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エッセイ:大ちゃんは○○である

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大学時代~役者を経て介護業界に飛び込み、現在までを綴るエッセイ。
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#介護業界

エッセイ:大ちゃんは○○である73

エッセイ:大ちゃんは○○である73

初日は主に各々の自己紹介を兼ねた座談会のような形式で終わったわけだが、
年代バラバラな中でも感じたことは雰囲気の良さ、居心地の良さだった。
年齢でいえば僕は30人いる中の下から2番目だったわけだが、
同じ志を持っている者たちの集まりだからなのか、
ただただ波長が合うような人達が集まっているからなのかは分からないが
人見知りな僕があまり臆することなく場の雰囲気に馴染めたのは
驚きでもあり、発見でもあ

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エッセイ:大ちゃんは○○である67

エッセイ:大ちゃんは○○である67

期間は三ヶ月間。
座学と実習のカリキュラムを修了すれば、
ヘルパー2級の資格をもらえる。
ヘルパー2級の資格があれば、今までと違って随分と就職活動がスムーズになるはずだ。
資格社会といっても過言ではない介護業界。
その扉を叩く準備の一つとして、この受講は僕にとって何が何でも必要だった。
もう門前払いは懲り懲りだった。
ただし、受講するにはそこそこに高いハードルがあり、小村の説明によると
定員が30

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エッセイ:大ちゃんは○○である63

エッセイ:大ちゃんは○○である63

「もしもし、求人を見てお電話したんですが、
まだ募集はしていますでしょうか?」
先ほどの落胆を払拭するかのように再びハツラツとした声を出した。
「はい、していますよ。面接をご希望ですよね?
現在何か資格はお持ちになっていらっしゃいますか?」
「……いえ、資格は持っていないんですが。
あの、無資格でも大丈夫なんですよね?」
嫌な予感がしたので、僕にとっては最も重要視する部分を聞いてみた。
「大丈夫…

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エッセイ:大ちゃんは○○である62

エッセイ:大ちゃんは○○である62

1Kの狭いアパートの一室。
座椅子に腰かけコーヒーを一口啜った僕は
一件目の会社に電話をしてみた。
数回のコール音がした後、
「はい、お電話ありがとうございます。
ふれあいクラブ、佐藤でございます。」
とハキハキした口調の女性が電話口に出た。
「もしもし、あの、求人を見てお電話したんですが、
まだ募集はしていますでしょうか?」
なるべく印象が良いようにハツラツとした声を出した。
「はい、しています

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エッセイ:大ちゃんは○○である61

エッセイ:大ちゃんは○○である61

一言で『介護』と言っても、その働き方は色々とある。
当時の僕はあまり知識がなく、介護と言えば老人ホームのような施設で働くか
訪問介護員か、デイサービス職員ぐらいしかないと思っていた。
すぐに働きたかった僕は、集めてきた求人雑誌の中から介護施設の募集要項に片っ端から目を通し、
めぼしい求人を一件一件ピックアップしていった。
本当にたくさんの募集が並んでいたが、
不思議と『無資格でもOK』という募集は

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エッセイ:大ちゃんは○○である60

エッセイ:大ちゃんは○○である60

新しい道として僕が選んだのは介護の仕事だった。
では、なぜ介護業界だったのか?
それには二つの理由がある。
正社員で働いたことのない僕にとって、
『正社員』というハードルは高かった。
これといった資格を持っていたわけでもなく、持っていた資格といえば普通免許ぐらい。
スキルがあるわけでもない。経験があるわけでもない。
だからといって何でもいいというわけでもない。
興味のある職種で正社員採用のあるとこ

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