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散文・詩

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2023年11月の記事一覧

【詩】電話のセリフ

【詩】電話のセリフ

こんな状態で
中途半端に気持ちを伝えてしまって
もう電話もないだろうって
わかってはいるけれど…

もしかして掛かってきたら
「嬉しいけれど無理しなくていいよ」
って言おうって
セリフまで考えてある

振られるってわかっているのにね…

©2023 alice hanasaki

※この作品はフィクションであり、
私生活とは関係ありません。

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【詩】3枚のチケット

【詩】3枚のチケット

キミの優しさは
私が手に入れた写真展のチケットを
3枚取ってくれたこと

「何枚でもどうぞ」と
扇形に広げたら
きっと彼女と行くんだろうけど
一瞬考えて
3枚もらってくれた

きっと私が気にするだろうと
思ってくれたんだろうな
そんな優しさが
私がキミを好きなところ

©2023 alice hanasaki

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【詩】この恋は終わっても

【詩】この恋は終わっても

最後のデートでバイクに乗せてとせがんだのは
私たちの時間を永遠に止めたかったから
キミがそれさえも拒んだから
私は今,一人生きてる

もうとっくに私たちの時計は止まっているのに
キミはまだ時計を逆まわしする癖が直っていない
自分が一方的に終わらせたくせに
また会いたいなんて

自分の思い通りにならないと
子どものように怒り出し
中傷の言葉を並べるキミに
言いたいことは山ほどあるのに
何ひとつ口にせ

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【詩】幸せな時間を過ごした次の日

【詩】幸せな時間を過ごした次の日

もうあんなに人を愛すことはないと思った
でも確実にあの時と同じくらい
もしくはあの時以上に
また私は人を愛してしまった

幸せな時間を過ごした次の日は
なぜかものすごくネガティブになる
まだその予感さえない
別れのシーンを思い浮かべて
涙があふれる

もう幸せな時間が
永遠ではないと知ってしまった私は
楽しい気持ちにあまんじていられない
そんな時に突然電話のベルが鳴り
能天気なささやきに複雑な気分

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【詩】キミといる幸せ

【詩】キミといる幸せ

肌寒い外から
暖かい部屋に入った瞬間の
満たされた感じ

キミといる幸せは
そんな感覚に似ている
ホッとするような
守られているような安心感

一緒にいられればそれでいい
それ以上のことは求めない
それ以上のものを求め始めると
幸せのかたちが変わってしまう

だからそれ以上のものはいらない
キミは好きにしていていい
私はキミといたい時だけ
キミに寄り添う

キミが一緒にいたいって
思ってくれる私で

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【詩】後 悔

【詩】後 悔

もう何も聞けない頃になって
やっと気づいた
「おまえがいちばんかわいい」
それは20年前にもう期限切れになっていた言葉?

愛されることに胡坐をかいて
愛される努力などしなかった

もっともっと
可愛がってくれたことへのお返しもしたかったのに
やがて来る恐怖の瞬間から目をそむけ
ただ何も考えないようにしていた

すべては遅すぎる
生き方そのものが間違っていた

天国に私の後悔が届いている?

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【詩】タイミング

【詩】タイミング

好きだった時期がそれぞれずれていて
私たちは一緒になれなかった

実は重なっていた時期もあったのだけど
その頃はお互いに言い出せずにいた

十何年も後になってキミは
「あの頃、実は好きだった」
なんてタイミング悪く言い出したりして
でも私はもうキミを過去に閉じ込めて
ほかに幸せを見つけようとしていたり…

私たちはお互いにずっと
本当は心の底で好きだったのに
タイミングがあわなかった

だからずっ

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【詩】秋

【詩】秋

どこかで焚火をしているような
ちょっと空気が焦げたような匂いが
風と一緒にかすかに流れてくる

秋はちょっと苦手だった
涼しくなりつつ寂し気な感じが物悲しくて
人の心に触れたくなる

でもこれは
大人になった私の秋の感じ方
紅葉に目は行っても
落ち葉なんてずっと見ていなかった

子どもが小さい頃は
一緒に落ち葉を拾い集めた
しだいに自分の方が夢中になって
きれいな落ち葉を並べて嬉しくなった

どん

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【詩】怒りんぼ

【詩】怒りんぼ

小さい頃からすぐ怒り
怒りんぼちゃんなんて言われていた
だけど大人になったら許されない
すぐ怒る大人は嫌だもんね

誰だって
不機嫌な人が周りにいるのは嫌だし
怒られるのだって嫌だ

「ものごとを
 悪意に取らず
 善意に取ってごらん
  ただそれだけのことをすればいいだけ
  それだけで怒りっぽさは直せる」
って、誰かが言ってた

きっと何か
あの人はそうせざるを得ない理由があったんだ
きっ

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【詩】片想い

【詩】片想い

あの人の家の前を通った
偶然出てこないかな
なんて期待してドアを見ていた

ふと2階のベランダに目を向けると
あの人と初めて会った日に着ていた
スモーキーピンクの服が干してあった

それだけでなんだか嬉しくなった

あの人の切り取った生活の一部しか
いつもは見られない
だけど干してある洗濯物で
あの人の生活は
私の見えないところでも
続いていると感じられた

あの人の洗濯物を見ただけで
あの人に会

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【詩】切り落とした爪のような三日月

【詩】切り落とした爪のような三日月

祖母の家に泊まりに行った幼い頃
お腹が痛いと祖母に言うと
「おばあちゃんのお布団にお入り」
と言って、重いかいまきをめくり
私を布団の中に入れてくれた

お腹を下にして寝るといいと祖母に言われて
私はその通りにした
重い布団に守られながら
祖母の布団のシーツの匂いをかいでいた
お日さまの匂いがした

少しして重い布団を持ち上げようと寝返りを打ち
仰向けになった時
カーテンの閉まっていない窓の外に

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