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高校野球コラム(2021)

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2021年度の高校野球コラムです。第103回全国高校野球選手権、そして滋賀大会の中で高校野球ハイライトなど番組で伝えきれなかったエピソードを紹介します。この年からnoteでのコラ… もっと読む
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#投手

成長曲線はホームランの如し~高校野球ハイライト延長戦特別編・近江

成長曲線はホームランの如し~高校野球ハイライト延長戦特別編・近江

「新チームの捕手は島瀧悠真」。水口東を破った去年の独自大会決勝直後、近江の首脳陣から聞かされた構想は衝撃的だった。確かに肩は強い。長打力もある。それでも名門で1年生ながら甲子園ベンチ入りを果たした投手だ。1学年下の山田陽翔が台頭してきたとはいえ、「投手・島瀧」を捨ててまでのコンバートには不安もよぎった。

結果的に不安は現実となる。秋は滋賀学園と神戸国際大附属に、春は立命館守山に、いずれも終盤に決

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強豪復活の灯をともせ~高校野球ハイライト延長戦9日目・北大津

強豪復活の灯をともせ~高校野球ハイライト延長戦9日目・北大津

「いま振り返っても泣きそうになるねん」。3月のメモにこの言葉が残っているあたり、思いの強さがうかがえる。2018年の秋に就任した寺嶋祐介監督にとって、この3年は「北大津は終わった」と言われた悔しさと戦い続けた日々だった。

練習試合で人数が足りないと自ら出場し、元・独立リーガーの守備力を間近で見せた。4番でエースの上坂真人には、精神的に大人になることを何度も説いた。選手の体を大きくするため、自宅で

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忍びのエースに光を当てる~高校野球ハイライト延長戦8日目・水口

忍びのエースに光を当てる~高校野球ハイライト延長戦8日目・水口

水口のエース・藤原聡大は三重県伊賀市の出身である。と言っても実家は滋賀との県境。中学時代のチームも、家族の職場も、そして兄の卒業校も滋賀県内にあり、本人は何一つ違和感なく30分弱で通学できる水口高校を選んだ。

伊賀から甲賀へ、忍者の郷を飛び越えて始まった高校野球。抜群の運動能力を誇り、「今でもチーム1」と種谷涼監督が評価するほどの内野手だったが、1年秋から投手にコンバート。2年間で体重を15キロ

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元虎投手、甲子園を目指す~高校野球ハイライト延長戦7日目・光泉カトリック

元虎投手、甲子園を目指す~高校野球ハイライト延長戦7日目・光泉カトリック

光泉カトリックの伊藤文隆監督は阪神タイガースの投手だった。通算54勝を上げ、1985年の日本一にも貢献。指導者としては2009年にクラブチームを全国優勝に導き、県内では元巨人の西村高司さん(長浜)以来となる元NPB選手の監督就任を果たした。

出身は愛知の大同工業。最後の夏はエースとして孤軍奮闘するも、準決勝で現在の中京大中京に敗れた。「甲子園のマウンドはプロでこそ立ったが、どうしても高校で…」。

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必然の“2代目”バッテリー~高校野球ハイライト延長戦6日目・綾羽

必然の“2代目”バッテリー~高校野球ハイライト延長戦6日目・綾羽

「親子2代で同じチーム」は聞いたことがあっても、「親子2代でバッテリー」は初めて聞いた。綾羽のエース・矢野航成の父親と、捕手・金山凌大の父親は、どちらも国際情報の2期生だった。

矢野の父・年啓さんは山田久志を彷彿とさせるサブマリン。金山の父・裕政さんは抜群の統率力を誇る主将。幼なじみのバッテリーで72回大会に臨むも、1回戦で大敗した。「力を発揮できないまま終わった」と2人が振り返る通り、あまりに

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2年ぶりの滋賀大会は本命不在?世代ランクと主観で行方を読み解く

2年ぶりの滋賀大会は本命不在?世代ランクと主観で行方を読み解く

6月22日、第103回全国高等学校野球選手権滋賀大会の組み合わせ抽選会が開かれました。2年ぶりに開催される滋賀大会の見どころを、世代ランキングを参考に紹介します。丸数字はランク順で、10位以上をランカー扱いします。

【大会全体の展望】今年も①近江が他校を離しランク1位を保っています。ただ去年の夏以降は優勝がなく、②滋賀学園に差を詰められています。絶対的な本命は不在。①近江と②滋賀学園に、春優勝の

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