あかしゆか

1992年生まれ、文章を書くなどしています

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    考えがまとまっていないことやこれから考えたいこと、日々感じたことなど、思うがままに書きます。雑記。

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    素敵だと思った青の表現や知識を、ただただメモしていきます。

  • #かんたんなアンケートと300字で勝手に本をおすすめする

    かんたんなアンケートと300字のなんでもいいなにか文章のようなものを書いてもらって(https://t.co/3ZAvEmb5MW)、それを読んで独断と偏見で本をオススメします。

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    本や映画やテレビや音楽。世の中の触れたコンテンツについて記すノートです。

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「なぜ書くのか」についての備忘録

もともと、自分のことは「書くタイプ」ではないよなあ、と思っていた。 私が「書くタイプ」と聞いて思い浮かべるのは、小学生の頃に作文コンクールで賞を取りまくっていたような、まるで書くために生まれてきたかのように天性的天才的文才を持つ人だとか、映画や音楽のレビューを書かせたらピカイチで、ある特定の分野においては誰にも負けないような熱い情熱を持っている人だとか、世の中に対して何かれっきとした課題意識があって「伝えたいこと」を持っている人だとか、そういう人たちのことだ。 一方私はと

    • 2023年、「31歳の記録」

      10月31日、31歳になった。 今年も、友人の写真家・田野英知くんに無事に記録写真を撮ってもらうことができた。この取り組みも、気づけばもう、4年目だ。 私も英知くんにも毎年たくさんの変化があって、写真を撮ってもらいながら、ポツリポツリとおたがいの話をする。写真には、時間と記憶、祈りや願いが込められていて、「お誕生日おめでとう」という言葉と共に彼から送られてくる写真を開くとき、毎年やさしさで胸が溢れ、喉の奥がぎゅっと詰まる。 このお部屋で撮ってもらうのは、もしかすると最後

      • 2022年、「30歳の記録」

        10月31日、30歳になった。 友人の写真家・田野英知くんに毎年撮ってもらっている誕生日の記録写真も、もう3年目。毎年この季節が来ると少しばかりそわそわして、「今年はどんな自分で映りたいだろうか、映るのだろうか」ということを考える。 えいちくんは無造作にシャッターを押す。私は表情を「作る」ことができない。そして送られてくる写真を見るたびに、写真では嘘をつけない、えいちくんは私のそのままを写してくれる、と思う。 今年は去年まで暮らしていた部屋から引っ越して、新しい家でのは

        • 「笑える革命」に、関わっていきたい。

          3月23日に、「注文をまちがえる料理店」や「deleteC」などの企画で知られる小国士朗さんの書籍が光文社から発売される。タイトルは『笑える革命』。今日は、この書籍のAmazon予約が開始される日だ。 小国さんの手掛けるプロジェクトは、「注文をまちがえる料理店」は認知症、「deleteC」はがん、その他の企画ではジェンダー、戦争などのテーマを扱っていて(もちろん社会課題以外のテーマもある)、それらはいずれも「今まで触れようとしてこなかったテーマが、急に自分ごととして思える」

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          2021年、「29歳の記録」

          10月31日、29歳になった。 去年から始めた、毎年の記録写真。友人の写真家・田野英知くんに、「誕生月(10月)に、その時に住んでいる部屋で、フィルムで写真を撮ってもらう」という、自分を定点観測するための取り組みだ。 今日の午前中、えいちくんから「お誕生日おめでとう」というメッセージとともに写真が届いた。写真を開く瞬間はいつも少し緊張する。なんだか自分のこの一年間の生き様が、そこに表れているような気持ちがして。 髪の毛をばっさり切ったこと。家具が増え、少し配置が変わった

          2021年、「29歳の記録」

          失敗まみれだった自分自身に

          この文章は、パナソニックがnoteで開催する「 #あの失敗があったから 」コンテストの参考作品として主催者の依頼により書いたものです。 「失敗」という「事実」は、この世にひとつとして存在しないと思う。なぜなら失敗とは、「解釈」であるからだ。 たとえば就職活動で、一番行きたかった会社の面接に落ちたとする。 この「面接に落ちた」という事実を、失敗だと捉える人もいれば、それが運命だったと、すんなり受け入れる人もいる。落ちた結果、幸せな毎日を過ごすことができ、面接に落ちたことを

          失敗まみれだった自分自身に

          aruができるまで

          関わってくださったすべての方々に、感謝と敬意を。 これからも、よろしくお願いいたします。

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          海の近くで、本屋を始めます

          瀬戸内海のすぐそばで、本屋を始めることにした。名前を「aru(アル)」という。庭に大きな桜の木があって、海が一望できる、穏やかで美しい場所だ。 * 去年の夏から、東京と岡山で二拠点生活を始めた。 きっかけは、以前から友達だったデニム兄弟(ようへいくん、島田)のふたりで、彼らは岡山県倉敷市の児島という土地で、宿泊施設「DENIM HOSTEL float」を運営している。 瀬戸内海が一望できるその宿は、目の前に海が、そして背後には王子ヶ岳という山が存在して、笑っちゃうく

          海の近くで、本屋を始めます

          自分を健康的に保つもの

          ここ数ヶ月、自分でもおどろくほどに、まったくメンタルが落ち込まない。そんなことを言うと、友達には「何があったの?」「たしかに楽しそうだね」とおどろかれたり納得されたりして、しばしばその理由を聞かれるようになった。 考えてみれば、いくつかの理由を思いついたので、今日はその理由をつらつらと書いてみたいな、と思う。 * まずひとつめは、生理との付き合い方が変わったこと。これは私にとって、かなり大きな変化だった。 もともと私はPMS(月経前症候群)がとても酷くて、ホルモンバラ

          自分を健康的に保つもの

          2020年、「28歳の記録」

          10月31日、28歳になった。 そして今年から、大切な友人であり尊敬する写真家のえいちくんにお願いをして、毎年誕生日を迎えるたびに、自分自身の写真を撮ってもらうことにした。 自分がどんな歳の重ね方をしているのか、その時々でどんな表情をしているのか、文章だけでなく、写真というもので、ちゃんと記録をしてみたいなと思ったのだ。 ルールはシンプルに、下記とした。 ・フィルムで撮ってもらうこと。 ・その時に住んでいる部屋の中で撮影すること。 ・部屋は綺麗にしないこと。 ・飾らな

          2020年、「28歳の記録」

          "八月二十一日は、台風一過の晴天だった。しかし、秋の台風のあとのようなさわやかな感じは薄く、強い陽射しが照りつける夏の晴天だった。青い空をあおいでよく見ると、底なしの深さをたたえた濃いブルーは、心なしか遠のいて見えた。" 片岡義男「缶ビールのロマンス」

          "八月二十一日は、台風一過の晴天だった。しかし、秋の台風のあとのようなさわやかな感じは薄く、強い陽射しが照りつける夏の晴天だった。青い空をあおいでよく見ると、底なしの深さをたたえた濃いブルーは、心なしか遠のいて見えた。" 片岡義男「缶ビールのロマンス」

          何を見たい、と思っているのだろうか

          朝井リョウさんのラジオが好きで、よく聞いている。 日曜日の夜22時30分からの枠で、元AKB48の高橋みなみさんと一緒にされている、『ヨブンのこと』という番組だ。 朝井リョウさんといえば、『何者』や『桐島、部活やめるってよ』などの小説が有名で、私も最初は純粋に、おそらく多くの人が持っているであろう「現代の若者の心境を物語に映し出すのが上手な作家さんだなあ」という印象があるだけだった。 けれど、何かのきっかけで、朝井さんが書かれている『時をかけるゆとり』というエッセイを読

          何を見たい、と思っているのだろうか

          「縦の変化」を続ける、彼らのこと。

          今年の1月に、仕事で愛媛県に行くことがあった。 愛媛に行くのは、物心ついてからは初めてのこと(幼い頃、道後温泉に家族で旅行したことがあるらしいのだけれど、まったく覚えていない)。仕事を終わらせたあとは、せっかく来たのだからと道後温泉に宿を取り、翌日も半日ほど時間に余裕があったので、現地の本屋さんや、美術館を見て回ることにした。 そして、翌日に立ち寄った本屋さんで「ぜひ行くといいよ」と店主の方に勧められたのが、伊丹十三記念館だった。 伊丹十三さんのことは、なんとなくは知っ

          「縦の変化」を続ける、彼らのこと。

          私は誰かに、「ええねん」と言ってほしかったのだ

          たまに、「自分のことを全肯定してくれる人がいればなあ」と思うときがある。 自分の弱さや、ずるさや、情けなさまで、まるっと全部受け入れてくれる人がいれば──。そんな、弱くて、ずるくて、情けないことを、ふと考えてしまったりするのである。 でもそんなとき、同時に頭に浮かび上がってくるのは、「人間関係には全肯定だけで成り立つものなど存在しない」という考えだ。 ただただ優しくすべてを受け止める、なんてことは、誰かとていねいな関係を築けば築くほどに難しい(と、私は思う)。考えの違い

          私は誰かに、「ええねん」と言ってほしかったのだ

          彼女は、手軽なコミュニケーションが苦手だけれど。 #あの日のLINE

          彼女と仲良くなったのは、もう5年も前のことになる。 大学のひとつ年下の後輩である彼女とは、学部も所属するサークルも全然違ったので、大学時代はほとんど話したことがなかった。 とあるきっかけで顔見知りになったけれど、あえてふたりで約束するような関係には発展せず、「友だち」と言うよりは「知り合い」と言った方がしっくりくるような、「また話そ〜!」という言葉が社交辞令のまま終わってしまうような、その程度の付き合いだったと思う。 そんな彼女から、5年前のある日、突然連絡がきた。

          彼女は、手軽なコミュニケーションが苦手だけれど。 #あの日のLINE

          黒いおでんと、不安を飲み込んだ夜のこと【#記憶に残る呑み屋 01 高円寺「空き屋」】

          2015年の4月。就職と同時に上京することになり、22年間住んだ地元の京都を離れ、人生で数回しか訪れたことのない東京という街が私の拠点になった。 はじめての街、はじめての一人暮らし、はじめての会社勤め。不安と緊張と期待と高揚感が複雑に入り混じり、慣れない生活をとにかく1日1日「こなす」ことで精一杯な毎日が続いた。休日になっても、自分の中では疲れを取ることが優先され、なかなか東京の街を探検する気にはなれなかった。 そんなある日、同じく就職を機に上京した大学時代の先輩から、こ

          黒いおでんと、不安を飲み込んだ夜のこと【#記憶に残る呑み屋 01 高円寺「空き屋」】