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演奏する人と教える人、そして教わる人の話 1(演奏家になりたかった話)


理想と違う現実

こんなはずじゃなかった、という言葉が適切かわかりませんが、僕は本来演奏家になりたかったのです。

だから音大でもトランペットの練習ばかりしていたし、演奏する場を常に欲していました。しかし、僕には演奏の仕事はほとんど来ず、与えられたとしても求められていることが十分に果たせなかったのと、当時のコミュニケーション力の問題の両方が関係していると思いますが、先細りする傾向にありました。同時期、同じ世代の人たちは僕とは逆に少しずつ演奏活動の場を広げていき、やれ〇〇フィルにトラだとか、どこどこにアンサンブルで本番でしたと、とても忙しそう。そんな情報が耳に入るたびに自分の実力も行動力もコミュニケーション能力のなさからも目を逸らし、羨ましいだの悔しいだのと心の中でくすぶる日々を過ごしている時期が結構長く続いていました。(今はそこまでじゃないです。ゼロではないけれど。)

演奏する場がないのだったら自主的に企画していろいろなことをしようとしましたが今度は自分のマネジメント能力の問題で上手くいかず、周りに迷惑ばかりかけまくっていました。

レッスンという仕事

(この先のお話をする前に、ここからの話は「妥協ではない」と先にお伝えしておきます)

そんな中、自分が音楽業界の片隅の更に片隅で生きていける場所がありました。それがレッスン(音楽指導)でした。

僕は当時から演奏者を目指しながらも、同時に指導者という立場に憧れを持っていました。部活指導や個人レッスンなど、自分の知識を伝えて相手が上手になったり、音楽が楽しいと感じてもらいたく、そうした活動の場もたくさん欲しいと思っていました。
ありがたいことにこちらは自分の存在を認めてくださる方がいらっしゃり、生徒さんとして楽しくレッスンをさせていただいています。

ただ、正直なことを言えば今でも演奏活動は並行してめちゃくちゃやりたいです。舞台で演奏する日々を過ごしたい。

吹奏楽アカデミー専攻

そんな中、6年前になりますが運良く母校である東京音楽大学が吹奏楽アカデミー専攻を新設し、その講師を募集しており、オーディションというか審査というか試験を受け、採用していただけることになりました。ほんの少しの自分の音楽の居場所を与えられた、そんな気持ちになりました。感謝。

吹奏楽アカデミー専攻は学生と講師が一緒に演奏をするのが特徴で(器楽科はそうしたことはしません)、ということは言い換えれば僕は他の講師の方々と一緒に演奏をするわけです。同じ講師、という立場で。
蓋を開けてみたら各楽器の講師は名だたる方々。有名なプロオケやプロ吹奏楽団に所属していたり、とにかく経歴がとてもすごい人ばかり。当然演奏も素晴らしく、こんなところに演奏活動に関してほぼノンキャリアの自分が一緒に「講師として」演奏していていいのだろうか、大丈夫なのだろうか、という不安と、現実的にあまりにかけ離れたレベルの差に未だ毎週落胆しているわけで、もっと自分のレベルを高めなければならない、と刺激を受けています。経験の差が段違い。

少々ネガティブな書き方しておりますが、自分の過去の事実であり、今、素直に思っていることです。だから今でもなお日々練習も研究も学びも怠らないように、とにかく自分ができることをやり続けるのだ、と言い聞かせて生活しています。


なんで突然こんな話をしているのか、と思われたかもしれませんが、SNSやYouTubeを良く見ていらっしゃるトランペットや音楽に関わる方はピンと来ているかと思います。あの動画やSNSを読んで思うことがブワっと出てきたのですが、すぐにリポストのような形で反応すると良くない状況になりそうだったので、自分なりに冷静に一旦まとめて、noteに少しずつ書いていきたいと思います。今回はその序章でした。

ではまた。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。