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ライク・ア・タンブルウィード
浜辺で歩くマインは、歩いているのか転がっているのかもわからなかった。
海は穏やかで、漣が音を立て、けれどもアサキの皮膚には刺激が強すぎるので、泳ぐことはかなわなかった。マインが風まかせに方々を歩く間、アサキは行きがけに拾った木の棒で素振りのまねごとを始める。海は地球の海と似て、潮風が強いので、浜辺に散らばる流木は一様に白く、すべすべとしていた。これでは手が滑ってしまう。グリップが欲しいな。思い
「バス停山」あれこれ
●自作自解(あくまでひとつの読みとして)
複数人の乗り合わせたバスが舞台となる。
バスは進行しつつ、「誰も降りないのに降車ボタンが押され続ける」という問題(?)を乗客は共有している。この現象を起点とした、各乗客の受け取り方を軸に、各乗客の抱えている内心が少しだけ見えたり見えなかったりする。
最初の乗客、誠二は息子の悠を連れて父親(悠にとっての祖父)を見まいに行く。誠二の心情の吐露から、父親の余