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「世の中には理由もない悪意が山のようにある」と言ってカントを読む主人公の出口

「世の中には理由もない悪意が山のようにある」と言ってカントを読む主人公の出口

それは実体のない夢で、だからこそ僕を呼ぶ。倦怠感を孕むデジャヴ。反芻する毎に悪化。

負のスパイラルに直ぐ沼る僕は、友人(鼠)と夢中になった1970年夏のスペースシップという名のピンボールマシーンに突如、取り憑かれる。

無機物(の彼女)と邂逅を果たし束の間交わす謎のコミットメント。無機質なモノに関与し僕の物憂げな態度が真剣へと変容する様がクソ可愛い。双子にすり変わり温めてあげたく

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読むセラピー

読むセラピー

スピリチュアルな世に蔓延る怪しいものに興味を持った人に、理性と欲と合理的視点を失わずに冷静さを保ちつつ目に見えぬ世界を味わえる本で、お勧めです。そう、正にほどよくスピリチュアル。

具体的には、SNS断ち、シュガーブルースを招くスイーツ断ちの背中を押してもらいつつ、スピリチュアルなのに言ってる事が嘘くさくなくて、影響力を与える真摯さがあります。
チャレンジ精神も見習いたいです。ゴミ拾いやCBDは試

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この世界の内側には暴力的で混乱した場所がある

この世界の内側には暴力的で混乱した場所がある

村上春樹は、「風の歌~」では”主に心理面での実験”として36疋の猫殺しを、「海辺のカフ カ」では、ジョニーウォーカーと名乗る男が猫に残虐の限りを尽くし、更にその惨劇に純粋善なナカタさんを立ち会わせた。「ねじまき鳥~」悪の権化である妻の兄の名と愛猫の名を同じにし暴力を奮う。

この世界の内側には暴力的で混乱した場所がある事を、暴力は暴力の中に更に酷い暴力がある事を、人は人で無くなるまで暴力を極めら

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褒め言葉

褒め言葉

朗らかに明るく快活であるという覚悟を決めた楽観や陽性は自分の為にというよりも誰かの為という事が大きく、すんなり取り組める。

たとえ、社交辞令やビジネストークにも「そうさせられた」→「そうしたかった」という回復的要素を差し込んで、関わる人達に昨日までと違う今日にしかない発見をする為の傾聴の態度で向き合う。下心で始まっても気にしない、行動や良き縁によってその内ガチで全力の言葉の肯定シャワーへと

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春の海のように凪ぐ

春の海のように凪ぐ

硝子戸のうちに凪いだ海のように坐す背。

何も努力しない。信じない。しなければならない事は無い。監視する目を解き、戦わない。ただ生きる。

現状に合わない背伸びを止めて自らへ温かな気付きの視線を向けてやることを示唆、来るものを拒まず多くの人を育て救う優しさも持ってただろうその聲が響くんです。「そんなら死なずに生きてらっしゃい」

読んでるから幸せじゃなくて、幸せだから本が読める

読んでるから幸せじゃなくて、幸せだから本が読める

定まった場所と速度で巡回する出口のない回転木馬で誰も降りることも出来ず仮想の敵に向け釈烈なデッドヒートを繰り広げているようだと人生を説いた春樹サン。

ゴータマシッダルータの人生は救いのないクソゲー発言をした。かつて、憑かれたように弾いた、久石譲の「人生のメリーゴーランド」というワルツもリンクする。

諦観、悲観も時に極限に立たされた人間には励ましになる。上がったり下がったり揺れる木

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その人といるときの自分が好きかどうか

その人といるときの自分が好きかどうか

徹夜で語り合って手を絡いで抱き合って眠っても違う夢を見る。だから、人は人に影響受け、大切に思い、その人間の生き様を尊重できる。

その人といるときの自分が好きかどうかはけっこう大事で。人間関係は相手のことを大事にできなくなったら終わりだ。

大事にできないのに引き留めるのはなし(クズ)、あてもなく信じきって傍から見れば全然たいしたことじゃないようなことも、その時には何もかもでも、大事にされていな

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寂聴先生、コロナ時代の「私たちの生き方」教えてください

寂聴先生、コロナ時代の「私たちの生き方」教えてください

コロナ禍によって喪失した幾つもの夢の後でも必ず新たな夢が生まれる。人間は、そうやって生きて来た。アフターコロナの人間を救うものは「やっぱり哲学」。

宗教とは言わない出家者、まだまだ新しい事に挑戦し続ける98歳の情熱の魂。何なら一度ぐらい牢屋にも入りたかったと笑わせる。
どう死ぬかが幸福の要だと体現してるかのようだ。先生、世界はやっぱり美しいでしょうか?
その目には日々、何が映えてるんだろう?

満月の感謝、恋愛小説

満月の感謝、恋愛小説

欲とされる執着も時には生きる原動力に変わる。自分を大切に思ってくれる人のことを簡単に諦めず、くそ永い言い訳を仕込んでも心を離さないで生きる姿はダサく美しく見えた。

人生の全ては、結果「他者」で間違いないだろう。起床して半日も経てば、自分自身だって、すっかり他者だ。この心の内の知られざる他者共は、何故か雑に扱われ勝ちに陥る。試しに私は私に端的な言い訳をしてみた。それは思いの外、悪くなかった。

雑誌で音をディグる

雑誌で音をディグる

激動の2020年に各シーンで響いたベストアルバムをコラムでディグる。ヒプナゴジックポップ、アンビエント、ダブテクノ。クロスオーバーした電子音楽が脳を揺らす。オウテカの無機質な音を追う無我感とか堪らん🎧https://youtu.be/g6zT3kVtpHc

そして"Sex, Drug, Rock'n Roll"に+としたら「BOOK」と答えたアンドリューウェザー

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育ちがいいは作れる*°♡

育ちがいいは作れる*°♡

安心して下さい。そうです、「育ちがいい」は作れるんですと本書の先生は仰ってます。考えるまでもなく自分の雑さの影響を受けるのは他でもなく自分。今の自分の雰囲気は、その無意識の声や所作で作られています。幸も不幸も宇宙に存在しているわけではなく、比べる心、競う心、戦う心、争う心、全ては内側から始まる、と私なんかは考えるのです。要は、見られてない所、聞かれてない所での所作、立ち居振る舞い。些細な所作1つで

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自由は良き縁となし良き縁となる

自由は良き縁となし良き縁となる

ビートルズのアクロスザユニバースのサビのイメージはマントラって超有名。超越瞑想はリシケシ🇮🇳の聖人マハリシから学んだ。デヴィッドリンチの初めての超越サマディはエレベーターのケーブルが切れ至福の中に落ちる様だったそう✨。マルホランドドライブ🎬の洗練されたアイデアは瞑想中に得たらしいが瞑想中に創造?! 超越は実に自由が佳き。リンチ監督の紹介で超越瞑想を知るミューシ

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私のマチネの終わり 宇宙元旦

私のマチネの終わり 宇宙元旦

《 人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える 》

実は再読。初読時は平野サンへの勝手な幻滅、当時のムカムカが5年を経て変容。良いことと悪いことは、いつも同時に起きる。障壁は苦しい、でも真価を問う為の限りなく好転反応で変容の印。どのような今でも知性を駆使して、この瞬間の行動と五感を突き放さないの

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怒り

怒り

怒りの一次感情は恐怖だ。それは自我イメージが損なわれることであり自尊心を傷つけられることであり見捨てられてしまうんじゃないかという恐怖。その心の奥には他者への願いや期待そしてそれが叶わない故の切なさ哀しみという感情が生じている。初めから自分のものなど何一つないという事を明らかに知っていれば何も恐くない。’自分がある’という妄想が嫉妬や怒り、なかんずく恐怖、厄介で面倒くさい感情を生む。大人になるほ

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