【ありがとう】個人昇格を勝ち取った上門知樹の成長

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 上門知樹は岡山でたくさんの引き出しを身につけてJ1へ挑戦する。生まれ育った琉球からファジアーノにやってきた2020シーズン、2019シーズンにファジアーノの攻撃を牽引して柏レイソルに移籍した仲間隼斗の後釜として大きな期待が寄せられた。仲間が背負っていた19番を継承し、起用されたのも同じ左サイドハーフ。慣れない守備をしながら、強烈なミドルシュートを繰り出すことにトライしたが苦しんだ。それでもファジアーノでの1年目は、チームトップの7ゴールを決めて、2年目での本格ブレイクを匂わせていく。

 そして迎えた2021シーズン、序盤戦こそサイドハーフでの起用もあったが、中盤戦から定位置を2トップの一角に移した。相手を抜き去るドリブルをあまり得意としていなかったため、正面を塞がれて、右足での強烈なシュートをなかなか打たせてもらえない。プレーヤーとしてもう一回り大きくなるためには武器を磨くことも有効だが、上門は課題であった守備を克服することと、得点パターンを増やすことにトライした。

 守備では周りの状況を確認してプレスをかけるタイミングを見極め、組織的なプレッシングを身につけることができた。ただがむしゃらに追うこと、自分のタイミングで追うことがほとんどなくなったため、上門はリトリートブロックに不用意な穴を開けることがない。チームとして奪い所を設定するための誘導するプレスだけではなく、チャンスと見ると、高い位置で奪いきってそのままゴールを決めてしまうほどの強度の高いも奪いきるプレスも兼ね備えた。アウェイ甲府戦で相手がバックパスの処理にもたついたところをかっさらって決めたゴールで証明済みだ。また、前線からっ戻ってきて、相手とボールの間に腰から自分の身体をねじ込むプレスバックは前田大然(今冬にセルティックへ移籍)を参考にしていると言う。守備でも献身的に走れて、プレーできることは岡山で強みになった部分だろう。

 得点パターンを増やすために着手したのは背後への抜け出しだ。ミドルシュートを警戒されて、正面を防がれるのなら、背後に抜け出して、相手を押し下げる。背後もあるから、ストロングポイントのシュートを打てる状況も作り出せる。ホーム松本戦では背後の抜け出しでチームの先制点となるゴールを決めて、試合終盤にはダメ押しの3点目となるミドルシュートを突き刺した。1点目のゴールに象徴するように、背後への抜け出しを繰り返していたから、背後ではなくスッと手前に下りたことで、自分の正面が開けて、ミドルシュートを打つエリアを確保できた。相手の状況を見て、背後にも抜け出すし、手前から強烈な右足を振り抜く。ゴールを決められる形を増やした上門はどこからでもゴールを狙える怖い選手へと成長したのだ。

 課題だった守備が強みと言えるほどに改善され、ミドルシュートに加えて背後への抜け出しという得点パターンを増やした。ファジアーノでもう一回り大きくなった上門は成長した自分の力を証明するために、セレッソ大阪に移籍してJ1で勝負する。上門は来シーズンのプレー先を考える上で、出場機会を優先事項に据えていた。もちろん13ゴールを決めたファジアーノでは名実ともにエースとして試合に出続けることがある程度約束されていただろう。しかし、上門は厳しい道のりを選択した。

 C大阪は世代交代をしたとはいえ、移籍してきた選手が簡単に定位置を掴めるクラブではない。フォワードの選手はゴールを決めてアピールして、厳しいポジション争いに勝て行かないといけない。結果が求められるポジションだから、開幕前にどれだけアピールすることができるか。数少ないチャンスをものにできるか。出場機会を掴むには勝負強さが必要になる。上門が持つ能力には疑いの余地はない。あとは、自信を持って自分を表現できるか。これまで所属してきた琉球や岡山には上門のプレーに魅了された人がたくさんいる。今までのように自分の色を出して精一杯プレーすれば、自ずと道は拓けてくるはずだ。J1という舞台で自信満々に堂々と暴れてほしい。

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