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ファジアーノ岡山 J1昇格への道(2021シーズン)

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#J2

【ありがとう】安部崇士がファジアーノ岡山での6カ月で積み重ねた経験と身につけた自信

 「何だ、この左利きのセンターバック、上手すぎる」安部崇士がファジアーノデビューを飾った第18節アウェイ新潟戦を見たときに、そう強く思った。

 徳島ヴォルティスから加入した安部がこれまで出場したのは1年半で16試合。出場機会を求めた育成型期限付き移籍だったため、即戦力というよりも、徐々に出場機会を掴んでいくのだろうと思っていた。

 そんなぬるい思惑を打ち砕くように、安部はフすぐに定位置を奪取す

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【ありがとう】白井永地は無尽蔵のスタミナで前に向かって走り続ける

 果たして白井永地は何人いるのだろうか?サッカーは11人対11人で行うスポーツであるため、白井は1人しかピッチにいないはずなのだが、2,3人いても不思議ではないくらい、どんなところにも顔を出す。無尽蔵のスタミナで、気の利いたポジションを取り続け、攻守にダイナミックに関わり続ける。常に電気を起こす発電機のような、豊富な運動量を備え、攻守にわたりピッチをアップダウンしてチームに貢献するダイナモそのもの

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【ありがとう】井上黎生人を高みへ連れていく適応力と向上心

 鹿児島実業高校からガイナーレ鳥取に入団した井上黎生人は6年間J3で鍛錬を積む。2年目は一度もリーグ戦のピッチに立つことはできなかったが、腐ることなく、努力を重ねると、3年目は30試合に出場し、4年目、5年目は34試合に出場。すべての試合でピッチに立った。鳥取で昇格するのが本望だったと思うが、成長を求めて、2021シーズンにファジアーノへの移籍を決断した。

 変化には時として苦しめられることがあ

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【ありがとう】闘争心と力強いプレーで屋台骨を支えたパウリーニョ

 納得がいかない審判の判定に異議を唱えるパウリーニョの声が響く。Cスタ(シティライトスタジアムの略称)の名物になりつつあったが、来シーズンは先頭に立ってチームの意志を審判に伝えるパウリーニョの姿は見られない。パウリーニョはファジアーノを退団し、古巣の松本山雅FCに移籍することになった。

 パウリーニョはファジアーノに戦うメンタリティを持ち込んでくれた。審判に異議を唱える姿はもちろん、好ましいもの

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【ありがとう】個人昇格を勝ち取った上門知樹の成長

 上門知樹は岡山でたくさんの引き出しを身につけてJ1へ挑戦する。生まれ育った琉球からファジアーノにやってきた2020シーズン、2019シーズンにファジアーノの攻撃を牽引して柏レイソルに移籍した仲間隼斗の後釜として大きな期待が寄せられた。仲間が背負っていた19番を継承し、起用されたのも同じ左サイドハーフ。慣れない守備をしながら、強烈なミドルシュートを繰り出すことにトライしたが苦しんだ。それでもファジ

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【シーズンレビュー】有馬体制3年目を振り返る12個のトピックス~融合とその先へ~

キャンプから模索した4-2-3-1で迎えた開幕戦 有馬体制3年目となる2021シーズンは、開幕前のキャンプから新たな形を模索していた。2年間の主な布陣は[4-4-2]。堅実な守備と縦に速い攻撃の2つの要素を軸に、[4-4-2]は成熟しつつあった。総得点を60と設定したファジアーノは、攻撃力アップを図るべく[4-2-3-1]へトライ。従来の[4-4-2]と何が違うのか。それは前線の配置である。2トッ

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【レビュー】『撃ち合いを制した粘り強さ』~第39節SC相模原VSファジアーノ岡山~

スタメン

マッチレポート「3」と「10」を勝ち取る力強さ 降格圏から抜け出すために勝点3が必要な相模原が、9戦負けなしと好調な岡山を迎えた一戦。[3-4-2-1]の布陣で挑む相模原は成岡輝留、木村誠二がスタメンに復帰。[4-4-2]の岡山は、パウリーニョが出場停止、ミッチェル・デュークがW杯最終予選のため離脱。攻守の核を欠くなかで、“エース”上門知樹が復帰し、最終ラインに宮崎智彦も帰ってきた。

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【レビュー】『エモーショナルなラストマッチ』~第42節ファジアーノ岡山VSジェフユナイテッド千葉~

スタメンキックのフィーリングを高めた田口の右足から生まれた2点 試合の入りこそ岡山がシュートを打ち、ゴールへの姿勢を見せた。守備では高い集中力を保ち、入ってくるボールに対して、強くアプローチできていた。流れの中から千葉に決定機を許さなかった。

 しかし、試合が進むにつれて両チームのファウルが多くなり、セットプレーが増えていく。この日のファウルは千葉が18回、岡山が14回。岡山が犯した14回のファ

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【レビュー】『現在地と昇格までの距離』~第40節ファジアーノ岡山VS京都サンガ~

 京都のJ1昇格が決まる可能性のあった注目の一戦はスコアレスドロー。京都の昇格は翌日に行われる甲府の結果に委ねられることになった。ゴールネットこそ揺れなかったものの、今シーズン最多の6270人が駆けつけたスタンドの盛り上がり、”強敵”京都相手に見せた堂々の戦いぶり。今シーズンのベストゲームと呼ぶに値するほど、見応え十分な90分だった。「来シーズンもこの選手たちと、このサッカーを…」と期待を膨らませ

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【レビュー】『充実の3-0』~第34節ファジアーノ岡山VS松本山雅FC~

スタメン

先行逃げ切り型の極みへ 岡山は終始ゲームをコントロールしながら試合を進めることができた。試合の入りで相手にやりたいことをやらせない。2トップ+SHの4枚で松本のビルドアップに停滞感と閉鎖感を与え、ホームのピッチでやらせない姿勢を示した。

 ボールを持つ場面が多かったのは松本。しかし、岡山は慌てない。ボールは持たれていたのではなく、持たせていたのではないかと思うほどに、自慢の[4-4-

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【レビュー】『勝点3がもたらす手応え』~第33節東京ヴェルディVSファジアーノ岡山~

スタメン待ちに待った複数得点 渇望していた複数得点を挙げて、チームはアウェイで勝利を収めることができた。前回複数得点を奪ったのは、第19節琉球戦(ホームで3-0)。3か月以上前のことだ。今シーズン複数得点を決めた試合は、東京Ⅴ戦を入れて6試合。成績は4勝1敗1分と、2点目を取ることができれば勝てる。それが、有馬監督が率いるチームなのだ。

技術が詰った石毛秀樹のゴール 東京Ⅴ戦の2ゴールは、いずれ

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【レビュー】『全員で手繰り寄せた勝点1』~第31節ファジアーノ岡山VSブラウブリッツ秋田~

両チームの勝ち点差は2。勝利すれば勝点3を獲得すると同時に、相手が勝点3を獲得することを防ぐことができる。まさにシックスポインター。岡山と秋田が対戦する一戦は、残留を確実なものにしながら、1つでも順位を上げるために勝たないといけない試合だ。

スタメン

秋田が作り出した混沌(カオス) ホームで勝ちたい岡山は主導権を握りたかったが、秋田の徹底したロングボール戦法の前に苦戦を強いられてしまう。

 

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【レビュー】『上昇への希望』~第30節ジュビロ磐田VSファジアーノ岡山~

スタメン

マッチレポート磐田が見せた強者の片鱗、岡山が手にした上昇への収穫 勝って”首位”を走り続けたい磐田と、前節の敗戦から立て直したい岡山の一戦。前半の中盤までは互いに自分たちの良さを出してゴールに迫る攻防が繰り広げられた。

 磐田は後ろから丁寧にパスを繋ぎながらゴールに迫る。シャドーが相手選手の間に立ち、WBが幅を取る。内と外を巧みに使い分けながら、岡山の横の選手間の距離を広げる攻撃を仕

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【レビュー】『核心』~第29節ファジアーノ岡山VS栃木SC~

スタメンマッチレポート強固なゴール前を崩せない岡山が与えた一瞬の隙ホームの岡山は前節からスタメンを2人代えて臨んだ。後半途中から試合の流れを変えるジョーカーのような起用が多かった木村を左サイドハーフに、右サイドハーフでの途中出場が続いていた齊藤が2トップの一角に。前半から攻勢を強め、ゴールを奪いに行く意図を感じた。

 対するアウェイの栃木は前節からのスタメン変更はなし。前節に移籍後初ゴールを含む

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