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#エッセイ

今が先のご縁に繋がるかもしれない

今が先のご縁に繋がるかもしれない

台湾へ赴任する前に同じ課だった同僚から、久しぶりに連絡があった。
年齢は20代で一回り近く若いのだけれど、叩き上げの人が多いこの部門で珍しい異動組ということもあって、何かと会話する機会が多かった彼女。
まだ社内ではオープンになっていないけれど、近々退職するのだと言う。
大学時代の留学先でお世話になったホストマザーの紹介で、現地の学校職員として働くことになったのだそうだ。
彼女はいずれ転職するだろう

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二冊のかもめ食堂

二冊のかもめ食堂

三年前に事故に遭ったとき、病院では個室だった。個室はいい。気を遣わなくていいし、テレビは垂れ流してもいいし、鼻歌も歌えるし。だから、三ヶ月の入院中、二ヶ月は個室で悠々自適の生活をしていた。けれど、看護師さんが

「ときどきは、気分転換にテラスとかホールとかへ出たらどうですか?すこしは、体も動かさないと。」

と、仰るので、私は、気分を転換しなくても、心は穏やかだし、健康で文化的な最低限の活動はして

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0.2カラットの野望

0.2カラットの野望

「ダイヤモンドは永遠の輝き」

有名なキャッチコピーだ。この世でもっとも成功したコピーなんて言われることもあるそうだ。

ダイヤモンドに魅了される女性は多い。私もその一人。年を重ねるとともに物欲は薄れてきているものの、ダイヤモンドに惹かれる心はまだ残っている。

もちろん、たくさんのダイヤモンドを所有しているわけではない。気に入ったものを、何かの記念に、一つずつ買い足してきた。

ふだん身に着けて

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旅する私のお気に入りのブックカフェ

旅する私のお気に入りのブックカフェ

ブックカフェが好き。本を読むのが好きだし、コーヒーを飲むのも好き。静かな空間が好きだし、ひとりの時間が好き。

こころゆくままに本を楽しむ時間ブックカフェ、ここでは厳密な細かな定義は設けずに「カフェという空間でありながら本を読める場所」ということにする。

こういう空間は、必ずと言っていいほど静かである。むしろ「話す目的でのご来店は遠慮しています」と書かれていることも。私はその表現を見るたびに、ほ

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人の死を忘れられない。

人の死を忘れられない。

 呼吸器内科の扱う疾患群は、非常にシビアです。ほとんど治るものがない。すっきり治る可能性があるのは純粋な肺炎くらいで、それ以外は中々そう簡単にはいきません。

 呼吸器感染症にしたって、肺結核は治癒する可能性が高いけれど後遺症をのこすかもしれないし、非結核性抗酸菌症は基本的には生涯付き合うことになります。肺真菌症もなかなか治りません。
 気管支喘息は、完全に発症して時間が経ってしまうと、なんらかの

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