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手紙その15『ゼロ』

『それ』は一見、プラスな言葉に見えるから、
誰もが『それ』をしたがっている。
けど、『それ』はマイナスな感情の種になるし、『それ』通りになると感謝も少なくなる。
このことにもっと早く気付けていれば…
人生はもっと生きやすかったのに。

それは『期待』

この言葉は悪魔にも天使にもなる。
これから良いことが起こる事を予感させる。
ワクワクさせる言葉だ。
けど、これから本当に良いことが起こるかどうかの確証も、担保もない。
『期待』が高まれば高まるほど、それが裏切られた時の落胆悲嘆は大きくなる。
『期待感』は最も手放すべき感情だと僕は思う。

けれど、僕は知っている。
そうそう簡単に手放せるものではない、と。
何故なら『信頼』や『愛情』とセットになっている事が多いからだ。
信じているから期待してしまう。
愛しているから期待してしまう。
それなら…
期待しないのであれば信じていないことになる。
期待しないのであれば愛していないことになる。
そう考える人にとって『期待』を手放すという事は『信じない』ということ。
信じる人を手放させようとするなんて酷い!
そう思われるかもしれない。

これが実は勘違い―、
(1回言ってみたかった言葉があるので言ってみたいと思います。せーのっ!)
これが『認知バイアス』なのだ!(キリッ)

『期待』とは、望んだ事を心待ちにすること。
『心待ちにすること』はワクワクするから『プラス』。しかし、これが実現しないと落ち込んで『マイナス』になる。
けれど『望んだ事』というものが『プラス』か『マイナス』かは自分次第。
僕が手放すべきと言うのはこの『望み』の部分。
この『望』をプラスでもマイナスでもない

『ゼロ』(望まない)

…にする。

『期待しない』=『信じない』ではなく、
『期待しない』=『何も望まない』にする。
『何も望まない』わけだから『心待ちにする事が何もない』になる。
ここでプラスもマイナスもなくなる。
ゼロだ。ゼロなんだ。

さあ、ここから真髄だ。

何にも期待していない所に思いがけない良いことが起こったら、君は何を思うだろう。
『ありがたい』って思うんじゃないだろうか。
悪いことが起こったとしても、そもそも期待してないからダメージは少なくて済む。何ならノーダメージかもしれない。

期待しない事の本質、それは『感謝』なんだよ。

僕は多くのことを病気から学んだけれど、
これが最高の学びだったかもしれない。
自分の健康に期待することを手放して、
闘病生活を乗り越えた時、
そこに残ったのは、感謝だった。
生きているだけでありがたい。
生きているだけで丸儲け、だった。

そして、最近、スティーブン・ホーキング博士の言葉を知って驚いた。
全く同じ考えだったからだ。
イギリス出身、『車椅子の天才物理学者』として有名。ブラックホールの研究をされていた。
そのホーキング博士の言葉をここに記してこの手紙を終えようと思う。

期待値が「ゼロ」まで下がれば、
自分に今あるものすべてに、
間違いなく感謝の念が湧く。

スティーブン・ホーキング

いいかい息子たち。
今年の誕生日とクリスマスは期待するな。

黄色いチューリップ
花言葉は『望まぬ恋』

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