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手紙

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子どもたちに遺そうとした手紙です。
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#お手紙

その29『勇気凛々』~THE NIGHTS~

その29『勇気凛々』~THE NIGHTS~

ある夜の帰り道だった。
遊び疲れた君をおんぶして家路についていた。
君は眠そうに聞いてきた。ねえとと━━、

『夢を叶えるためにはどうすれば良いの?』

あまりに唐突な質問に僕は噴き出してしまった。

『…突然どうしたん?』
『んー…どうしたら良いんかなあって』

僕は夢を叶えてきたんだろうか。
叶えてない気がする。
いや、叶ったのか。
そもそも僕の夢とは何だったんだ。
何を知っておけば良かったん

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その28『一視同仁』〜泣き虫親子の逆襲〜

その28『一視同仁』〜泣き虫親子の逆襲〜

おいおいおいおい。
そこはお前の居場所やないぞ。
お前みたいなヘタクソは、
外野かベンチに引っ込んどれ。
どうせだめに決まってる。
お前には無理やって、ずっと言われてたやんか。
ほんま諦めの悪いヤツやなあ。
チームのために今すぐ降りろ。
そこはマウンドや。
一番、頑張ったやつが立てる場所や。

2024年2月18日。
僕は、人生で初めて対外試合のマウンドに立つ長男を見て、心の中で、ありったけのネガ

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その27『もうこりた』

その27『もうこりた』


◇もうこりたへの誘(いざな)い◇

スポーツ少年団への入団を嫌がる親御さん問題。
僕は、ここに成長への扉を感じています。

チームに入団したいというお子さんの裏で、親御さんが渋って入団できないというケースが多いことはご存知でしょうか?
大体の理由は…

うちのチームでは①、②はなくなりました。
未だ常態化しているチームもあるようですが。
僕は①、②に関しては必要ないというスタンス。③以降は可能な

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その26『すき』〜であるが故に中尾さんは飛ぶ〜

その26『すき』〜であるが故に中尾さんは飛ぶ〜

『#私は私のここがすき』

このタグを見かける度に自問自答していました。
『私は私のどこがすき?』って。
中々、答えは出ないものですね。

そもそも『すき』って何?
『すき』だったらどうなる?
そんなことを考えていたら…

僕は空中にいた

これはスピリチュアルな話でも、俯瞰を極めた訳でもありません。
先週の少年野球の練習で。
僕は生まれて初めてダイビングキャッチを試みたのです。

noteに書い

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手紙その15『ゼロ』

手紙その15『ゼロ』

『それ』は一見、プラスな言葉に見えるから、
誰もが『それ』をしたがっている。
けど、『それ』はマイナスな感情の種になるし、『それ』通りになると感謝も少なくなる。
このことにもっと早く気付けていれば…
人生はもっと生きやすかったのに。

それは『期待』

この言葉は悪魔にも天使にもなる。
これから良いことが起こる事を予感させる。
ワクワクさせる言葉だ。
けど、これから本当に良いことが起こるかどうかの

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手紙その14『一心一徳』

手紙その14『一心一徳』

2023年は人生で一番、悔しい1年間だった。
もう叫びたいくらいに。
正しく評価されなければ、人は腐るということ。
それを学んだ。

『上級生(4年生)を優先的に先発させる』
3年生の君はそのチーム方針に飲み込まれた。

君は1年生で入団したが、唯一の1年生だった。
当時2年生は7人だったため、将来を嘱望された。
しかし、そこから上級生の入団者は増え続けた。
最終的な現在のチーム構成は…
4年生1

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手紙その12『無償の』

手紙その12『無償の』

最近、tuki.さんの『晩餐歌』にハマっている。
彼女は15歳の中学生だという。
15歳が15歳の『愛』を歌っている。

宇多田ヒカルさんが『First Love』をリリースしたのは16歳だった。
16歳なりの『愛』の形だった。

けれど、当時こんな記事を読んだ記憶がある。
『小娘に愛の何がわかるんだ』
『そんなものは本当の愛じゃない』

今、父親になって僕が思うのは、
『愛』とはもっと根源的なも

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手紙その11『敵』

手紙その11『敵』

ネガティブな感情は敵を作りだす。

以前、少年野球の試合で、主審の判定が相手有利な事に子ども達は腹を立てた。
『おかしい』『むかつく』『ぶん殴りたい』
主審に聞こえないように不平不満を漏らした。
この瞬間、9人対9人のスポーツである野球が、9人対10人になるのを感じた。
主審がこちらを敵視したわけじゃない。
子ども達が勝手に主審を敵に回した。
戦わなくてはならない相手を自ら増やした。
結果、負けた

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手紙その10『再現性』

手紙その10『再現性』

これは人生の命題の一つ。
僕が人生をかけて追求する最重要課題のお話。

はじめに

僕は『練習』が大好きだ。
野球、ピアノ、執筆、ゲーム、そして仕事。
趣味も仕事も上達してこそ面白いし、
研鑽が自分をさらなる高みに到達させてくれる。
それが人生をより豊かにする。

じゃあ何のために『練習』するのか。
それは『再現性』を高めるために他ならない。
技術の向上、それはそれで意味のあることさ。
だけど『で

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手紙その9『制御』

手紙その9『制御』

『火事場の馬鹿力』

ストレス環境下で人間の出力は最大化する。
アドレナリンが関係してる。
これは結構、知られている。
けれど出力が上がれば技術的なミスは増える。
これは、見落とされがちやね。

ストレス環境下の人間を自動車で例えた時、
パワーが上がるのはエンジンだけじゃない。
ブレーキまで強くなる。
そんな自動車、僕は怖くて乗れやしない。
乗りこなすためには常にストレス環境下で乗る練習をしないと

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手紙その7『努力』

手紙その7『努力』

歯を食いしばって頑張る、耐える、忍ぶ。
そんな『努力』が持て囃される時代は終わった。

『どれだけ努力するか』じゃないよな。
『どれだけ好きになるか』だと思う。

君たちの野球への取り組み方を見て、
そう思うようになった。

平日は小学校や習い事をしながら朝練夜練。
合間に素振りや縄跳び、ランニングもこなす。
休日はチーム練習や試合で10時間以上ユニフォームを着ていることもある。

そんな君たちの

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手紙その4『モチベーション』2

手紙その4『モチベーション』2

いいかい息子たち。

人のモチベーションは上げようとしなくていい。
僕は君達のやる気を引き出そうとした事はない。
同僚や後輩のやる気も引き出さない。
少年野球の子ども達のやる気も。

僕がやっているのは―
モチベーションを下げないようにするだけさ。
これだけで十分なんだよ。

それすらできない目上の人の多いこと。

応援で『がんばれ』とか本当は要らんよ。
だってほとんどの場合、すでに頑張ってるもん

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