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老いの正体、健康長寿の秘訣とは? カラダを若く保つ工夫(「LIFE SPAN」に学ぶ)

「老化防止には体をなまらせないこと。そのためにはサーチュインの稼働を上げる必要があるのか」

今年はコロナウイルスの影響もあり、誰しも「健康でありたい」という欲求が膨らんでいるかと思います。健康の目指す先には長寿があります。

そんな健康長寿について豊富なデータ量で新しい気づきを与えてくれる本に出合いました。人はいずれ老いて死にゆくというのは、誰もが暗黙の理解をしていますが、「人はなぜ老いるのか?」「老いは止められるのか?」について深く考えたことがない人は多いのではないでしょうか。私もその一人でした。

人生100年時代と言われますが、そんな時代に生きる我々が知っておくべき「老い」の正体について考えます。

健康長寿に必要なこと

今回参考にした、目から鱗の情報がぎっしり詰まった書籍がこちらの一冊です。「LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界」。タイトルがとてつもなく壮大ですが、書いていることも衝撃的で、価値観が変わる一冊です。

本書では「老化は治療できる病気」と明言。生活習慣を変えるなどして「長寿遺伝子」を働かせれば、健康なまま120歳まで生きられる時代がくると説きます。長く健康に暮らしたい方は必読の一冊です。おススメです。

本書で老化のメカニズムを最先端テクノロジーを持って解き明かすのはデビッド・シンクレア教授。NMN研究の世界的権威者。NMNとはニコチンアミドモノヌクレチドの略。聞きなれないこの物質が日本でも知られるようになったのは、2015年に放送されたNHKスペシャル『ネクストワールド 私たちの未来』がきっかけです。「人間の寿命はどこまで延びるのか」をテーマにしたこの番組で、ワシントン大学とハーバード大学の研究者が取り組んでいる“若返りの薬”としてNMNが紹介されていました。

番組の中では生後2年(人間の年齢で約60歳)のマウスにNMNを1週間投与したところ、運動能力、外観、活動レベル、細胞活性レベルなどで生後6ヶ月(人間の年齢で約20歳)のマウスのレベルまで若返ったと特集されていました。「若いまま、健康なまま年を重ねたい」という、人類の長年の夢がいよいよ現実味を帯び始めています。番組では、2045年にはこの若返り薬が実現するのではないかと語られていました。

そんなNMNも含めて、本書では老化の原因と健康長寿に向けた対策について紹介されています。

老化の原因とNMN

健康長寿を考える上で避けて通れないのが、まず「老化はそもそもなぜ起こるのか」です。本書にはこのような説明があります。

ごく単純にいえば老化とは情報の喪失にほかならない。生体内には2種類の情報があり、それぞれまったく異なる方式で符号化されている。1つめはデジタルな情報。具体的には、DNAを構成する基本単位のアデニン、グアニン、シトシン、チミンのいずれかである。もう1種類がアナログ情報で「エピゲノム」と総称され、親から子へ受け継がれる特徴のうち、DNAの文字配列そのものが関っていないものを指す。こうした遺伝の仕組みを「エピジェネティクス」と呼ぶ。若返るためには、傷を取り除く研磨剤を見つけさえすればいい。

本書の核心は「老化とは情報の喪失にほかならない」というシンプルな一言に集約されています。ここでいう情報とは、遺伝子から読み出される情報のこと。その読み出され方がおかしくなることでさまざまな老化の症状を引き起こしてしまいます。老化とはこのたった1つの原因にいきつくというのがシンクレアさんの考えです。極めて明快な考え方です。

私たちのカラダには2万個の遺伝子の情報があると言われています。その情報をどう読み出されるかがポイントで、加齢によって情報の読み出され方がおかしくなってしまったのが、老化した状態とのこと。そう考えると「情報の読み出し間違い」を防げば老化は止められるということです。

そしてシンクレアさんが発見したのが、老化のキーとなる分子「サーチュイン」。サーチュインは遺伝子からの情報発現の制御に関与するタンパク質のこと。「サーチュインの働きが衰えることが、老齢に特有の病気を発症する大きな理由の1つ」であると説きます。

そしてサーチュインの活性化には、前述のNMNや、赤ワインなどに含まれるポリフェノールとして有名なレスベラトロールが効果的とのこと。

本書ではNMN摂取による具体的な効果がいくつか紹介されています。著者の父もNMN摂取で元気を取り戻したそうで、閉経していたのに月経が再開した女性もいるとのこと。実際毎日摂取している著者自身もかなりお若い方です。そんなNMNはサプリメントとして購入可能です。しかし、残念ながら決して安いものではありません…。

「結局健康長寿はお金なのか」と思ってしまいそうですが、NMNのサプリメントだけが老化防止の解決策というわけではありません。日々の生活習慣次第で老化は防ぐ事ができます。

サーチュインの活性化が鍵

老化は前述の通りDNAの損傷です。DNAのコピーは体内で常に行われていますが、排気ガスを吸い込んだり、紫外線を過剰に浴びるなど、日常のちょっとした行動で誤ったコピーをしてしまい、それがシミやしわなどの老化として目に見る形で表出します。

こうした損傷を回復させるために活性化しなければならないのが「サーチュイン」。常に繰り返されている細胞分裂の中で、損傷の修復にエネルギーをまわす役割を担っているのがサーチュインです。

DNAが損傷し続けている人は、新しい細胞を作るためにエネルギーをまわしにくい状態であり、「DNA損傷の修復が追い付かない状態」とも言えます。これが老化が進むメカニズムです。

ではサーチュインを活性化させるためにはどうすれば良いのか。それは日頃からサーチュインのトレーニングをしておくということです。DNAに負荷がかかるとサーチュインが出動しますが、修復するまでもないと分かると、サーチュインは何もせずに元も戻っていきます。

つまり「SOS ➡ 出動 ➡ 無事確認 ➡ 帰還」このサイクルがサーチュインのトレーニングになります。このトレーニングをすることで若返る力が増していきます。

ポイントはカラダが「SOS」を出すということ。つまりカラダを怠けさせず、カラダに「お!?ヤバイぞ」と思わせることが大切ということです。分かりやすいのが「空腹」。お腹がすくとグーッとお腹が鳴りますが、実はこれはサーチュインが動き出したサインです。「このままでは飢えるのでは?」カラダがヤバいと反応している状態です。

他にも「SOS」を出すシーンとしては身体的なストレスもあります。分かりやすいところでは運動です。適度にカラダに負荷をかけることで、カラダはSOSを出しサーチュインが稼働し始めます。

カラダを怠けさせずに、サーチュインが動き出すシーンを生活の中で確保していくことが老化防止、若返りのポイントとなります。

健康長寿に向けた工夫(サーチュインのトレーニング)

日常の生活の中でサーチュインを稼働させる工夫として以下が挙げられます。

・食事の回数を減らす(1日3食は多すぎる)
・適度な運動(10分〜15分の軽い運動)
・サウナ(温冷交代浴)

食事の回数を減らすということは「空腹になる」ということ、運動するということは「カラダにストレスを与える」、そしてサウナは熱によって「カラダを非日常の環境に置く」ということです。こうした、カラダにとって「危機的な状況」になることで、SOSが出てサーチュインが稼働し始めます。

特に食事の量は現代人は多すぎると言います。一日2食以下に、1食あたりの量を減らすことが大切で、この本の著者は必ずやって欲しいと強く勧めています。我々の日々の生活の中で、「空腹」を感じることはどれほどあるでしょうか。空腹になる前に何かを食べるのが普通かと思います。私達は「1日3食食べましょう」と、子供の頃から教えられてきました。でもその常識は健康長寿の視点で見れば間違っていたのかもしれません。

また、本書で驚きの指摘をしているのが、動物性たんぱく質は良くないということです。動物性たんぱく質は栄養豊富なのですが、それ自体がエネルギーが強すぎて実は体に良くないとのこと。ハム、ベーコン、ウインナーといった加工肉は遺伝子を傷つけるので注意が必要です。動物性ではなく植物性たんぱく質を摂るようにしましょう。

まとめ

人間誰もが老化し、やがて死にます。これは避けられないことですが「老い」自体はケアできないものではありません。老いのメカニズムを知り、それに対応することで「若く生きる」ことは可能な時代になっています。

人生100年時代という言葉をよく耳にしますが、医学とテクノロジーの進化でそれは夢ではなくなってきています。しかし、サプリメントや薬に頼るのではなく、できることなら自分の中にある力で若く生きていきたいものです。

その時に大切なのは若返りの遺伝子とも呼ばれているサーチュイン。これを稼働させることで、DNAの損傷を防ぎ、老化を食い止めることができます。そのためには「カラダを怠けさせない」ことが大切です。

以前「野生のライオンは腹八分目の時には目の前にウサギがいても襲わない」という話を聞いたことがあります。これはお腹いっぱいになると俊敏に動けないことをライオンが本能的に知っているからです。その点人間はどうでしょうか。毎日3食摂って、間食も、食後のデザートも食べる。甘いもので癒されたりするのはメンタル面では確かにプラスの部分もあります。しかしその裏で、空腹しらずのカラダはすっかりサーチュインが稼働できない「老化しやすいカラダ」になっているのかも知れません。

食事回数を減らす、適度な運動、サウナの温冷交代浴などを上手に取り入れ、「老化しないカラダ」を手に入れたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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