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小説っぽいもの

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目指すは御所西のファンタジスタ
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記事一覧

【ショートショート】 ほこり

【ショートショート】 ほこり

「手に持ってるそれ、なんですか?」

わたしは、そう男にたずねた。

「ああ、これですか。ほこりですよ、ほこり」

そう言って、男は手の上にのせたフワフワとした物をわたしの前に差し出した。

「ずいぶん掃除をサボってたんですね。こんなデカい埃見たことない」
「なにをおっしゃるんです。「埃」じゃありません、「誇り」です」

男はあきれた顔でそう答えた。

「えっ、「誇り」って自分に対する尊敬の念みた

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【ショートショート】 スパイ

【ショートショート】 スパイ

先ほどから気になっている客がいる。

カウンターでコーヒーを淹れるわたしの斜め前に座っている男性だ。年齢は30代前半、身長は170cmくらい。髪は短めでTシャツのラフな服装をしている。片手に文庫本を持っているが、読んでいるようには見えない。

まちがいない。産業スパイだ。

きっとどこかでカフェをやっていて、うちの評判を聞きつけて調査にきたに違いない。
気づかれていないと思っているだろうが、こちら

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【ショートショート】 個人事業主のウインブルドン

【ショートショート】 個人事業主のウインブルドン

わたしはいま、夢にまでみたウインブルドン決勝のコートに立っている。

・・・、ボールとして。

決勝に進んだ二人は、審判から見て右側のコートにはアジア系米国人のシ・ホンカ、左側のコートにはポルトガルのプロ・レ・タリアが立っている。
どちらもパワーヒッターの名プレイヤーだ。

実力は拮抗している。この二人のラリーが続けば、ボールであるわたしの体はボロボロになってしまう。

「ただでさえ、個人事業主は

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【ショートショート】 業務戦隊ヤリタインジャー

【ショートショート】 業務戦隊ヤリタインジャー

私は業務戦隊ヤリタインジャーのレッドだ。
レッドといっても原色の赤ではない。ややエンジがかった色をしている。仕事とはいえ、こだわりを捨てるつもりはない。
そして、今日も「自由」を奪う悪を退治するため、カフェでお茶をしながら待機しているところだ。

そのとき、通信で連絡が入った。

「大変です!オフィス街に怪人ネバナラナイが現れて、人々を苦しめています」
「ラジャー!すぐに現場に向かう!」

そう言

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【ショートショート】 そう決まっておりまして

【ショートショート】 そう決まっておりまして

今日も一日よく働いたなぁ。

仕事を終えて店に鍵をかけた私は、暗い道を家へと向かいはじめた。
人通りもなく、静かな一本道である。いつの間にか夏の暑さも幾分かやわらぎ、帰る時間には涼しい風を感じる季節になっている。

「ん、あれはなんだ?」

暗い夜空に光るものが動いたかと思うと、突然頭上に大きな光が現れた。
そして、それは私の目の前にきて音もなく止まったのだ。あまりの眩しさに直視することができない

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【ショートショート】 ハンバーグ風常連客の作り方

【ショートショート】 ハンバーグ風常連客の作り方

「サービス業の料理教室」

「それでは、これより料理教室を始めます」

教室に先生の声がひびく。

私は初めて料理教室に参加している。
目の前のホワイトボードには本日のお題として『ハンバーグ風常連客の作り方』と書かれている。

「ではみなさん、最初は材料となる「お客さま」を選んでください。あちらの棚に様々な「お客さま」が置いてありますので、ご自身の好みに合わせて好きなものを取ってきてください」

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【ショートショート】 珈琲屋店主に安心を!(後編)

【ショートショート】 珈琲屋店主に安心を!(後編)

「なるほど。ではこちらの商品はいかがでしょう?うちでもスタンダードなものです」

店員は普通の紙箱に入った「安心」を持ってきた。箱には『まだまだ安心』と書かれている。

「先ほどのものよりリスクは上がりますが、それでも今のお客さまよりは「安心」を得られるでしょう」
「わたくしにはそのくらいが丁度いいのかもしれませんね。どのようにすればいいのでしょう?」
「サラリーマンになることをお勧めします。出世

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【ショートショート】 珈琲屋店主に安心を!(前編)

【ショートショート】 珈琲屋店主に安心を!(前編)

珈琲屋を始めて10年以上が経過した。
私には始めたときからずっと欲しいと思っていたものがある。それは高級な材料でも立派な設備でもない。少なからず自営業者なら誰でも欲しいと思ってしまうものだ。

「ここか、ついに欲しかったものを手に入れるときがきたぞ」

私は地図を頼りに、あるお店の前にたどり着いた。
店の看板には「安心ショップ」と書いてある。さっそく扉をあけ、店員さんに尋ねた。

「わたくし、自営

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マスターと決済端末ファンタジー

マスターと決済端末ファンタジー

「支払い方法は現金だけですか?」

このように尋ねられることが多くなった。ひと昔前の個人商店は現金決済のみでクレジットカードが使えないお店がほとんどであった。しかし今では決済端末が無料で普及したことにより、うちのような小さなお店でもクレジットカードでの支払いが可能となっている。

「クレジットカードも使えますよ」
「じゃあ、クレジットでお願いします」

私はお客様からカードを預かり、決済端末の電源

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珈琲屋のちとちとち

珈琲屋のちとちとち

夫婦で閉店後に、珈琲屋店主の資質とはどうあるべきかを話し合っていた。

「うちはお客さんの年齢層が高い。店主にとって必要な資質は、やはり知性だと思うんだ」
「確かにそうかもね・・・」
「君からみて私は知性的だろうか?」
「私かみてあなたはチセイ的よ」
「そうか、ありがとう。例えばどういう時に知性を感じるのかな?」
「大学の先生なんかとお話ししているときかしら・・・」
「確かに。お店では色々な専門分

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