御堂彰

noteから小説家デビューを目指す40代です。 高校時代に書いていた小説を40代の人生…

御堂彰

noteから小説家デビューを目指す40代です。 高校時代に書いていた小説を40代の人生経験でブラッシュアップして書いてます。 心の痛みや喜びが生きているキャラクターを描写しようともがきながら書いてます。 接待フォローはいたしかねます。

マガジン

  • 【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする

    恋愛小説です。  過去の傷からクラスメイトに心を閉ざした嫌われ者が、新しい恋によって前を向こうとする痛々しい青春模様を書いている…つもりです。  春…起承転結でいう「起」のパートです。春編の終わりには新しい恋が始まります。  夏編は過去の恋がどのように育って、どのように消えてしまったのか。そして新しい恋がどんな風に育っていくのか。それを描いていきます。  第一話はあえて短く作っておりますので、お時間よろしければ7話まで見ていただければ話の骨格が見えてくると思います。  覗いて頂いてありがとうございます。

  • 自転車と歩んだ4000日

    僕が自転車に出会ったのは31歳の時でした。 40代になった今も自転車に乗り続け、いろいろな所に連れて行ってくれる。そんなパートナーとの日々を、小説調にまとめていきます。 小説調なので、店名や個人名は仮名となります。

  • 短編集

    単話構成の小説をまとめています。

  • 詩のようなもの

    詩、ポエム、独り言。 過去作がほとんどです。 小説書くのに疲れたら書いてみようかな? (次の話の覚え書き的な書き方をするかもしれません)

記事一覧

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第64話-梅雨が来た〜瑞穂の奮闘

 貴志の地獄のような課題を、 瑞穂は健気にもこなし続けていた。  貴志は普段の瑞穂の表情や言葉尻の中から、精神状態を推察し、けして限界は超えさせ無いように課題の…

御堂彰
9時間前
3

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第63話-夏が来る〜瑞穂の猛勉強

 夏が始まる少し前。この時期に貴志は初恋を経験したらしい。  それはどんな人だったのか。どうして初恋は終わってしまったのか。貴志に聞きたいことは山ほどあった。し…

御堂彰
4日前
5

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第62話-夏が来る〜貴志と紗霧の2年前②

 北村貴志の朝は早い。4時半に起きて、1時間ほど自転車トレーニングをしたら、母と弟の朝食を準備する。コーヒーは豆から中細に手挽きした豆をハンドドリップでゆっくりと…

御堂彰
6日前
5

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第61話-夏が来る〜紗霧の2年前

 住宅地の明かりがかき消した星空を窓から眺めながら、紗霧は炭酸水を飲み干した。  炭酸の刺激が駆け抜けた喉から、恍惚のため息が流れるように吐き出された。右肘をそ…

御堂彰
13日前
3

見事なまでのスランプで構想が丸々頭から消えてしまったので、今までの記事を読み返しています。
更新が滞ってますが、しばし時間をいただけたらと思います。

御堂彰
2週間前
7

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第60話-夏が来る〜二人の協定

 親友と好きな人が同じだった。そんな時、どうするのが正解なのだろう。  恋を取るのか、それとも友情を取るのか。そもそも自分でそれを選ぶのは傲慢なのかも知れない。 …

御堂彰
2週間前
2

目標を立てる【自転車と歩んだ4000日】に書いた目標を達成してきました。
小説も書けば話は進んでいく。ペダルも漕げば自転車は進んでいく。
何もしていないのに加齢は進んでいく…そんな人生は送りたくないので、まだまだ忙しい自分でありたい。

御堂彰
3週間前
6

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第59話-夏が来る〜貴志と裕の2年前

 坂木紗霧の短い授業を終えて、貴志は大満足だった。国語の理解が進んだし、何よりいつもの机の間隔よりも近くに紗霧がいたのだ。すぐそばに、いたのだ。  裕にバレない…

御堂彰
3週間前
7

目標を立てる【自転車と歩んだ4000日】

 ロードバイクを買って半年もしない頃、御堂は試練のど真ん中にいた。  便潜血陽性。大腸カメラを受けることになった。  御堂の家族歴は親族みんな癌で喪うレベルで、生…

御堂彰
4週間前
10

初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする。絶不調なので気分を変えるため、noteお題チャレンジでリフレッシュしています。
連載再開できるように、しっかり心の空気を入れ替えていきます。

御堂彰
4週間前
5

【短編小説】願いを白球に込めて

 俺にはこの夏に欲しいものがある。甲子園への切符。  それから…。  地区予選準決勝でサヨナラ勝ちを決めた、師走高校野球部はけして強豪校とは言えなかった。  偏差…

御堂彰
4週間前
6

【詩】夏空ふぉとぐらふ

あなたのいない何度目かの夏 恋人たちの海には近づけず 家族連れのプールの水は 心にあまりにも冷たくて ひとり山で空を見上げていた この空の向こうに あなたはいるの? …

御堂彰
1か月前
6

あなた本当に自転車乗ってるの?【自転車と歩んだ4000日】

 御堂の趣味が自転車である事を誰かに話すと、かなりの高頻度で返される言葉がある。 「本当に自転車乗ってるの?」  御堂は色白だった。  色は青が好きで、ウェアも普…

御堂彰
1か月前
2

Stravaとの出会い【自転車と歩んだ4000日】

 健康診断で血糖値が引っかかった!これは30代の入口で迎えた人生の岐路だった。  何かしら運動習慣をつけないと。そう思って彼が選んだのは自転車だった。  あれから10…

御堂彰
1か月前
7

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第58話-夏が来る〜貴志と紗霧の2年前①

 林間学校を終えた如月中学校は、慌ただしく実力テストの準備期間に差し掛かっていた。  昨日までの仲間はすべてライバル。毎回のテストが来年のクラス分けに影響してく…

御堂彰
1か月前
6

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第57話-夏が来る〜裕と瑞穂

 5月も終わろうかという時期になると、昼間はすでに暑い。しかし夕暮れからは激しく気温が落ちて、今はとても涼しかった。  貴志の家で定期的に勉強会をしよう。そう決め…

御堂彰
1か月前
7

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第64話-梅雨が来た〜瑞穂の奮闘

 貴志の地獄のような課題を、 瑞穂は健気にもこなし続けていた。
 貴志は普段の瑞穂の表情や言葉尻の中から、精神状態を推察し、けして限界は超えさせ無いように課題の量を調整している。
 漢字に関しては、中学必修範囲どころか漢検準2級レベルまで読み書きできるようになった。英単語も高校生レベルまで進めている。
 暗記の課題に関しては、社会と理科に移行しても問題ない様子だった。
 要した時間は2週間。6月の

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【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第63話-夏が来る〜瑞穂の猛勉強

 夏が始まる少し前。この時期に貴志は初恋を経験したらしい。
 それはどんな人だったのか。どうして初恋は終わってしまったのか。貴志に聞きたいことは山ほどあった。しかし瑞穂にそんな時間は与えられなかった。

「福原、これ放課後までに提出してくれ」
 北村貴志が瑞穂に手渡したのは、大量に英単語が書かれた紙が5枚ほど。
「中学必修の英単語全部まとめてある。和訳して俺に返してくれ。採点の時間は高島さんにお願

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【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第62話-夏が来る〜貴志と紗霧の2年前②

 北村貴志の朝は早い。4時半に起きて、1時間ほど自転車トレーニングをしたら、母と弟の朝食を準備する。コーヒーは豆から中細に手挽きした豆をハンドドリップでゆっくりと抽出する。この至福の時を終えると、洗い物を済ませてさっさと登校してしまう。
 今はそのための準備時間。心をコーヒーでしっかりと整えていく。
 昨日は良いことがあったので、今日はマイルドなブレンドにしてみる。甘めの豆を中心に酸味が薄くなるよ

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【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第61話-夏が来る〜紗霧の2年前

 住宅地の明かりがかき消した星空を窓から眺めながら、紗霧は炭酸水を飲み干した。
 炭酸の刺激が駆け抜けた喉から、恍惚のため息が流れるように吐き出された。右肘をそっと撫でる。つい数時間前、北村貴志に触れそうになった右肘を。
 そして次は落胆のため息をついた。
 国語の解釈を教えて欲しい。そんな貴志のお願い事を今日果たしてしまった。
 貴志があの講義で満足してしまえば、もう彼に頼ってもらうことはなくな

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見事なまでのスランプで構想が丸々頭から消えてしまったので、今までの記事を読み返しています。
更新が滞ってますが、しばし時間をいただけたらと思います。

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第60話-夏が来る〜二人の協定

 親友と好きな人が同じだった。そんな時、どうするのが正解なのだろう。
 恋を取るのか、それとも友情を取るのか。そもそも自分でそれを選ぶのは傲慢なのかも知れない。

「協定を結ぼうぜ」

 裕は貴志をまっすぐ見つめて、そう言った。貴志は固唾を飲んで、協定の詳細が語られるのを待った。
 友情と初恋を天秤にかけているなら殴るぞ。裕の言葉が重い。
 でも確かに裕の言うとおりだ。大切な想いを天秤にかけること

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目標を立てる【自転車と歩んだ4000日】に書いた目標を達成してきました。
小説も書けば話は進んでいく。ペダルも漕げば自転車は進んでいく。
何もしていないのに加齢は進んでいく…そんな人生は送りたくないので、まだまだ忙しい自分でありたい。

【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第59話-夏が来る〜貴志と裕の2年前

 坂木紗霧の短い授業を終えて、貴志は大満足だった。国語の理解が進んだし、何よりいつもの机の間隔よりも近くに紗霧がいたのだ。すぐそばに、いたのだ。
 裕にバレないように、余韻にひたる。
 
 裕は隣で、紗霧が雑談交じりに話していたポイントをマーカーで強調している。その姿を貴志は片眉を上げて観察していた。
 俺が教えても、メモひとつ取らないくせに。そう思いつつも、裕が教えたことをちゃんと覚えてることは

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目標を立てる【自転車と歩んだ4000日】

目標を立てる【自転車と歩んだ4000日】

 ロードバイクを買って半年もしない頃、御堂は試練のど真ん中にいた。
 便潜血陽性。大腸カメラを受けることになった。
 御堂の家族歴は親族みんな癌で喪うレベルで、生きてる家族も癌サバイバー。自分も当然癌になると思っていた。
 そして誰よりもその治療成績を見てきた御堂は自身が癌になった時のビジョンがすでに決められていたのだ。
 治療はしない。
 治療して自分らしく生きられないくらいなら、治療せずに自分

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初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする。絶不調なので気分を変えるため、noteお題チャレンジでリフレッシュしています。
連載再開できるように、しっかり心の空気を入れ替えていきます。

【短編小説】願いを白球に込めて

 俺にはこの夏に欲しいものがある。甲子園への切符。
 それから…。

 地区予選準決勝でサヨナラ勝ちを決めた、師走高校野球部はけして強豪校とは言えなかった。
 偏差値59程度の、進学校としても一流とは言えず、スポーツでもこれと言った実績は上げていない中途半端な学校だ。
 先輩たちにも著名人と言われる人はおらず、Wikipediaの掲載も寂しい限りの学校だ。
 まさか甲子園をかけた地区予選で決勝まで

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【詩】夏空ふぉとぐらふ

【詩】夏空ふぉとぐらふ

あなたのいない何度目かの夏
恋人たちの海には近づけず
家族連れのプールの水は
心にあまりにも冷たくて
ひとり山で空を見上げていた

この空の向こうに
あなたはいるの?
どうているの?
誰かの隣にいるの?
ボクの隣にはまだあなたの気配

照りつける太陽で目が痛い
涙が出るのは
太陽が眩しすぎるから
あなたもボクには眩しすぎたんだ
心はしぼんでいくのに
膨らむ積乱雲
ゲリラ豪雨に打ち付けられたボクは

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あなた本当に自転車乗ってるの?【自転車と歩んだ4000日】

 御堂の趣味が自転車である事を誰かに話すと、かなりの高頻度で返される言葉がある。
「本当に自転車乗ってるの?」
 御堂は色白だった。
 色は青が好きで、ウェアも普段の服装も青。そんな彼の顔色は青白い。
 そしてそれを話のネタとしても使っている。もちろん人間なので日焼けはする。
 しかし御堂は焼けない。それはなぜか?
 紫外線対策を怠らないからだ。

 幼少の頃、御堂はその白い肌にコンプレックスを抱

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Stravaとの出会い【自転車と歩んだ4000日】

 健康診断で血糖値が引っかかった!これは30代の入口で迎えた人生の岐路だった。
 何かしら運動習慣をつけないと。そう思って彼が選んだのは自転車だった。
 あれから10年。人見知りでコミュ障の中年が、自転車という媒体により仲間を得て、人生を取り戻していく物語の、本当の始まりは案外つまらないものだった。

 PCの表計算ソフトとにらめっこしながら、御堂は今日の走行距離を記録している。
 自転車での努力

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【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第58話-夏が来る〜貴志と紗霧の2年前①

 林間学校を終えた如月中学校は、慌ただしく実力テストの準備期間に差し掛かっていた。
 昨日までの仲間はすべてライバル。毎回のテストが来年のクラス分けに影響してくる。
 わざわざ私立中学校の受験をしたくらいだから、生徒たちは必然的に中高一貫コースに進むことを目標としている。
 その資格を得るのは7クラス中でたった2クラスのみ。成績順でクラス分けされる以上、授業のレベルもクラスにより分けられている。す

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【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第57話-夏が来る〜裕と瑞穂

 5月も終わろうかという時期になると、昼間はすでに暑い。しかし夕暮れからは激しく気温が落ちて、今はとても涼しかった。
 貴志の家で定期的に勉強会をしよう。そう決めた帰り道、裕は瑞穂と並んで歩いていた。
 好きな人を家まで送り届ける役目は誇らしく、そしてどうしようもなく切ない。

「なあ瑞穂。気持ちは固まったのか?」
 修学旅行を終えてから、瑞穂の貴志に対する態度が変わった。だから裕はすでに気づいて

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