々つのる不安と焦り

私の場合はまず、退院後5日くらいですでに復職についての不安が湧いてきていました。振り返ってみて思いますが、早すぎです。笑
でも、「こんなに体力落ちるの?」「服を着替えるのも、ご飯何しようか考えるのも、なんだか生活ぜーんぶが面倒」「記憶力めちゃ落ちてる……」という症状が出ていて、退院の喜びよりも今後の不安の方が大きくなってきてしまっていたからです。

そのような状況もあり、「こんなんで仕事できるんだろうか、私」という不安も日に日に大きくなり、じわじわと焦りが襲ってきて、いてもたってもいられなくなっていました。

治療を受ける前に病院探しをしているとき、めぼしい病院のHPをじっくり見ていたら、「がんと診断された方へ」といったようなページを見つけました。そこには、治療はどのような体制で行われているかなどの内容のほかに、『がん相談支援センターのご案内』という項目が。こうして、がん相談支援センターの存在を知ることになりました。

でも、退院するまでは実際に利用したいなと思うことはなく、そういう窓口もあるんだな〜。くらいの感覚でした。

退院後に色々な悩みや不安が募る中、治療前に知った「がん相談支援センター」を思い出し、詳しく調べてみることに。

がん相談支援センターとは

「がん支援相談センター」の概要について。


1.全国に設置された、がんの相談窓口
「がん相談支援センター」は、全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されている、がんに関するご相談の窓口です。

これらの病院は、全国どこにお住まいでも質の高いがんの医療が受けられるように、厚生労働大臣が指定した施設です。指定された施設は、治療の内容や設備、がんに関する情報提供などについて、一定の基準を満たしています。

2.どなたでも無料で利用できます
「がん相談支援センター」は、患者さんやご家族のほか、地域の方々はどなたでも無料でご利用いただけます。「がん相談支援センター」では、がんに関する治療や療養生活全般、地域の医療機関などについて相談することができます。ただ、あなたの担当医に代わって治療について判断するところではありませんので、ご留意ください。

出典:「国立がん研究センターがん情報サービス


もっと詳しく知りたいという方、お近くのがん支援相談センターの探し方は、「国立がん研究センターがん情報サービス」をご覧ください。

実際利用してみた感想は、「具体的な解決方法を教えてくれる頼れる存在!!」

相談したいことが出てきたので、かかりつけの病院内にある「がん相談支援センター」の窓口に電話をして実際に予約をしました。

ラッキーなことに、翌日の朝一でよければ、とすぐに予約が取れました。

多くの「がん相談支援センター」では、がんについて詳しい看護師や、生活全般の相談ができるソーシャルワーカーなどが、相談員として対応しています。なお、国が指定した研修を修了した相談員は、「がん相談支援センター」のロゴをかたどったバッジを着けています。

出典:「国立がん研究センターがん情報サービス


私の対応をしてくださったのは女性のソーシャルワーカーさんでした。もちろんバッジをつけていました。

部屋に着くなり、ゆるゆるとお話が始まりました。
すると、ほどなくして「お部屋暑いですか?ご体調大丈夫ですか?」と私の体調を気遣ってくれました。汗っかきの私、多分おでこが光っていたのでしょう。笑

さすが、細やかに配慮してくださるところもプロだな〜なんて関心しました。

働く世代へ向けた、頼れるパンフレット

相談の内容は、「いつから職場復帰してもいいの?」「私と同じ手術(この時は大腸がんのある結腸を切除)した人は、どのくらいで職場復帰しているの?」「体力っていつ戻ってくるの?」などなどです。

私の場合、主治医からは食事の制限も、運動の制限も何も伝えられていませんでした。退院時に渡された療養計画書(退院後に気をつけることなどが書かれた紙)にも、「食事、運動の制限なし」との文字。

なので「じゃあ、退院して5日も休んでる私は怠惰なのでは??????」と、抜けきれぬ社畜時代の精神が語りかけてきて焦っていました。(その後、他の支援施設で相談した時に「内臓を切っているんですもの。1ヶ月休むのなんてもちろんのこと、2〜3ヶ月休まれる方もいますよ」と言われました。)

正直、復帰の時期については、個人個人で全然違っているとのこと。
日常生活が問題なく送れるようになって、体力も戻ってきて、日常を送ることに自信がついてきたら。というのが目安だそうです。

また、傷病手当金の申請期間についてや、有給を全部使ってしまった方がいいのか?などという内容についても相談し、今すぐ職場に確認したほうが良いことなどを具体的に教えて下さいました。

退院後の生活は、診断や手術の時に知らず知らずに受けた精神的ダメージにより、決断力も欠けていました。そして少しのことを決めるにも、なかなか決められず、大きく落ち込むことも多かったのです。そんな中相談させていただいたソーシャルワーカーさんの返答は全部が的確なご返答で、大変助かりました。

話を聞いてくれるだけではなくて、厚生労働省が発行している、がん患者向けのパンフレットも渡してくれました。

「こちらは割と若い人に向けて作られていますよ」といって私でくださったのは、『働く世代のあなたに 仕事とがん治療の両立 お役立ちノート』というパンフレットでした。


ここには、
・治療について、主治医からの説明を受ける際に聞いておくことやポイント
・上司や同僚に病気のことを伝える工夫
・復職に向けて準備すること
などが書かれていて、チェックリストやメモ欄があり、今の状況を整理するためのちょっとしたワークブックのようになっています。


そして、「これも渡しておきますね。念のため」と言って、渡してくれたパンフレットは、『治療と仕事を両立するときに、不調にならないためのストレスマネジメントガイドブック』というものでした。

こちらには、復職後に起こりうる症状や悩みについて書かれてあります。

手術や治療がひと段落し、よし、復帰するぞ!と仕事復帰したはいいものの、頭がうまく回らない。記憶力が低下している。日常生活がとても面倒。これらは私が実際に体験したことですが、このような症状は、実は脳が疲労していて、認知機能が低下した状態にあるという理由からなのだそう。これらの情報は、WEBページに詳しく書いてあるので、ぜひコンテンツをみてみてください。脳疲労ってどういうことなんだろうということはもちろん、自分のストレス状態チェックや、具体的なストレス解決方法なども載っています。

あと、厚生労働省の「がん患者の就労に関する総合支援事業」というとっても頼もしい制度もあるのです。病院、患者、企業が連携して行う治療と就労の両立支援制度です。こちらはまた改めて、しっかり記事化しようと思います。

今回も読んでくださりありがとうございます。
私と同じような境遇の方に届きますように。
また更新しま〜す!

ご覧いただきありがとうございました。いただいたサポートは、治療完了後、若い世代のがん患者さんのために情報発信するための活動費用にしたいと思っています。