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短編集

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単話構成の小説をまとめています。
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記事一覧

【短編小説】願いを白球に込めて

 俺にはこの夏に欲しいものがある。甲子園への切符。
 それから…。

 地区予選準決勝でサヨナラ勝ちを決めた、師走高校野球部はけして強豪校とは言えなかった。
 偏差値59程度の、進学校としても一流とは言えず、スポーツでもこれと言った実績は上げていない中途半端な学校だ。
 先輩たちにも著名人と言われる人はおらず、Wikipediaの掲載も寂しい限りの学校だ。
 まさか甲子園をかけた地区予選で決勝まで

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【短編小説】夏の気配、君の声

 高校2年生の夏、僕は彼女を亡くした。部活動中に熱中症で倒れ、そのまま帰らぬ人となったのだった。
 彼女と受けようと約束していた、地元の国立大学には見事に落ちて、僕は上京した。
 そんな何者にもなれない大学生活を送り、2年生の夏を迎える頃、実家の母から電話があった。
「あんた今年は帰ってくるんでしょうね?」

 正直なところ帰るつもりなど毛頭ない。気が重いのだ。帰ったところで彼女はいないのだから。

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【短編小説】おやすみなさい

「おやすみなさい」
 今日もあなたに同じ言葉を贈ります。
 あなたは私が見守っていないと眠れない人だから。

 窓から差し込む陽光は、暖かく、柔らかく二人を包んでいた。窓の外は涼しくて、遠くの田園風景は黄金色に輝いている。
 真っ白な布団に横たわる夫の顔を愛おしそうに見つめながら、彼女はその胸を優しくポンポンとリズムを取るように叩いている。
 結婚して共に白髪が生えるまで、50年。一緒に過ごせる日

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