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世界は、思った以上に「欠けている」ことに寛容だ
大学生のころ、個人経営のこじんまりとしたカフェでアルバイトをしていた。京都の裏路地にある、ゆみこさんという美人なオーナーが経営している、とてもいいカフェだった。
ゆみこさんは私の20歳の誕生日に、『ぼくを探しに』という絵本をプレゼントしてくれた。
パックマンのような可愛い球体の「ぼく」は、自分には何かが欠けていて、だから毎日が楽しくないと思っている。そこで完璧な球体を目指そうと、自分の欠けたカ
好奇心は愛よりも強い
1ヶ月ほど前に、『オリガ・モリソヴナの反語法』という米原万里さんの有名な小説を読んだ。
ソ連で幼少期を過ごした日本人の主人公シーマチカが、そのときに出会ったあるロシア人女性の謎を、大人になってからひも解いていく……といった内容で、一見謎解き小説のようでありながらも、ペレストロイカの時代に生きたロシア(ソ連)の女性たちの運命を鮮明に描いている社会派な小説だ。
残酷な運命を描いているのにどこか喜劇
「サヨナラ」に対して人が紡ぐことばについて。
お昼休みに中島らもさんのエッセイ『愛をひっかけるための釘』を読んでいたら、こんな文章が出てきた。
この世のものならぬ至福の中に自分があればあるほど、いつかそのめまいに似た幸福に終わりがくるであろう予感も確固たるものになってくる。
(中略)時代が変わり、人が変わるたびにさまざまな表現で言いあらわされるけれど、本質はすべて同じことである。「生者必滅(しょうじゃひつめつ)、会者定離(えしゃじょう
「知りたい」という根源的なチカラ
「どうしても読んで欲しい810円(税込)がここにある──。」
先週、日曜日の夜。友達との待ちあわせの時間までに少し余裕があったときに立ち寄った本屋さんで、偶然「文庫X」が目にとまった。
昨年、岩手県の盛岡市の書店で、タイトルを隠して売られたことで話題になった「文庫X」。いつのまにか、その中身の正体を公表していた、らしい。
「文庫X」の存在をはじめて知ったとき、正直、そこまで惹かれはしなかった
【東京図書館めぐり】北区立中央図書館
東京の図書館をめぐってみようとふと思い立ち、記念すべき第一回として、王子の近くにある『北区立中央図書館』へ行ってみました。
図書館はJR埼京線「十条」駅から徒歩15分ぐらいのところにあり、赤レンガ倉庫を改装して作られた建物はレトロで可愛かったです。近くには子供が遊べるような芝生があり、そんなに人も多くなく、休日にゆっくりと本を読みたい人にはもってこいな場所でした。
図書館に来ると、読みきれない