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きっと太陽でいたかった(短編小説)
「すごく綺麗なんだ」
なにが?
ひょんなことから仲よくなったクラスメイトの、脈絡のない話におれは問う。仲よく、なったのかは正直わからないが、客観的にはそうみえるらしい。高梨とおれは、窓辺でひとり本を読む陰キャと教室の中心でバカ騒ぎする陽キャというちぐはぐ具合なのだが、確実に距離は近づいた。ここ数日、一番連んでいるのはこいつなのだ。開放された屋上はこいつの名のとおり快晴。退屈なほど、のどかだ。
(どっちでもいいよ)
脳みそ、やっべ。ぐわんぐわんする。
どうした? 俺の煙草吸ったせい?
ううん。ちがう。
じゃあなに。激しくしすぎた?
……そうかも。
まじ?
なんか、煙草吸ったときみたいに痺れてるんだけど、そのさらにうえ。世界がまわってる感じ。うああ、頭。つーか、脳みそいってー。
俺のからだは気持ちよくなかったか。
気持ちよかったから、今、その反動。なんだと思う。
え?
きもちよすぎると脳み
愛についての記録、世界(太宰治の美男子と煙草)
うさんくさい男だと思った。カメラを向けてくる無遠慮なマスコミどもにまぎれて、その男はうわっつらの笑みをこちらに投げかけてくるのだ。格好からして、社会のごみを撮りたがるやつらの一員ではないということはうかがえた。そいつが輪の中心にいるのは確かだったけれど。芸能人かといわれると華がないし、キャスターにしては品がない。
「きみ、煙草はよくないよ」
煙を燻らせる、似たような連中がいるなか、男はおれだけ