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たいせつなことはお店から学んだ

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古着屋を経営しながら学んだいろんなこと。たいせつなマインド。その他いろいろ、時系列に沿わないで書いたノートのまとめです。
運営しているクリエイター

#ファッション

おうちでもファッションを求めている人たち

おうちでもファッションを求めている人たち

「結局、自己満ですね」

ウチのお店でお買い物をしてくれるお客様の多くは自身の購買の動機を
「自己満足のため」と言う。

ある意味それはよくわかる。
生活必需品としての衣類を求めるお客様は代官山の古着屋なんかにわざわざ来ない。

とはいえ、ファッションはやはり「見られる」ことが前提で、そこに他人からの共感を求めないことを「自己満足」としているのではないかと思っていた。

2020年・春
着ている服

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お店を失うことは怖くない

お店を失うことは怖くない

2020年4月
お店を閉めて2週間ほど経った。

3月の時点では、26年続けてきたお店を今後も継続できるのか不安で怖くて仕方がなかったけど今は落ち着いた。

わたしは自分の力ではどうにもならないことや、その時が来るまで答えがわからないことなどは「考えない」と決めて、そのようにできる。

わたしにとってお店はとてもたいせつなものだけれど、わたしは「おみせやさん」ではなく古着屋だ。

古着屋の仕事は「

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たいせつなお客様へ今できること

たいせつなお客様へ今できること

商売をやっていると、どんなに平穏な時世でも去年と同じ今年は無い。今年と同じ来年はこない。

変化に素早く対応して行動していかないと、成長どころか現状維持も難しい。

古着屋をはじめて27年目

地下鉄サリン事件、リーマンショック、震災…
世の中でいろんな事があったけど乗り越えて来た。

それは自店が生き残ることを考えた結果ではなく、
暗いニュースであふれる時、古着屋として洋服屋としてお客様へ何がで

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「増やさない」という愛し方

「増やさない」という愛し方

一緒に暮らしていた犬が亡くなった。
このnoteにも登場してもらってた保護犬のボルゾイ君。

動物(ペット)の保護活動をされている方たちは皆、動物を愛している。
そしてその愛し方、活動方針の一つに「増やさない」というものがある。

行き場がなく殺処分されるペットたちが沢山いる。
その中で新たなペットを「生産」することを疑問視しているのだ。

わたしは服が好きで16歳で古着屋のオーナーとなった。

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70年代イッセイミヤケのデッドストックを動画で解説

70年代イッセイミヤケのデッドストックを動画で解説

1970年代のイッセイミヤケのシャツがタグ付きのデッドストックで手に入りましたのでYouTubeで解説しました。

一見すると普通のシャツですが随所にこだわりが見られ、興味深い一着です。

・YouTube・
70年代イッセイミヤケのデッドストック | vlog#03「素敵なヴィンテージなら、欲しくならない」

こういったsuper rareなアイテムが入荷すると、

「売ってしまうのがもったいな

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古着屋を26年続けています

古着屋を26年続けています

11月はわたしの経営する古着屋の周年記念で、今年で26年になりました。
なんのことはない毎年11月にひとつひとつ数がふえて26周年になったというだけのこと。今も続けているし、これからもしばらく続けていきたいと思っているので、まだ「途中」です。機械式の腕時計の日付がカチッと音を立てて変わったみたいに、ちょっとだけ「あ」って感じる。それだけ。

わたしは16歳で古着屋を開業しているのでわりと若めでベテ

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古着屋をやってて楽しい瞬間

古着屋をやってて楽しい瞬間

大量の古着の山の中に
きらっと光るものを見つけ
ひっぱりだして手にとった時

それが想像どおりの良いものであったり、
想像以上に素敵なものであった時の嬉しさ

快感ともいえるその感覚は
はじめて古着を仕入れて売った時から
25年以上経った今でもまったく変わらない。

80s vintage
“HOMME DE NUIT・TOKIO KUMAGAI”

一着の服が作られて、
誰かの手に渡り、楽しま

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落ち着くと、落ち着かない。

落ち着くと、落ち着かない。

いろんなことに手を付けていて、何一つかたづいていなくて落ち着かない。

でもいろいろかたづいて落ち着くと、
また何かはじめたくなって落ち着かなくなる。

そして新しいことをはじめる。

ずっと、ずーっとその繰り返しだった。

依存症?

あたらしく何かを始める時のリスクやストレスから解放されると、すぐにまたそれを求める。

大きなダメージを受ける失敗をした事もあったけど、
傷が癒えたら…完治してな

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【初心者向け】66モデルってなぁに?

【初心者向け】66モデルってなぁに?

ヴィンテージジーンズをかじり始めると
「66」というワードに出会うと思います。

テキストで出会った方は「66」「66モデル」「66前期」「66後期」「66シングル」などなど
古着屋さん等で音で聞いたかたは「ろくろく」

「ろくろくって何?」1972年頃〜1978年頃のリーバイス501を指す俗称

いろんな偶然と勘違いから生まれた俗称で、
1966年モデルではありません。

この辺は検索すればいっ

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ときめかなくなっても、捨てないで

ときめかなくなっても、捨てないで

この一年くらい、GIANFRANCO FERREのヴィンテージが気になるので時々仕入れています。

しかし、FERREは世界中でかなりの数が売れているはずなのに意外とみつからないのです。

FERREのヴィンテージは高級感と日常的な扱いやすさのバランスが良く、ぱっと見の派手さは控えめで、よく見ると凝ったディティールだったりする点が日本人向けといえます。

特にメンズは80年代90年代のミラノのトレ

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クラウドファンディングでパトロンになってみた

クラウドファンディングでパトロンになってみた

クラウドファンディングってどんな人がどんな募集をしているのかなーって見てみると

素晴らしい理念をもって地域や社会に貢献するプロジェクトを、素敵な写真を添えて魅力的な文章でアピールしている方もいれば、
老朽化したお店をリフォームするお金がないからお金ください、みたいな雑な方、明らかに欲が全面に出すぎの方もいる。

わたしがもし募集する側になるとしたら、主にリアルなお客様に支援を募る形になりますので

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お店はまだ終わってない

お店はまだ終わってない

先日、実店舗のヴィンテージショップをはじめてもうすぐ一年になるという素敵な女性ショップオーナーさんとお話しする機会があった。

ネットショップからスタートして、谷中にちいさな実店舗をオープンした彼女からはヴィンテージショップの仕事を楽しみながら真剣に取り組んでる様子が伝わってきた。

谷中銀座商店街の古い空き店舗をリノベーションして、小分けにしてシェアするテナント施設の一角に出店されているそう。

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ロメオジリとROMEO GIGLI

ロメオジリとROMEO GIGLI

1990年代に独特なシルエットとオリエンタルな色使いで人気を博したデザイナー・ロメオジリによる“ROMEO GIGLI”

いわゆる大人の事情で、2000年代半ばには自身の立ち上げたブランドを去り
“ROMEO GIGLI”の商標を使えなくなったロメオジリさん。

振り返ってみればブランドの人気もその時まで。
その後はブランド名こそ残ったものの、ブランド“ROMEO GIGLI”が再び注目されるこ

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やがて哀しきおばちゃんブティック

やがて哀しきおばちゃんブティック

おばちゃんがやってる、おばちゃんブティック
おじさんがやってる、おじさん向け紳士服店

平成一桁の時代まではこういったお店がたくさんあった。

新規のお客さんは増えそうに無く
増やすつもりもなさそう。
常連さんだけを相手に商売をして
オーナーも、お客さんも、
品ぞろえやお店自体までもがいっしょに歳をとっていくお店。

1993年、16歳で洋服屋を開業したばかりのわたしは
こういうお店もきっとオープ

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