あかしゆか
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「なぜ書くのか」についての備忘録
もともと、自分のことは「書くタイプ」ではないよなあ、と思っていた。
私が「書くタイプ」と聞いて思い浮かべるのは、小学生の頃に作文コンクールで賞を取りまくっていたような、まるで書くために生まれてきたかのように天性的天才的文才を持つ人だとか、映画や音楽のレビューを書かせたらピカイチで、ある特定の分野においては誰にも負けないような熱い情熱を持っている人だとか、世の中に対して何かれっきとした課題意識があ
2023年、「31歳の記録」
10月31日、31歳になった。
今年も、友人の写真家・田野英知くんに無事に記録写真を撮ってもらうことができた。この取り組みも、気づけばもう、4年目だ。
私も英知くんにも毎年たくさんの変化があって、写真を撮ってもらいながら、ポツリポツリとおたがいの話をする。写真には、時間と記憶、祈りや願いが込められていて、「お誕生日おめでとう」という言葉と共に彼から送られてくる写真を開くとき、毎年やさしさで胸が
海が苦手だった私は、海に救われ、海を愛す
海が嫌いだった。
大学を卒業する頃までずっと。
なぜならば、私には「足が太い」というコンプレックスがあったからだ。
思春期の学生が海を嫌いになるのに、その理由は決して大袈裟なものではないと思う。少なくとも私はそうだった。
夏になると、友だちの「海行こ〜!」という誘いを断る言い訳を、いつも必死に考えていた。モデルのようにスタイルのいい友だちを見ては、顔が歪むほどに妬み、嫉み、羨んでいた。
私
2022年、「30歳の記録」
10月31日、30歳になった。
友人の写真家・田野英知くんに毎年撮ってもらっている誕生日の記録写真も、もう3年目。毎年この季節が来ると少しばかりそわそわして、「今年はどんな自分で映りたいだろうか、映るのだろうか」ということを考える。
えいちくんは無造作にシャッターを押す。私は表情を「作る」ことができない。そして送られてくる写真を見るたびに、写真では嘘をつけない、えいちくんは私のそのままを写して
「笑える革命」に、関わっていきたい。
3月23日に、「注文をまちがえる料理店」や「deleteC」などの企画で知られる小国士朗さんの書籍が光文社から発売される。タイトルは『笑える革命』。今日は、この書籍のAmazon予約が開始される日だ。
小国さんの手掛けるプロジェクトは、「注文をまちがえる料理店」は認知症、「deleteC」はがん、その他の企画ではジェンダー、戦争などのテーマを扱っていて(もちろん社会課題以外のテーマもある)、それ
2021年、「29歳の記録」
10月31日、29歳になった。
去年から始めた、毎年の記録写真。友人の写真家・田野英知くんに、「誕生月(10月)に、その時に住んでいる部屋で、フィルムで写真を撮ってもらう」という、自分を定点観測するための取り組みだ。
今日の午前中、えいちくんから「お誕生日おめでとう」というメッセージとともに写真が届いた。写真を開く瞬間はいつも少し緊張する。なんだか自分のこの一年間の生き様が、そこに表れているよ
失敗まみれだった自分自身に
この文章は、パナソニックがnoteで開催する「 #あの失敗があったから 」コンテストの参考作品として主催者の依頼により書いたものです。
「失敗」という「事実」は、この世にひとつとして存在しないと思う。なぜなら失敗とは、「解釈」であるからだ。
たとえば就職活動で、一番行きたかった会社の面接に落ちたとする。
この「面接に落ちた」という事実を、失敗だと捉える人もいれば、それが運命だったと、すんなり
海の近くで、本屋を始めます
瀬戸内海のすぐそばで、本屋を始めることにした。名前を「aru(アル)」という。庭に大きな桜の木があって、海が一望できる、穏やかで美しい場所だ。
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去年の夏から、東京と岡山で二拠点生活を始めた。
きっかけは、以前から友達だったデニム兄弟(ようへいくん、島田)のふたりで、彼らは岡山県倉敷市の児島という土地で、宿泊施設「DENIM HOSTEL float」を運営している。
瀬戸内海が一望でき
過去を思い出すことの意味
映画『14歳の栞』を見た。
これは、とある中学校の「2年6組」の3学期に密着したドキュメンタリー映画だ。特定の主人公などは存在せず、ただただ35人の「14歳」の、生々しい学校生活の一部がそこにはある。
ツイートにも書いたけれど、自分自身の14歳について、つい思いを馳せずにはいられなくなるような、そんな120分だった。
この映画を見たあと、私は自分の14歳の記憶について、実際に思い出してみた。
自分を健康的に保つもの
ここ数ヶ月、自分でもおどろくほどに、まったくメンタルが落ち込まない。そんなことを言うと、友達には「何があったの?」「たしかに楽しそうだね」とおどろかれたり納得されたりして、しばしばその理由を聞かれるようになった。
考えてみれば、いくつかの理由を思いついたので、今日はその理由をつらつらと書いてみたいな、と思う。
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まずひとつめは、生理との付き合い方が変わったこと。これは私にとって、かなり大き
2020年、「28歳の記録」
10月31日、28歳になった。
そして今年から、大切な友人であり尊敬する写真家のえいちくんにお願いをして、毎年誕生日を迎えるたびに、自分自身の写真を撮ってもらうことにした。
自分がどんな歳の重ね方をしているのか、その時々でどんな表情をしているのか、文章だけでなく、写真というもので、ちゃんと記録をしてみたいなと思ったのだ。
ルールはシンプルに、下記とした。
・フィルムで撮ってもらうこと。
・
"八月二十一日は、台風一過の晴天だった。しかし、秋の台風のあとのようなさわやかな感じは薄く、強い陽射しが照りつける夏の晴天だった。青い空をあおいでよく見ると、底なしの深さをたたえた濃いブルーは、心なしか遠のいて見えた。"
片岡義男「缶ビールのロマンス」
何を見たい、と思っているのだろうか
朝井リョウさんのラジオが好きで、よく聞いている。
日曜日の夜22時30分からの枠で、元AKB48の高橋みなみさんと一緒にされている、『ヨブンのこと』という番組だ。
朝井リョウさんといえば、『何者』や『桐島、部活やめるってよ』などの小説が有名で、私も最初は純粋に、おそらく多くの人が持っているであろう「現代の若者の心境を物語に映し出すのが上手な作家さんだなあ」という印象があるだけだった。
けれど
「縦の変化」を続ける、彼らのこと。
今年の1月に、仕事で愛媛県に行くことがあった。
愛媛に行くのは、物心ついてからは初めてのこと(幼い頃、道後温泉に家族で旅行したことがあるらしいのだけれど、まったく覚えていない)。仕事を終わらせたあとは、せっかく来たのだからと道後温泉に宿を取り、翌日も半日ほど時間に余裕があったので、現地の本屋さんや、美術館を見て回ることにした。
そして、翌日に立ち寄った本屋さんで「ぜひ行くといいよ」と店主の方に