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2019年8月の記事一覧

みんなの「み」の穴の中

みんなの「み」の穴の中

心は言葉でできている、と言ったのはジャック・ラカンだ。
それで最近は、「み」のことが気になっている。
「わかりみ」の「み」は「みんな」の「み」だって思うから。
でも、みんなって一体、誰だ?

わかりみが深い、優しみがある、うれしみ、よさみ……。この数年のうちに、たくさんの「み」が周囲に溢れた。いずれの「み」も新鮮な響きをたたえている。使うと楽しく、小気味が良い。けれども、どうしてだろう。「み」が増

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その日、私はたった2回カフェをした人のことを想いながら、涙が止まらなかった。

その日、私はたった2回カフェをした人のことを想いながら、涙が止まらなかった。

あれは本当に不思議な出来事だった。

特別タイプなわけでも、ロマンチックな雰囲気でもなく、ハプニングが起きたわけでもない。
たった2回カフェをしただけなのに、わけもなく涙があふれてくる。

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大学4年の秋、私はパリから大まかなルートを決め、のんびりとフランス一人旅をしていた。

航空会社で働く両親のもと育った私にとって、旅行は昔から身近なものだったので、大学時代

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不便さが「であるべき」からの逃げ場を作る

不便さが「であるべき」からの逃げ場を作る

ここしばらくのnoteを振り返ってみると、最近の私の意識の矛先は「逃げ場」なのだなぁと思う。毎日ただひたすらに思いついたことを、書き落としているので、面白いほどに自分の傾向が分かる。恥ずかしさ、あります。

ベトナム生活をはじめて、はや半年。新しい地に住むワクワク感、目に入るものすべてがキラキラして見える、恋のような気持ちは薄くなった。その代わり、日常がぴったりと異国に張り付いてきたように思う。

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あの夏、一緒に焼き鳥を食べた大人たちは、きっとすごい人たちだった。#あの夏に乾杯

あの夏、一緒に焼き鳥を食べた大人たちは、きっとすごい人たちだった。#あの夏に乾杯

大人って、いいかも。

初めてそう思ったのはたぶん、あの夏の夜だった。

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学生時代、東京の下町で塾講師のアルバイトをしていた。相手は主に小学生。子どもたちの全身からほとばしるエネルギーにはいつも圧倒されるばかりで、1日合計3、4時間の授業をするだけでヘトヘトだった。

バイトが終わると昔ながらの商店街や神社を通り抜けて駅に向かう。昼間は静かで平らな、それでいてどこか懐かしい空気に包まれて

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自分を知るとは、「原液」を知ること。

自分を知るとは、「原液」を知ること。

「自分を知る」とか「ガマンの蓋を剥がして欲を見つける」などとわたしはよく言うけど、どういうことなのかというと、言い換えると「原液を知ること」だと思っている。

ますますわからなくなった人もいるかもしれないけど、ちょっと書いておこう。

「原液」というのは、子育てをしているときによく感じていたことで、自分の子供と産まれたときからいつも一緒に時間を過ごしながら「自分と深く関係があるけど別の人格であるこ

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14日目の父からみた妊娠と育児

14日目の父からみた妊娠と育児

先日我が家に初めての子供がやってきました。

2週間経ってほんのちょっとだけ生活のリズムが見えてきました(また新しいことが起こるのだろうけど)。おもったことだったり、もし友達に子供ができたら伝えたいことだったり、書き留めたいことだったり、というのがふつふつと湧いてきたためnoteに書き留めることにしてみました。

お母さんになる人向けの情報はインターネットや書籍にたくさんありますが、お父さんになる

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人を裏切るということ

人を裏切るということ

数ヶ月ほど前、人に裏切られて深く傷ついている人と話す機会があった。しかも、1人でなく複数人と。

それから数ヶ月経ち、彼らと話した。すると興味深いことに「あのときはこう思ったけど、自分もよくないところがあった」「相手には相手の都合があった」と清々しい顔をしている人がいる一方で、いまだに深く傷ついたままの人がいた。

深く傷ついた人のその傷は、記憶の中で薄れてはいくだろうけど、おそらくこの先も消える

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教育ボランティアで出会った小4の子の話

教育ボランティアで出会った小4の子の話

追記:2019/08/24
本note(旧題:「小4で人生が決まってしまう話」)について、実に沢山の方にお読みいただきまして、誠にありがとうございます。またあわせて、twitter・ブログ等で、沢山のご意見、感想、ご指摘などもいただき、感謝しております。
本noteのタイトルについては多くのご意見やご指摘をいただきまして、
「小4で人生が決まることなどないと思います」「そんな簡単に人生が決まると断

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オセロをひっくり返してくれる人

オセロをひっくり返してくれる人

先週、友人と立ち飲み屋さんで飲んでいたら、隣にいた知らないおじさんたちに絡まれた。最後お店を出るときに「今日の記念に1枚写真を撮ろう!」と言われ、私と友人と、絡んできたおじさんたちと、はたまたそのおじさんたちと絡んでいたさらに隣の人たちと、なぜか写真を撮ることになった。

後日友人からその写真が送られてきて、その1枚を見て私は驚いた。友人はちゃんと「楽しくなさそうな顔」をしていて、私は「楽しくなさ

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スイッチを押すとき(後編)

スイッチを押すとき(後編)

前編はこちら → スイッチを押すとき(前編)

2017年11月11日

私はこの日、マッチングアプリで知り合ったとある男性と食事をすることになっていた

「堅そうに見られますがそんなことはありません。寿司が好きです」というごくシンプルなプロフィール。そして、可能性を感じさせるぼんやりとした顔写真…

そう、『寿司の彼』とデートをする運びになったのだ

彼とは不思議とメッセージでの会話が弾み、なん

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