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聖書と信

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聖書はひとを生かすもの、という思いこみだけで、お薦めします。信仰というと引かれそうですが、信頼などの信として、ひとや世界を大切にする思いが、少しでも重なったらステキだな、と思いつ…
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#コロナ禍

見えざる教会

見えざる教会

聖書を直接読めるということは、古代においては特別な能力の持ち主であっただろう。殆どの人にとって、聖書は「聞く」ものだったと思われる。いまでも、礼拝説教を私たちは「聞く」。
 
音声は、時間と共に一方向に届けられる。絵画と違って、音楽はその芸術性において、どうしても時間性が関わってくる。音声も同様だ。聖書を目で読むとなると、1行前に戻ることもできるが、聞くとなると、そうはいかない。つまりは、ぼーっと

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『凜として生きる』(平塚敬一・教文館)

『凜として生きる』(平塚敬一・教文館)

キリスト者として、何かしら重荷を負うというものがあるという。どうしてだか分からないが、そのことのために心血を注ぐしかない、という思いで生きるのだ。生きることが、考えることが、すべてそれのために営まれている、という気持ちになる。
 
著者にとり、「教育」がその重荷であるのだろう。しかも、「キリスト教教育」である。キリスト教を信じさせる教育だという意味ではない。教育する側が、キリスト教精神を以て教えて

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ドラマや映画は虚構となった

ドラマや映画は虚構となった

新型コロナウイルス感染症が警戒された当初は、得体の知れない疫病に、人類は怯えるしかなかった。海外からの悲壮な映像がもたらされることで、日本は、学校を休校するという事態になり、さしあたり人々はそれを受け容れた。さながらあの時の風景は「沈黙の春」であった。
 
テレビや映画の撮影はストップした。連続ドラマも途中で止まり、NHKも最初のほうから再び巻き戻すように放映した。その他、収録が厳しくなった各テレ

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医療崩壊を起こしたのはわたしだ

医療崩壊を起こしたのはわたしだ

いよいよ病院が機能しなくなってきている。自分が医療崩壊を起こしている、という自覚がない人が多いだろう。マスクなんか、と外したことは、医療崩壊の原因である。消毒を怠ったことは、医療崩壊の原因である。
 
だったらどんな小さなことでも、原因となるのか。おまえはどうなんだ。そう言われるかもしれない。はい。私も、医療崩壊を起こした当事者である。そういう意識でいる。
 
世の人は、そんな馬鹿な、と、こうした

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『説教 十字架上の七つの言葉』(平野克己・キリスト新聞社)

『説教 十字架上の七つの言葉』(平野克己・キリスト新聞社)

ようやく手に入ったのが、5月。3月の発行以来、待ち焦がれていた。
 
副題に「イエスの叫びに教会は建つ」とあるが、すべて看板に偽りなしであった。加藤常昭先生の弟子として、日本の説教をいま背負っているような人の、実に意外なことだが、初の説教集である。これを期待しないで、何を期待すればよいのであろうか。
 
時は2020年、イースターを前にした2か月の間。覚えておいでだろうか、新型コロナウイルス感染症

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『光を仰いで』(朝岡勝・いのちのことば社)

『光を仰いで』(朝岡勝・いのちのことば社)

コロナ禍の中で出版へと至ったことは間違いない。そのすべての願いが、コロナ禍に結びつけられる必要はないが、間違いなく半分は、コロナ禍における教会に注がれる神の力を思っている。残りの半分は、やはりその影響の中であることが多いであろう、個人の心に向けてである。「おわりに」で著者はそのような意味のことを記している。

 

2021年のクリスマス期に語られたメッセージが、本書の殆どを占めている。それぞれは

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祈ります

祈ります

大阪での新規感染者の増加が著しかったが、その数字が各地方へ飛んでいる模様です(大阪に住む方々が安心できるようになることを願っています、いえ、どこででも)。人の動きがある限り、新型コロナウイルスの感染拡大は、簡単にはなくならないように見えます。
 
大阪では、亡くなる方が多いことで心が痛みます。苦しかったことでしょう。また、その家族な身内の方々の苦悩と悲しみも、想像を絶するものがありましょう。高齢の

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コロナ禍を乗りこえる心

コロナ禍を乗りこえる心

コロナ禍の中で、聖書は何を叫ぼうとしているだろうか。そんなことを考える。聖書の中にも疫病は幾度か登場する。新旧約全体で66節に登場するが、エレミヤ書とエゼキエル書に多く目立ち、それはむしろこれから悪をなすと疫病で死ぬ、というような呪いめいた言い方のようである。しかし旧約の書のあちこちに出てくる単語であるから、古来人類を悩ませるもの、好ましからざるものとして、人間がしかも太刀打ちできないものとして捉

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神はあなたをひとりにしない

神はあなたをひとりにしない

二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。(マタイ10:29)
 
幾人かの学者が指摘していると教えてもらったが、ここで「お許し」という語はマタイによる福音書の原文には全く存在していない。日本語に訳すと、「あなたがたの父なしで、地に落ちることはない」というようになるだろうか。
 
ある学者は、ここを自分なりに解釈した

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