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車輪の上で

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車椅子族(18年目)が「トランス身体障害者」に思うこと

車椅子族(18年目)が「トランス身体障害者」に思うこと

 車椅子ゆえの不便をX(ツイッター)に綴っている人物(男性を自称していますけど、性別含め正体は不明)が、「実は歩けるのに車椅子を利用している”トランス身体障害者”」として批判されています。
 本記事では、この件に関する違和感を短めにまとめてみます。

1.「立てる」「若干の歩行が出来る」としても、車椅子が不要とは限らない

 車椅子を必要とする事情は多様です。電動車椅子族歴が18年目になる私自身、

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犬も歩けば棒に当たる。障害者が歩けば何に当たる? 書籍『障害のある人が出会う人権問題』で、だいたいわかる。

犬も歩けば棒に当たる。障害者が歩けば何に当たる? 書籍『障害のある人が出会う人権問題』で、だいたいわかる。

 法学者の杉山有沙さんから、ご共著の新刊『障害のある人が出会う人権問題』をご恵投いただきました。一読してみて「多くの方にとって、けっこう有用かも」と思いましたので、紹介します。平易だし、読みやすいし。
  書籍情報は下からどうぞ(アフィリエイトリンク)。
 なお、本記事において、私は「障害者」「健常者」という表現を使います。

「人権」というものの成り立ちと構成は、どうなっているの?

 人権問題

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私(たち)はどう生きるか ー ただいま、ゆっくり再始動中

私(たち)はどう生きるか ー ただいま、ゆっくり再始動中

 2021年後半以後、広く読まれる媒体での仕事を激減させていましたが、ゆっくり再起動中です。
 本記事では、「今後どうしていきたいのか」「この間どうしていたのか」を記してみます。

私(たち)は、どう生きるか

 これまでと同様、猫たちのワンオペ養母として家庭を維持しながら(維持するために)、執筆と研究を中心に発信するでしょう。
 並行して、他の方々の発信を助けることを仕事にしたいと考えています。

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2022年9月、国連障害者権利委員会が日本に勧告。そして、またスルー?

2022年9月、国連障害者権利委員会が日本に勧告。そして、またスルー?

 2022年9月9日、国連障害者権利委員会が、日本に対する初の勧告(総括所見)を公表しました。「初」なのは、日本が同委員会から受ける初めての審査だったからです。
 2014年に国連障害者権利条約を締結した日本は、2019年秋~2020年春にかけて、初めての審査を受ける予定でした。2019年9月、初めての事前審査を予定通りに受けました。ところが2020年3月に予定されていた本審査は、新型コロナの影響

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目が覚めたら、「アンパンマンのマーチ」と筋トレ

目が覚めたら、「アンパンマンのマーチ」と筋トレ

 私の毎朝の習慣は、目が覚めたら血圧を測定し、2分ほど体幹筋トレを行ってから起き上がることです。体幹筋トレの時は、「アンパンマンのマーチ」を歌っています。

 始めたきっかけは、仕事ぶりを尊敬している知人が「朝練」と称して、毎朝、サッカーのドリブルを始めたことでした。出張族の知人は、ほぼ毎日、出張先からドリブルを行う公園等の写真をSNSに投稿しました。

 私は車椅子利用の障害者です。知人と同じこ

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和田靜香さん『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?』について、今さらですが。

和田靜香さん『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?』について、今さらですが。

(2022年4月15日 加筆しました)

 発売後はもちろん発売される前から話題となっていた、和田靜香さんのご著書『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?』(左右社)について、私はダンマリを貫いてきた。
 実はKindle版が販売された直後に購入し、読んでいたのだけど。

語れず語りたくなかった理由

 ライターの和田靜香さんと衆議院議員の小川淳也氏の対談から生まれた本書は、読ませる読み物

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「善きこと」「善き人」の悪について ー もう、臭いものに蓋はできない

「善きこと」「善き人」の悪について ー もう、臭いものに蓋はできない

支援活動の中での性被害 2022年1月26日、精神障害当事者のAさん(女性)が、自らの「東日本大震災被災者支援活動の中で性被害を受けた」という経験をブログ記事として公開しました。相手は、Aさんが参加していた支援団体の運営にあたっていたBさん(男性)です。AさんとBさんの間には既に高裁の提案で和解が成立しており、Aさんが受けたとする性被害の事実は公式に認定された形(地裁でAさんが勝訴)となっています

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飯塚幸三氏の業績と事件について

飯塚幸三氏の業績と事件について

 2019年4月、池袋暴走事故を起こした飯塚幸三氏は、東京地裁で禁固5年の判決を受け、控訴せず刑が確定。2021年10月12日、東京拘置所に収容されました。刑務所で本当に5年間を過ごすのかどうかは不明ですが、刑に服した形です。
 私は、亡くなった母子やご遺族とも飯塚氏とも関わりのない第三者ですが、ほっとしました。ただし、「ほっとした」の意味合いは、日本の多くの方とはズレていると思います。というのは

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大学院博士課程(2014-)で最も不気味だった出来事

大学院博士課程(2014-)で最も不気味だった出来事

 私は2014年4月から、関西の大学院の博士後期課程(相当)に編入し、本当にいろいろいろいろいろいろ……あったけれど、2021年10月現在は博士論文を執筆中。

 執筆しようとすると、その内容に関連する時期のトラウマティックな出来事が頭の中に勝手に飛び出して絶叫しそうになるけれど、なんとか博士論文に取り組んでいる。

 本記事では、最も不気味だった出来事を紹介したい。

 修士・博士(満期退学)・

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まちづくりは人権とは無関係、ってこと?

 2021年9月19日、午後17時ごろ、信じられない発言を見聞してしまった。
 今、起こったことを、ありのままに話すよ。

とある「まちづくり」の集まりでのトンデモ差別発言 この日の午後、住む人々も商店の数々も街自体も個性的かつ魅力的であることが知られる杉並区のとある街で、おそらく後年「まちづくり」の一つのマイルストーンとなるであろう出来事がありました。長年、この街のために尽力してきた方々を含むグ

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私が新型コロナワクチン接種を受けた理由

私が新型コロナワクチン接種を受けた理由

 新型コロナワクチンについては、副反応から今後の変異株に対する有効性まで、さまざまな疑問が持たれています。効果や知見は日々更新されつづけており、今日の正しい判断が数カ月後に「あれがベストだった」とは言えなくなっている可能性もあります。
 そこで、私がどのように情報を収集して接種に踏み切ったのかを記しておくことにしました。

元気すぎる障害者だけど感染は怖かった理由 私は単身で、猫2匹を抱えています

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疲れ目解消から恨みつらみへの復讐が始まり、そして思わぬ回復へとつながった件

疲れ目解消から恨みつらみへの復讐が始まり、そして思わぬ回復へとつながった件

 数日前、私は「疲れ目の解消から、復讐が始まる」という不思議な経験をした。復讐といっても、相手への直接行動は行っていない。

 私は20代のころから、目を酷使する職業に就きつづけてきた。1980年代の、眼に全然優しくなかったディスプレイでのプログラミングとか、電子顕微鏡のオペレーションとか。そして、35歳で老眼宣告を受けた。

 2週間ほど前のこと。朝、ベッドの中で目覚めて眼を開く前に、すでに眼が

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障害者の私が「パラリンピックだけ中止は、アリかな」と思う理由

障害者の私が「パラリンピックだけ中止は、アリかな」と思う理由

 新型コロナの感染拡大が止まらない中で東京オリンピックが開始され、感染拡大がさらに深刻になる中で開催され続けています。そして昨日今日、パラリンピック中止の可能性が取りざたされるようになりました。

 私自身は中途障害者です。運動は得意ではないけれど体を動かすことは好き、健常者時代から下手の横好きでスポーツをいろいろとかじってきました。狭い障害者の世界ですから、「知り合い」「知り合いの知り合い」あた

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他の書き手の執筆意欲を効率的に奪う方法

他の書き手の執筆意欲を効率的に奪う方法

 本記事は、下記記事の後日談である。

私はドロドロしない。ドロドロする能力がないから。
https://note.com/3rings/n/n32fffad49913

 そこに記したのは、障害・福祉分野で活動する同業者・Aさんとの間に数年前にあった出来事だ。Aさんは私に「この題材は私が記事化するから、アンタは記事化するな」と取ることの可能な意思表示をしたのであった。といっても、Aさんと私の活動

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